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1月18日付・読売社説(1)
[津波災害派遣]「広がる自衛隊の国際的役割」
自衛隊の国際的役割の広がりを示すものだろう。政府は、スマトラ島沖地震と津波の災害に対し、過去最大の千人規模の自衛隊を派遣した。
国際緊急援助隊派遣法に基づく自衛隊の派遣は五回目だ。今回は、海外の災害に対する自衛隊派遣として、規模、広範な多国間調整による国際協調、陸海空三自衛隊の協力体制のいずれをとっても、画期的なものである。
タイの海軍ウタパオ基地に拠点を置く航空自衛隊は、米国など十数か国の軍や国連などと調整を図りつつ、物資の輸送活動を開始した。陸上自衛隊は、一月下旬からスマトラ島沖に停泊する海上自衛隊の輸送艦を拠点に、物資輸送、医療・防疫活動を本格的に行う。
インドネシアのスマトラ島北部アチェでは、分離独立運動が高まっている。スリランカでは、少数民族タミル人との内戦が続いている。海上の要路である、周辺のマラッカ海峡などでは、海賊がタンカーなどの航行を脅かしている。
この地域は、まさに「不安定の弧」の一角に当たる。
食料や医療など緊急援助から、社会基盤整備など復興支援まで、日本や国際社会の継続支援が必要だ。総合的支援によってインドネシアやタイという地域の中核国がいち早く立ち直れば、日本と国際社会の安全保障の確保にもつながる。
米国が積極的に被災国支援に乗り出したのは「不安定の弧」の安定化を図る目的もあるからだろう。日本の平和と安全にとっても、この地域の安定が欠かせない。自衛隊が米軍や国連と連携して支援するのは、当然のことだ。
一万五千人規模が派遣されている米軍は、在日米軍が主体だ。在日米軍の再編に伴い、米軍と自衛隊の役割分担をどう見直すのか。今回の支援活動は、それを判断する試金石にもなる。
今回の派遣では、陸と海の統合部隊は編成しないが、統合幕僚会議が統合調整を図る。三自衛隊は来年三月、指揮・命令を一元化する統合運用に移行する。陸海の部隊の協力を通じ、問題点を点検することで、統合運用の態勢整備に役立てるべきだろう。
自衛隊が迅速に効率的に任務を遂行するには、従来の縦割りの組織のままでいいはずがない。統合運用は、自衛隊が進めるべき構造改革の一環だ。
政府は、自衛隊法を改正し、自衛隊の国際平和協力活動を国土防衛と並ぶ本来任務に格上げする方針だ。今回の災害派遣で国際協力の実績を挙げることが、自衛隊法改正への理解を深め、その流れを加速させることになる。
(2005/1/18/01:33 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20050117ig90.htm