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牧太郎コラム:燃える氷?
◇キレの良いのが珠にキズ
異常な原油高が続いている。7日、ニューヨーク商業取引所では国際指標である米国産WTI原油先物価格が一時、1バレル=62ドル台。83年の取引開始以来の最高値で、ニューヨークの株式は暴落した。
熱帯性低気圧の影響で石油生産施設が稼働を停止したという理由もあるが、原油高の元凶はどう見ても中国の異常な原油需要。石油輸出国機構(OPEC)に生産余力がないとなれば70ドル台だってあり得る。
悲鳴が聞こえてくる。例えば、原油高で発泡スチロール箱が値上がりして、納豆の値段に影響が出かねない。原油高がお台所を直撃する。原子力が主流になっているので平然としているが、火力発電が主流だったら日本のエネルギーは底を突く。
4月1日、特許庁は「海底資源探査システム及び海底資源探査方法」なるものを特許原簿に登録した(特許第3662921号)。
発明者は20年ほど前に「日本初の女性海技士」と話題になった青山千春さん。メタンハイドレートの埋蔵地域を魚群探知機を使って探し当てるという画期的な方法である。
メタンハイドレートは低温高圧の条件下で、水分子の結晶構造の中にメタン分子が取り込まれた氷状の固体物質。火をつけると燃焼する。燃える氷?
日本近海に存在するメタンハイドレート層のうち、将来、資源開発が可能とみられるメタン総量は7.4兆立方メートルで、天然ガス消費量の約100年分にも及ぶという。
そのメタンハイドレート層を魚群探知機で探し当てれば効率よくボーリングできる、という仕組みだ。
しかし、メタンハイドレートは圧力や温度の変化に敏感で、構造が急速に崩壊する。気体と水とに分解し、メタンが二酸化炭素の40倍以上の温室効果を持つから「地球温暖化を助長する」という意見もあるのだ。
夢のエネルギーがそれほど簡単に登場するとは思えないが、“燃える氷”の形成・崩壊メカニズムは早急に解明される必要がある。
日本海で、中国側は櫓(やぐら)を立て調査掘削を始め、一方で日本の調査船に「探査を中止せよ!」と威嚇している。“歴史認識”で日本を右往左往させ、そのすきに……と勘ぐるつもりはないが、中国はいつも強引?
日本人はエネルギーが21世紀最大の国策であることを知るべきだ。(専門編集委員)
毎日新聞 2005年7月12日 13時57分 (最終更新時間 7月12日 14時53分)
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20050712k0000e070082000c.html