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@教科書検定:竹島表記で譲らず 文科省が主導、修正(毎日新聞)
「韓国が不法占拠している竹島」。5日、検定結果が発表された中学教科書。「新しい教科書をつくる会」主導で、扶桑社発行の公民教科書で、竹島の記述に検定意見が付き、政府見解通りに修正された。当初、「不法」の2文字はなかったが文部科学省が承諾せず、「不法占拠」と明記されたことも分かった。同省は今回、近現代史の記述に正確性を強く求めるなど中国や韓国への配慮もうかがえた。だが竹島問題では譲らなかった。
◇「不法占拠」使うよう 強い態度につくる会困惑
領土問題について、学習指導要領は、地理が「北方領土」について触れるよう定めているだけで、公民に規定はない。「竹島」については教科書に書いても書かなくても構わないのが実情だ。このため、8社のうち、竹島を記述したのは地理1社(日本書籍新社)▽公民3社(扶桑社、大阪書籍、東京書籍)だった。
扶桑社の教科書は本文で、竹島などについて「歴史的にも国際法上もわが国の固有の領土」と書いてある。だが教科書の最初の方のページ(口絵部分)の写真説明「韓国とわが国で領有権をめぐって対立している竹島」に「領有権について誤解する恐れがある」と意見が付いた。
扶桑社は「韓国が占拠している竹島」という案を提示したが、文科省は「韓国による竹島の占拠は不法」という政府見解と合致しないと、承諾しなかった。
文科省は「検定では出版社に『こう書け』ということはないし、書かないという選択肢もある。あくまでも自主的な判断」と強調する。だが、扶桑社は「意見を付けられたら直すしかない。何度か原案を持っていって、最終的にOKが出たのが政府見解を書いた表現だった」と困惑する。
他社の記述はどうか。大阪書籍は「韓国もその領有を主張しています」、日本書籍新社は「日本と韓国の間には日本海の竹島をめぐる問題がある」と書いた。「韓国が不法占拠」という表現はない。検定意見が付かなかったのは、同一か隣接するページに日本の排他的経済水域などについての地図が掲載してあるからという。同省は「固有の領土であるということが分かる地図とセットで考えれば誤解の恐れはない。扶桑社の場合、写真説明が本文と離れすぎていて分かりにくい」と説明している。
◇歴史認識、本質は変化なし 扶桑社教科書
扶桑社の歴史教科書についた検定意見は124カ所。前回の137カ所より減ったが、他社は1社を除いて2けただった。同社は「現行版のシェアが少なかったので、教科書としての商品力を上げようと大幅にリライトした結果」と説明する。
同社は初参入した前回検定で合格はしたが、採択率は0.038%で、損益分岐点といわれるシェア1割に届かなかった。そのため中学校約10校に協力を求め、改善点を洗い出すヒアリングを実施。8ページだった神話を2ページとし、原文を全文掲載していた教育勅語を一部要約とするなど、内容を変更した。
だが、申請本を読む限り、本質的な歴史認識に変化はない。南京事件の記述をはじめ(1)満州国建国を「関東軍と現地人政治家によって満州国が建国」(2)創氏改名について「日本式の姓名を名乗ることを認める」と記述した。検定意見は「実態について誤解する恐れがある」と指摘し、「関東軍は満州国建国を実現し」「日本式の姓名を名乗らせる」に修正された。
一方、南京事件については、清水書院と日本文教出版、帝国書院の3社が「大虐殺」と記述。東京書籍と大阪書籍も女性や子供ら多くの住民が殺害されたことに言及した。被害者数が確定していないことに触れた社もあった。教育出版と日本文教出版は日本が事件をめぐり、諸外国から非難されたこと、また、国民は事件について知らされなかったことを欄外などで紹介した。
創氏改名については、扶桑社を除く7社が「日本による強制」と記述した。
◇領土と歴史分離、落としどころ探る狙い 韓国政府
韓国政府は、公民や地理の中学教科書で新たに浮上した竹島問題と、歴史教科書における歴史認識の問題を分けて対応する方針だ。日韓両政府が対立する領土問題だけが突出するのを避け、歴史認識で日本の改善努力を促し外交的「落としどころ」を探る狙いがある。
01年検定の際には韓国政府が35項目の再修正を要求、駐日大使を一時帰国させるなど政府が前面に出たが、今回は日本の自発的な修正努力を促し再修正要求は自制する構えだ。
しかし、竹島問題では「主権にかかわる領土問題は政府が直接責任を持ち、断固対処する」(外交通商省報道官)とし、竹島に建築物を増設するなど「実効的な支配」を進め、国際社会への広報活動を強め、日本との外交摩擦を覚悟で攻勢をかける見通しだ。
韓国政府は5日、竹島問題で、前回01年の検定と比較し、公民や地理の教科書で新たな記述が登場したり、領有権の主張が強化された点を問題視する分析結果を発表した。それによると、扶桑社の公民教科書で01年教科書になかった竹島の写真が掲載された点などに加え、他の3社で初めて竹島問題の記述が登場したことを「改悪」とした。
歴史教科書では、全8社の教科書を41項目にわたり分析し、4項目だけが問題解決されたとする見解を示した。外交通商省は、前回検定と比較し「非常に不十分」としながらも「日本政府なりに努力した形跡がある」と一定の評価をした。
扶桑社の教科書については別枠で、01年に問題と判断した25項目に新たな問題点を加えた計30項目にわたり検討。植民地支配を正当化する記述が削除された点など4項目を「改善」と評価する一方、日本が朝鮮の近代化に寄与したとする趣旨の表現が強化された点など5項目を「改悪」と指摘した。創始改名を強制した責任をあいまいにするなど、17項目はそのまま問題が残っており、4項目は一部改善されたものの、さらに修正が必要と分析した。
他の7社についても、9項目で01年に指摘した問題が残っているとし、清水書院の教科書で従軍慰安婦に関する記述がなくなった点など2項目を「改悪」と判定した。
一方、日中の市民団体と連携している韓国の市民団体「アジア平和と歴史教育連帯」の幹部は5日に会見し、「4年前と比べて少しも良くなっていない」と韓国政府より厳しい見方を示した。
また、扶桑社の公民教科書の竹島問題の記述について、「領土問題をめぐる右傾化プロジェクトに、日本の中央政府が連携している可能性が高まった」と不信感を強めている。【ソウル堀山明子】
◇侵略美化に憤慨 中国外務次官
一方、中国外務省の喬宗淮(きょうしゅうわい)外務次官は5日、阿南惟茂・駐中国大使を呼び「検定結果で合格とされた八つの教科書の中に、侵略を否定し、美化する右翼の歴史教科書が含まれることに憤慨を表明する」と強く抗議した。また、日本政府に対しては、歴史の反省と悪影響を取り除くため早急な有効措置を取るよう求めた。
中国メディアは検定結果公表前から扶桑社の教科書批判を続けており、韓国の反応などをにらみ一層批判を強めることも予想される。民間レベルでは教科書問題と合わせ日本の国連安保理常任理事国入りに対する反対署名や抗議デモが展開、日本製品不買運動も全国に広がりつつある。【北京・大谷麻由美】
◇日韓関係、悪化を懸念 日本政府
日本政府は5日、韓国側の批判を受け、日韓関係の一層の悪化を懸念している。町村信孝外相は7日のバン基文(バンギムン)韓国外交通商相との会談で、今夏終了予定の日韓両国有識者による歴史共同研究を韓国側の求めに応じて継続することを表明、「歴史問題に真摯(しんし)に取り組む姿勢」を強調するなどして関係改善策を探る方針だ。
文部科学省は昨年末来外務省との協議を通じ「検定の透明性を図ることで韓国や中国の反発を和らげる」(外務省幹部)方針を決め、4年前と同様、検定前後の教科書の記述をそれぞれ公表することにした。しかしその後、島根県議会の条例制定を機に竹島問題が争点化。扶桑社の教科書が竹島領有権を明確にした記述に修正されたことが明白になると、かえって韓国側の反発を招く結果となり、外務省首脳は「完全に裏目に出てしまった」と落胆の様子だ。
政府は、今夏をめどに「日韓歴史共同研究委員会」(日本側座長・三谷太一郎成蹊大教授)の日本側の新委員の人選を行い、韓国側と協議課題や期間の調整に入る方針だが、こうした取り組みによって韓国側の反発を抑えられるかどうかは不透明だ。【高山祐】
毎日新聞 2005年4月6日 3時00分
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/edu/news/20050406k0000m040155000c.html
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