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「人権擁護法案」に対する意見 --- 日本書籍出版協会
http://www.asyura2.com/0502/senkyo9/msg/127.html
投稿者 レイ 日時 2005 年 4 月 05 日 00:38:34: mRt2rX4ca0PnA

(回答先: 櫻井よしこ 「非常識を超えて、もはや恐怖 『人権擁護法案』が暗示する人権を弾圧する社会の到来」 投稿者 レイ 日時 2005 年 4 月 05 日 00:25:51)

2002年3月26日

「人権擁護法案」に対する意見

                  社団法人 日本書籍出版協会
                  理 事 長 渡 邊 隆 男


 政府は去る3月8日、「人権擁護法案」を国会に提出しました。同法案は、「人権の擁護に関する施策を総合的に推進し、もって、人権が尊重される社会の実現に寄与することを目的とする」と高らかに謳っています。しかしながら、この法案に対して言論・報道界をはじめ多数の識者から澎湃として反対の声があがっています。それらに共通する最大の理由は、この法案が「個人の表現行為やメディアの取材・報道活動を規制し行政の監督下に置こうとする提案であり、憲法21条に保障された言論表現の自由及び国民の知る権利をそこなうおそれが強い」からであります。

 私どもは下記にこの法案の主な問題点を列挙するとともに、この法案が廃案とされるか、さもなくば抜本的に修正されるよう政府当局者ならびに国会議員各位に訴える次第であります。

◆報道機関等の人権侵害

 例示されている事項は、いずれも基準が明確でなく広範かつ包括的である。歯止めのない恣意的運用に道をひらくものである。表現の自由や報道の自由こそ我が国憲法体制の基盤である。「人権委員会」の判断でかかる報道機関等の人権侵害を認定し、「予防を図るため」とし「必要な措置を講ずる」となった場合には国家権力による言論統制の危険が大きい。

◆予防措置等の広範な導入

 人権侵害が「発生するおそれのある被害の適正かつ迅速な救済又はその実効的な予防」として、「適当な措置」、「必要な調査」等々を随所に定めている。国家による事前検閲に道をひらくものである。

◆独立性を欠く「人権委員会」

 法務大臣の所管となる「人権委員会」は行政機関であることに変わりない。他の省庁との関係においても独立性を欠くこととなり、「独立してその職務を行う」ことの担保はない。さらに、国連の規約人権委員会勧告が指摘する国家による人権侵害の救済等の措置は甚だ不充分である。

◆「人権」の定義がされていない

 「人権侵害」の定義はされていても、「人権」や「差別助長行為等」の定義がされていないため恣意的な運用に道を開くことになりかねない。

 この他にも多くの問題点があります。私どもは、昨年1月、この法案の前段階である「中間取りまとめ」に対して意見書を提出し、強制調査権限を有する人権委員会等の設置に反対である旨を表明してまいりました。

 出版に携わる私どもは、「言論、出版その他一切の表現の自由」の重要性を主張するとともに、出版倫理綱領を定め、「言論出版の自由を濫用して他を傷つけたり、私益のために公益を犠牲にするような行為は行わない」、「報道の出版にあたっては、報道倫理の精神にのっとり、また評論は、真理を守る忠実にして節度あるものでなければならない。われわれは、真実を正確に伝えるとともに、個人の名誉は常にこれを尊重する。」と宣言しております。この法案でいう報道機関等の人権侵害の問題は、関係者の良識と自主的対応に委ねられるべきであります。問題が生じた場合には、現行法体制における諸制度によって対処することが至当であると考えます。

 提案されたこの法案は、日本国憲法が保障する言論表現の自由を根本から破壊してしまうおそれのある法案であることがいっそう明白になりました。「自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こらないようにすることを決意した」我が国であります。憲法を擁護する義務と責任を有する政府・国会は、先の大戦において国の内外に大きな災禍をもたらす結果となったわが国における言論弾圧の歴史を省み、この法案のもつ危険性を真剣に考慮して廃案あるいは慎重審議の上、抜本的修正を図るべきであります。

                                    以 上
http://www.jbpa.or.jp/jinken2.htm

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