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■竹島の日――草の根交流を損なうな 朝日新聞 2005年03月11日
日本海にある絶海の孤島、竹島を島根県が県土と告示して、今年で100年になる。その2月22日を「竹島の日」に制定し、啓発活動を通じて、韓国に実効支配されている島の「領有権の確立」をめざす。そんな条例案が島根県議会の委員会で可決された。来週の本会議で成立する見通しだ。
条例を作りたいという島根県側の事情も分からぬではない。
日韓間には、韓国側が領海とする島の周辺12カイリを除く日本海の広い海域を共同管理の「暫定水域」とし、領有権問題とは切り離して両国漁民の操業を認める合意がある。ところが実際には韓国漁船が乱獲したり、日本側が不利な立場に置かれているとして、島根県など山陰沿岸の漁民は不満を募らせてきた。
100周年を機会に、地元の思いを何とか形にしたい。もともとは、そんなところから始まった動きだった。
だが、それが韓国側からすさまじい反発を浴びることになった。
韓国政府は条例案の即時廃棄を求め、潘基文外交通商相の訪日を延期した。島根県と活発に交流してきた慶尚北道は、島根県庁に派遣していた職員の引き揚げを決め、道庁に派遣されている島根県の職員は出勤差し止め中だ。折しも「竹島は日本の領土」というソウル駐在の高野紀元大使の発言が韓国内で大々的に報じられ、騒ぎはいっそう広がった。
日本は、島根県への編入は手続きにすぎず、それ以前から固有の領土だったとの立場だ。しかし不幸なことに、韓国民にとっての100年前は、第2次日韓協約によって外交権が奪われ、日本による植民地支配に道が開かれた年である。
竹島を韓国の人々は独島と呼ぶ。その思いを込めた「独島、われらが土地」という唱歌を知らない人はまずいない。昨年は、竹島の姿をあしらった新たな記念切手が発行された。竹島は「日本による侵略の最初の犠牲地」であり、戦後の民族自立の象徴となっている。
竹島の領有権問題は40年前の日韓国交正常化の際にも棚上げでしのがざるを得なかった。それだけ根深い対立がある。それを今、ことさらあおり立てて、どれだけの得になるのか。
日韓関係はここ数年、飛躍的に深まった。歴史認識をめぐるわだかまりが折に触れて噴き出すが、底上げされた関係は双方に大きな利益をもたらしている。竹島でそれを損なってはいけない。
島根県議会に考えてもらいたいのは、政府が折り合えないからこそ、韓国の自治体との間で草の根の友好を広げていくことがいかに大事か、ということだ。同じことは韓国に対してもいえる。
「暫定水域」での漁業のルール作りについて、日本政府はもっと本腰を入れて韓国側との協議に臨むべきだ。
韓国政府は先月、日本側を刺激することを心配して警察庁長官の竹島視察をやめた経緯もある。国内の沈静化に努め、対日関係の立て直しを急いでほしい。
http://www.asahi.com/paper/editorial20050311.html
■【主張】竹島の日 「凛とした」外交と言論を 産経新聞 2005年03月12日
日本固有の領土である島根県竹島の領有権を確認するための「竹島の日」条例案が県議会総務委員会で可決された。十六日の本会議で成立する見通しだが、これにブレーキをかけようとする動きが日本の一部マスコミや政府内に見られるのは残念である。
朝日新聞は十一日付社説「草の根交流を損なうな」で、「条例を作りたいという島根県側の事情も分からぬではない」としながら、「竹島を韓国の人々は独島と呼ぶ」「竹島は『日本による侵略の最初の犠牲地』であり、戦後の民族自立の象徴となっている」などと韓国側の主張を詳しく説明し、対立を「ことさらあおり立てて、どれだけの得になるのか」としている。
どこの国の新聞か分からない主張だ。朝日はさらに「日韓関係はここ数年、飛躍的に深まった」「竹島でそれを損なってはいけない」とし、「韓国の自治体との間で草の根の友好を広げていくことがいかに大事か」を島根県議会に考えてもらいたいと書く。
朝日が言いたいのは、日韓友好のために竹島領有権の主張を控えよという趣旨のようだ。友好は大事だが、国家主権にかかわる領有権は、それよりはるかに大事な問題である。草の根交流のために、国の主権が損なわれるようなことがあってはならない。
外務省の対応も問題である。町村信孝外相は細田博之官房長官に「取り立てて今(条例制定を)やる必要があるのか」と疑問を提起し、同省は島根県と県議会にあて、韓国内で起きた抗議活動などを列挙した文書を送付した。条例を制定させまいとする国の圧力と受け取られてもやむを得ない。
現在、外国に不法占拠されている日本の領土は北方四島と竹島である。北方四島については、北海道と国が一体となって返還運動を推進し、二月七日を「北方領土の日」と政府が定めている。竹島についても、国は島根県議会の取り組みを支援すべき立場だ。
今年は、「日韓友情年」でもあり、外務省内は、友好ムードに水をさしてはならないという空気が強いといわれる。しかし、友好のために領土問題をうやむやにしてはならない。
町村外相ら今の外務省首脳は「凛とした外交」を強調している。竹島問題でも、凛とした姿勢を求めたい。
http://www.sankei.co.jp/news/050312/morning/editoria.htm