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自殺予防へ総合対策 自治体・NPOと連携
男性の年代別の自殺死亡率の推移
自殺者が年間3万人を超えている事態を受け、政府は関係省庁横断の連絡会議を設けるなど、総合的な自殺防止対策に乗り出す。対策の拠点として「自殺予防総合対策センター」(仮称)を設置し、地域の行政機関やNPO(非営利組織)と連携して全国的なネットワークづくりをめざす。これまでの省庁ごとの対策では成果が上がっていないことから、政府一体の取り組みで自殺者を減らしたい考えだ。(清井聡)
参院厚生労働委員会が19日、政府に自殺対策を求める決議をする。決議は自殺を「個人の問題に帰すことなく社会にかかわる問題」と位置づけたうえで、政府に自殺者数・自殺率を引き下げるための具体的な対策をとるよう要請。政府はこれに応える形で、内閣官房に厚労、文部科学、総務、警察など関係省庁の局長クラスによる連絡会議を設置する。
これまでは、2010年までに自殺者2万2千人以下の目標を掲げる厚労省をはじめ、各省庁が個別に対策をとってきた。しかし働き盛りの中高年の自殺の増加やネット集団自殺など新たな状況を踏まえ、うつ病対策など「個人への対症療法」中心の従来の施策では対応できないと判断。関係省庁間で調整して効果的な対策を探ることにした。
「対策センター」は、厚労省所管の国立精神・神経センター精神保健研究所(東京都小平市)に置く。自殺の実態把握や原因研究のほか、自治体や警察、学校、NPOなどと連携。情報提供や研修を通じた専門家育成なども行う。
厚労省やNPO「ライフリンク」(東京都)によると、海外では政府の自殺対策が効果を上げた例がある。自殺者の全遺族を対象とした調査などで10年間で自殺者が3割減ったフィンランドが有名。スウェーデンでも、自殺予防にかかわる医師やカウンセラーを対象にした研修プログラムなどで、約10年で男性の自殺率が2割ほど減った。
ハンガリーでは自殺未遂者の専門病院をつくるなど事後対策が進んでいる。学校での自殺予防教育のためのハンドブック作製(オーストラリア)、うつ病の大規模診断事業や啓発活動(米国、英国)も知られている。
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◆キーワード
〈自殺者数の動向〉 厚労省の人口動態統計によると、04年の自殺者数は3万227人。2年連続3万人超で死因の6位だった。91年に2万人を割った自殺者数は、金融機関による貸し渋りが問題になった98年に急増、3万人を超えた。01〜02年は2万9千人台だったが、03年には3万2109人と過去最多に。
人口10万人あたりの自殺死亡率を見ると、50〜54歳の男性が90年ごろから突出している。バブル崩壊後の不況が、この世代を直撃した様子がうかがえる。
04年の年代別では、50代が7289人と最も多かった一方、20〜39歳では死因の1位を占めた。特に20〜24歳では前年より103人増の1312人にのぼった。同省は、ネット自殺が影響した可能性があるとみている。
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