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若年層ほど所得格差の広がるスピードが速くなっていることが内閣府経済社会総合研究所の分析結果で分かった。若者を中心としたフリーターの増加や、企業や業種間格差の広がりも所得格差の拡大を後押ししたとみられる。分析した太田清・総括政策研究官は、「所得格差が大きくなる日本の将来の社会を示唆している可能性がある」と指摘している。
太田氏の「フリーターの増加と労働所得格差の拡大」と題する報告は、総務省が五年ごとに実施する「就業構造基本調査」をもとに、派遣労働者らフリーターを含む「男性従業員」の所得状況を分析。二十歳から五十九歳までを五歳刻みで八つの年齢層に分けて、所得格差を計算した。
分析によると、金融不安が広がり、バブル崩壊による後遺症が深刻化していた平成九年から十四年までの五年間で、最も所得格差の拡大幅が大きかったのは、「二十−二十四歳」の若年層だった。
その所得格差(ジニ係数)は、五年間で19・1%から22・1%へと3ポイント上昇。額にすると、仮に手取りの所得の平均が四百万円だとすると、七十六万四千円の格差が八十八万四千円と十二万円分、格差が広がったことになる。
分析対象期間は、景気低迷で企業が正社員の採用を抑制し、非正規社員に切り替えていった時期と重なる。この間「二十−二十四歳」の男性従業員のフリーターの割合は七・六人に一人が三・八人に一人にまで高まっていた。
フリーターの割合が、平成九年と同じだったと仮定した試算では、所得格差の上昇率は0・5ポイントにとどまっており、収入が正社員に比べて低い非正規社員の大幅な増加が所得格差の拡大につながったといえそうだ。
一方、若年層の所得格差拡大はフリーターや派遣社員などを除いた「正社員」対象の、別のジニ係数でもみられた。社会人になって間もない「二十−二十四歳」は0・5ポイントと差は小さいが、「三十−三十四歳」は1・5ポイント。二十五歳から四十四歳までの各層の上昇幅は1ポイントを超え、若年社員層を中心に格差拡大のテンポは速まっていた。
四十五歳を超えると、正社員の格差の上昇幅は縮小。「五十−五十四歳」のゼロ%(格差拡大なし)となっており、いかに若年層正社員の所得格差が広がっているかが分かる。これは、企業や業種、業態によって、業績に格差が広がるなど、若年層ほどその影響が大きいためとみられる。一方で、成果主義賃金の導入拡大なども影響しているといえそうだ。
太田氏は、「所得格差が拡大した米国では、一九七〇年代半ばから、まず、若年層の格差が急拡大し、八〇年代にかけて全年齢層に広がった。日本も同様のことが起きているかもしれない」と話しており、日本でも、中高年層の所得格差拡大につながっていく可能性が高く、税制や社会保障のあり方にも影響を与えそうだ。
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ジニ係数 イタリアの統計学者、コッラド・ジニが考案した所得の格差をあらわす代表的な指標。数値が「1」(100%)に近くなるほど格差が大きくなることを示す。逆に、数値が「0」(0%)だと格差が全くない状態を示す。例えば、ある一定の期間の所得平均が100万円のグループでジニ係数が0.2(20%)だと、20万円の格差があることを表す。また、上昇幅が3.0ポイントの場合、所得の格差が3万円広がったことを示す。
5月30日2時40分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050530-00000002-san-soci