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「金持ちの立場から言えば、デフレが続けば続くほどオイシイ」 (森永卓郎)
http://www.asyura2.com/0502/social1/msg/346.html
投稿者 外野 日時 2005 年 5 月 21 日 21:56:41: XZP4hFjFHTtWY

http://www.mammo.tv/interview/128_MorinagaT/

経済アナリスト

森永 卓郎 さん

Takuro Morinaga

アメリカ型の競争社会の到来!
成功を目指すか、楽しく暮らすか?


いまの10代は、きっと物心ついた頃から
「世の中不況だ」を聞かされて育ってきたはず。
周知の事実の不況。
でも、なんで10年以上続いているの?
という素朴な疑問には誰も応えてくれない。
いったいこの不況の原因は何なのか。
経済評論家の森永卓郎さんに
ズバッとお聞きしました。

もりなが たくろう

1957年7月12日生まれ。東京都出身。東京大学経済学部卒業。日本専売公社、日本経済研究センター、経済企画庁総合計画局等を経て、91年から且O和総合研究所(現:UFJ総合研究所)にて主席研究員として現在に至る。主な著書『年収300万円時代を生き抜く経済学』『非婚のすすめ』『痛快!ビンボー主義』など多数。

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――この10年、不況が続いています。なぜこうも長引いているのでしょうか。

 いまの不況のほぼすべては、デフレによるものです。このデフレは、第2次世界大戦後、どこの国でも起こっておらず、日本だけが陥っているという極めて異常な事態で、それが10年も続いているわけです。すごいことが起こっているのですが、政府はわざと不況にしていると思えて仕方ないんです。

――経済力が落ちる政策をわざわざ行うものでしょうか。

 と言うのも、バブルの清算は95年で終わっていて、96、99、02年と3回デフレ脱却のチャンスがあったのに、それを潰してきたから、そう思うんです。

――経済評論家の中には、「構造的なデフレだ」と指摘する人もいます。

 バブル崩壊の影響だ、中国から安い輸入品が入ったからだ、IT革命で生産コストが下がったからだ…と、構造を問題にする人は多いです。でも、バブルの清算で言えば、土地、株の値段は90年代の半ばには元に戻っているから、その影響ではありません。中国からの輸入品は、日本だけでなく欧米もたくさん買っているのに別にデフレになっていない。IT革命に至っては世界共通で起こっているでしょう。
 不況脱却のチャンスのたびに引き締め政策をぶつけているから、これは財政と金融を締め上げることで景気を回復させないようにしているとしか思えません。
 景気が悪いときに財政を出動し、金融を緩和するのは、この70年くらい世界の国が勉強してきた経済学の基本中の基本です。でも、いまの政府はまったく反対の政策を行っている。逆をやってよくなるはずがないでしょう?

――それが本当だとすると、なぜそうした政策を行うのでしょうか。

 そうすることで喜ぶ人がたくさんいるんですよ。70年前に起きた世界恐慌を見ても明らかなように、デフレが起こると富んだ人はますます富み、そのしわ寄せは弱い人に必ず来ます。当時、何が起きたかと言えば、大企業でリストラされず雇用の守られた人は、賃金がさほど下がらず、それでいて物価がすごく下がったから、ものすごくオイシイ思いをした。反対に労働者の立場は弱くなり、首切り、賃下げはされ放題。文句を言ったら、「代わりはいくらでもいるんだぞ」と言われ、こき使われた。
 現に今の大企業は首切りと賃下げで、この不況の中で上場企業の20%近くが過去最高益を挙げている。強者にとって、こんなに笑いが止まらないことはありません。

――高卒の半数が就職未定と、若年層から生活基盤を築く機会が奪われています。

 相手の顔が見えているときはクビも切りにくいけれど、まだ採用していない人は簡単に切ることができる。だから高卒、大卒の人は就職先がない。高卒の人に対して、就職しても3年で辞めてしまい根性がないと言われたりするけれど、実は重要な事実が見落とされています。就職機会が少なくなっているから、人材を使い捨てるような企業に就職してしまうケースが増えている。だから、いちがいに根性がないから会社を辞めているのではない。
 金持ちの立場から言えば、デフレが続けば続くほどオイシイ。デフレを喜んでいるのは、経営者や生活者でなく投資家で、彼らは株や土地、事業が欲しい。実際、ものすごく安くなっていて6大都市圏だと、土地はバブル時の1/6に下がり、株価は3万9000円から7000円代と1/5! キャッシュや預金を持っている人は、この10年で6倍の土地あるいは5倍の土地を買えるようになったわけで、こんな高利回り商品はありません。
 事業もどんどん倒産していくから、長年かけて築かれた企業をただ同然の値で乗っ取ることができます。もう少しオイシイ思いをしたい投資家のためにデフレが続いている。つまり、小泉内閣の経済政策は、強い人・能力のある人に手厚い配分をし、そういう人に経済を引っ張らせようと思っているわけです。

――それでは経済的なパイが小さくなり、国力が落ちるのでは?

 パイを膨らませることは、もはや大した目的ではありません。デフレが続く中、ものすごく大きな構造改革が行われています。今の政策は、経済の仕組みを平等分配から市場原理による弱肉強食に変えています。パイを膨らませるのは、平等分配のときには重要だったけれど、金持ちにとっては、それで豊かになっても大したことがないことがわかった。
 例えば、いままでの日本では、新入社員の年収が300万円なら、社長はせいぜい3000万円と10倍差しかない。アメリカは年収100万円から100億円までいます。普通の会社でも社長だと30億円。下もいるけれど、金持ちにとっては、所得水準が高いことよりも、所得格差があることが好ましい。日本のビジネスエリートで、メイドや運転手がいる人は見たことがありませんが、アメリカにはいます。それらは所得格差があれば可能で、アメリカ型の社会にすれば、ごく一部の階層がとんでもなくいい生活ができ、人を支配することでそれができるわけです。

――つまり、「そういう社会にしましょう」というのが小泉内閣。

 だって、現にそう言っているでしょう。意欲と能力のある人に手厚い分配をできる社会にする。グローバルスタンダードに倣うと。それはアメリカ型社会に揃えるということです。

──抵抗勢力を潰すとか規制緩和とか、いいイメージが先行しています。

 それは勘違い。みんな自分の給料が下がり始めたから、「もしかしたら…」と思い始めていますよ。でも、実は今の政策は、意欲と能力の高い人、成果を上げた人が報われる社会にするのではなく、たまたま金持ちの家に生まれた人たちが支配階級として再生産される世の中にしようとしています。
 例えば東大に合格した人の親の平均年収は1000万円を超えています。偏差値の8割以上は、親の年収で説明できるから、教育投資だけでなく、司法試験も公務員試験も予備校に行かないと受からない世の中になっています。金をかけた人の勝ちなので、結局金持ちの子供が入学できる。そういう人たちが、エリート階層を独占する上に、所得レベルはどんどん上がる。今までは年収1000万円が成功の証だったが、社会が年収300万円と、1億円というクラスのふたつにわかれていくようになる。今起こっている事態はそれです。

──暗い気分になりますね。

 ものすごく努力をして、年収1億円に這い上がっていくのがひとつの生き方。それは否定しないけれど、えらい大変! 仕事は24時間操業で家に帰らない。世界中のビジネスエリートの暮らしはそういうものです。専業主婦か主夫が必要で土日もなく、世界中転勤する生活。でも、いつクビになるかわからないし、株主から訴えられるかわからない。あらゆる不安を抱えて突っ走る。
 確かに仕事は、一般サラリーマンより緊張感はあっておもしろいかもしれない。覚悟があればやればいいと思うけれど、成功率は1%あるかどうかでしょう。
 もうひとつは、ほどほどに働く生き方。アメリカでもそういう人は凄く多い。昇給しないし、そんなに楽しい仕事や責任感のある仕事ではないが、ほどほどの給料とたっぷりの休暇を貰い、人間的な生活をする。どっちがいいかという選択にさらされていると言えます。

──これまでのように企業に就職し、結婚といった安定した人生のモデルケースがなくなるわけですね。

 でも、俳優やプロ野球選手のような生活がサラリーマン社会で再現されるだけとも言えます。イチローや松井は年俸何億円だけど、ファームの選手は600万円くらいしかもらえない。2流のほうが圧倒的に多い。かといって2流は悪いことではないし、負け組でもない。どっちにしろ2流なら、よりましな仕事を選ぶのが大切でしょう。その上で大事なのは、楽に儲かる仕事は絶対にないということ。

──適性というのは、なかなかわからないものです。

 専売公社に入ってからの半年間、ラインを流れる煙草のパッケージを積んではボール箱に詰める仕事を毎日7時間半くらいしていました。私には耐えられなかったけど、苦痛に感じない人もいました。比べて、営業で初めて会う人と話をするのが死ぬほど辛い人もいたけれど、私は平気だった。それぞれ向き不向きがあります。
 働く時間は人生の中で占める割合は大きいし、それならマネージメントの楽しさでなく、仕事そのものの楽しさを早く見つけたほうがいいですね。
 例えば、高校生がファミレスでバイトをするとして、マニュアル通りに動いているだけなら時間が無駄になります。店長がどういった採用、勤務管理をしていて、今何に悩みを持っているか。仕事のどこに喜びを見いだしているか。話をし、観察すれば絶対にわかる。機会を見つけて、親や友達、先輩に取材すればいい。そうして「これがいいかな。こっちがマシかな」と当たりをつけるわけです。

──ところで、森永さんは若い頃どういった仕事を志望していたんでしょうか。

 物理化学をやりたかったのですが、大学に入った途端、高校で教えられたことは間違いだと知ってショックを受けました。原子核の周りを電子がぐるぐる回っていると教えていたくせに大学では「あれは嘘だ」と言われた。"電子は確率密度で分布している"。そこまでは理解できたけど、その確率密度が複素数だった。2乗するとマイナスになる数ですよ! 半年間悩んで、その結論は…「これは生理的に許せない」(笑)。それで経済に転部しました。
 ただ、経済学は微分積分ができないと何も進まないので、そういう意味では高校のときの数学は役立っています。

──実社会に出ると、無駄だと思っていたことが意外と役だったりします。

 そういう意味では、会社ほどおいしいビジネススクールはないと思います。営業、経理、総務がいて、誰がどういう仕事をしているかわかります。日本の会社はガードが甘いので、若い人が「教えてください」と言えば、必ず教えてくれる。独立して会社をつくるときに、営業から経理、採用の知識がいるけど、それらをただで教えてくれるわけです。授業料もらいながら学校に入る気持ちで教えて貰えばいい。ただ、最初は役に立たないから、教えてもらう代わりに手伝いはすること。
 教えられるには、可愛がられることが必要で、職業能力とも言えます。真面目に教えを請う姿勢を持っていたら可愛がられるし、自分のしたい仕事見つかったときに、上司や周囲も協力してくれる。そういう戦略を考えておくことも大事だと思いますね。

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