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社説:
NHK特集番組 問題点を整理する必要がある
旧日本軍の従軍慰安婦問題を取り上げたNHKの特集番組をめぐる問題は、これをいち早く報じた朝日新聞に対し、NHKや安倍晋三・自民党幹事長代理ら関係者が連日のように抗議し、朝日新聞側がまた反論するという異例の事態になってきた。
朝日新聞の取材や記事の作り方に問題がなかったかは厳しく検証すべきである。だが、この間、いささか議論が拡散しているきらいはないか。ここは今一度、冷静に論点を整理する必要がある。
問題の第一は、NHKに対し安倍氏らの政治圧力、介入が本当にあったのかどうか。第二は、番組の内容そのものに問題はなかったのか。これが、そもそも従軍慰安婦問題をどう考えるのかという歴史認識の問題と絡み合って、話が複雑になっている。
しかし、見失ってならないのは番組がどうして変更されたのか、そこに「NHKと政治」という構造的な問題が潜んでいないか、というのが原点だということだ。
NHKも安倍氏ら自民党の政治家側も「圧力」を否定している。圧力があったかどうかは、受け止め方の問題でもあり、今後、水掛け論に終わる可能性がある。
だが、放送直前、NHKの番組編集や報道を統括する放送総局長が安倍氏と会い、番組内容を説明した点は争いがない。NHK側が「当時、自民党議員の間で番組が話題になっていた」と認めるように、「慰安婦制度は昭和天皇に責任がある」と結論づけた市民団体の模擬裁判をNHKが扱うのは大問題だという声が自民党内の一部にあったのも事実だ。
ところが、19日のNHKの説明によれば、国会議員に予算、事業計画などを説明する際、担当役員を同行させ、今後の番組の説明をするのは通常業務の範囲なのだという。もし、それが日常的に行われているのだとすれば、NHK幹部の感覚は、報道機関としての一般常識と大きくズレていると言うべきだろう。
「NHKの政治部記者は政治家と一心同体ではないか」「政治報道に批判精神がなさ過ぎるのではないか」……。他でもない、NHK職員から、「局内における政治部重視」への不満が日常的に聞かれることを幹部は知っているだろうか。視聴者の受信料で経営が成り立っているというのに、とかく視聴者より政治家に目が向いていないか。反論もいいが、こうした声を謙虚に受け止めないと次の議論に進めない。
もちろん第二の問題も軽視できない。安倍氏のように番組が扱った「裁判」に問題があったという主張があるのも分かる。しかし、歴史認識の問題は別の次元で大いに議論すればいい。この問題を、ことさら「朝日新聞対安倍氏」という構図で取り上げ過ぎると、NHKの体質という本質からそれていく恐れがある。
肝心の事実認定で朝日新聞とNHK、政治家側の言い分は大きく食い違っているのが現状だ。やぶの中に入りつつある事実関係をきちんと確かめることも必要だ。
毎日新聞 2005年1月21日 0時18分
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20050121k0000m070145000c.html