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ヒロシマ発経世済民――小泉政権の何が誤っているか 2005/04/30
http://www.janjan.jp/government/0504/0504276338/1.php
『JANJAN』は市民が記者になってニュースを送るインターネット新聞です
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小泉政権が発足して4年が経過しました。景気は回復基調にあるといわれていますが、家計や中小企業にまつわる数字は依然厳しい状況が続いています。働く人が受け取る賃金などを示す、雇用者報酬は低水準にありますし、日銀短観の設備投資計画でも中小企業のマイナスが目立ちます。
また、小泉政権が約束したはずの財政再建も全く達成されてはいません。国債を30兆円に押さえると言う公約は、初年度当初予算だけでその後は軽くオーバーする状態が続いています。
一体何が誤っているのか?JANJANの記事でも何度か述べましたが、小泉政権が4年になったということで改めて整理します。
日本の庶民生活圧迫し、アメリカに「貢献」
端的に言えば、日本経済の問題点は需要不足であるのに、需要対策を行わず、供給側の対策ばかりを行い、経済、財政を悪化させたということが最大の問題です。そして結果として日本の庶民の暮らしを圧迫し、アメリカ、そして中国に「貢献」しているということです
小泉政権は、基本的に日本経済が停滞しているのは、停滞分野から成長分野へ人や金といった資源がスムーズに移動しないことに原因がある、という理論に基づき、政策を立案してきました。不良債権処理加速化にせよ、民営化にせよ、規制緩和にせよそうです。無論、これらはアメリカの要求でもありました。不良債権処理加速化はブッシュ大統領の森前総理への要求でしたし、郵政民営化も規制緩和も米大使館HPでも見ることのできる年次改革要望書に基づくものです。
アメリカの要求通りにして正しければまだ、良いのですが、問題は残念ながら日本経済にとっての正しい処方箋ではなかったということです。
そもそも、今の日本で人やお金といった資源が不足していて経済が停滞していると言う状況ではありません。これらはむしろ余っています。超低金利ですし、失業者も多くいることがそれを証明しています。成長分野に資源が行かないから経済が停滞していると考えるには無理があります。むしろ需要が少ないから成長分野も資源を吸収してまで生産を増やそうとはしない、と考えた方がしっくりきます。
例えば郵政を民営化したら郵貯・簡保のお金が民間に流れて経済が活性化すると言う議論がありますがそもそも今はお金が余っている。民間銀行でさえ、仕方なしに多額の国債を買ったり、海外へ投資をしているわけです。そうした状況で民営化したとしても経済が活性化す保証はどこにもない。需要対策があれば別ですが小泉政権は需要対策をしていません。それよりも、郵貯・簡保が米国資本の手に万が一渡れば、日本人の金融資産の多くの部分が米国の思うがままに運用される可能性が高い。国債を多く郵貯は買っていますから、日本政府は首根っこをつかまれることにもなりかねません。
内需の低迷
小泉政権が需要対策を怠っているために何が起きたか。それは内需の低迷です。そして、企業は輸出、そして海外進出に活路をますます見出すようになりました。円高が進む中で、中国の異常な元安政策も手伝って、企業の中国への移転も加速します。
国内では雇用を増やしませんから、家計も苦しくなります。また、内需低迷でデフレが続けば、税収も低迷します。その先例は1997年、増税した年は税収が増えたものの、翌年は、大不況で一挙に増税前より税収が落ち込んだことに見出せます。あのときは、その上、景気を持ちなおさせるため、余計な借金までしなければなりませんでした。傷口を広げたのです。その教訓が生きていませんでした。小泉政権は、需要対策をしないまま不良債権処理の加速化でデフレを激化させたのです。アメリカにお金の流れを向けさせたり不良債権処理ビジネスで儲けたりしたいと考えていたアメリカのために、日本国民の暮らしを圧迫したのです。
その上小泉政権は、年金保険料引き上げ、配偶者特別控除・老年者控除の廃止、年金控除の縮小、定率減税の縮小・廃止など家計を直撃する政策を矢継ぎ早に打ち出しています。デフレ圧力がさらに経済にかかることになります。
内需の低迷は必然的に外需だのみとなります。結局それは、円高を招きます。それを糊塗するため、35兆円にものぼる巨額のドル買い為替介入を2003年から2004年に掛けて一時期小泉政権は行いました。為替介入をする羽目になるくらいなら、むしろ財政支出で内需拡大を行っての円高是正を目指すべきだったのではないでしょうか。
このままではどうなるか
小泉政権の政策がこのまま続けばどうなるか。アメリカと中国のために結果としてなる経済政策が事実上続き、国民生活は脅かされるでしょう。日本では内需が低迷しますから、資金需要も低迷する。お金はアメリカに流れます。そしてアメリカはそれを使って戦争でも何でもできます。むろん、「年次改革要望書」どおり、アメリカ企業のための規制緩和などが行われ、万万歳です。中国は中国で、円高傾向の中で日本企業が(往々にして日本国内をリストラして)進出してきて助かります。しかし、日本国内ではリストラが進み、雇用が減ったり、増えてもパートやアルバイトという状況になります。
財政はどうか。再建の目処はたつどころか、税収の低迷が続き、借金は増える一方でしょう(逆にいえば、民需が低迷する中で政府がお金を借りて経済をなんとかバランスさせているともいえる。もし政府がお金を借りて使わなかったら経済は縮小してしまう)。
経常黒字も当面続くでしょうから、実力以上の円高にさらされることにもなるでしょう。企業はそれに対応してリストラを行う。正規からパート・アルバイトへの置換えを更に進めるなどするでしょう。結果としてフリーターやニートが増え社会は不安定化していくでしょう。
思い切った需要対策を
この流れを反転させるには、思い切った需要対策しかありません。経済を活性化させ国民の利益を守るには、現状ではそうするしかないと考えます。積極財政により、需要を増やし、人や金が使われるようにすることです。それによって経済が活性化し、税収も増え、財政再建にも資すると思います。また、家計に回復を波及させるため、正規職員とパート・アルバイトの均等待遇なども進めていく必要があるでしょう。
小泉政権は、「悪役」(抵抗勢力)をたたくことで求心力を維持しているといえます。「自民党をぶっ壊す」と啖呵を切っていたのもそういうことです。悪役を演出してこれをたたくことで不況で苦しむ国民に、溜飲を下げてもらうと言う戦略。一種の分割統治とも言えます。
権力維持には、これらは、結果としてみれば良かったのですが、経済問題を何ら解決するものではありません。
財政も緊縮財政をしているが故に、三位一体改革の名の元に地方を切り捨てたりしなくてはいけなくなっています。そうではなく、積極財政をすれば、悪役をつくったり、どこかを切り捨てたりしなくても財政は運営できるのですがそれを小泉政権はしません。
小泉政権に流れを反転させることができないのであれば、ご退場願うしかありませんが、それでは野党はどうかといえば、これまた頼りないのが実情です。第1党は小泉路線に近い政治家も多く、他は力が無い。
しかし、とりあえずでも、小泉政権の需要を冷やすような政策はストップさせる必要が緊急にあるでしょう。
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