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天木直人・メディア裏読み( 3月11日)こんな裁判が行われていたとは/日本に収監され続ける元世界チェス王フィッシャー
http://www.asyura2.com/0502/senkyo8/msg/937.html
投稿者 天木ファン 日時 2005 年 3 月 11 日 17:39:40: 2nLReFHhGZ7P6

3月11日 05年43号 ◆ こんな裁判が行われていたとは ◆ 日本に収監され続ける元世界チェス王フィッシャー氏
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◆ こんな裁判が行われていたとは
◆ 日本に収監され続ける元世界チェス王フィッシャー氏
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 ◇◆ こんな裁判が行われていたとは ◆◇

 横浜事件をはじめて知った。戦時中の1942年7月、富山県の旅館に宿泊した中央公論社編集者や朝日新聞記者らが、「共産党の再結成のためだ」として神奈川県警特高課に治安維持法違反で検挙された事件だ。多くは終戦直後に懲役2年、執行猶予3年の判決を受けた。獄死者は4人、元被告は全員他界している。

 この事件をめぐって86年に第一次、94年に第二次の再審請求が起こされ、元被告らは「拷問で自白を強要された冤罪だった」として犯罪事実そのものがなかったと訴えていたが、いずれも「当時の裁判記録が焼却されて残っていない」などとして退けられた。このため、第3次請求で元被告側は、ポツダム宣言受諾で治安維持法は失効したと主張し、横浜地裁は法令適用の誤りを理由に再審開始を認める異例の決定をした。それを不服とした検察側が即時抗告をしていたのだ。東京高裁は10日、その検察側の抗告を棄却し、再審開始を認めた横浜地裁決定の結論を支持する決定を下したのだ。

 各紙が報じたこの決定をめぐる記事を読んで、この国の検察、司法の人権軽視の態度に暗澹たる思いを抱かざるを得なかった。この期に及んでも東京高検は、「再審開始決定が維持された事は誠に遺憾である。決定の内容を十分検討し、上級庁とも協議の上適切に対処したい」との談話を出している(10日朝日新聞夕刊)。そして第一次、第二次請求の場合は最高裁まで争われ、いずれも最高裁が棄却しているというのだ(11日大阪日日新聞)。一体この国の検察庁や最高裁判所の判事らは人権の尊さをなんと考えているのだろうか。

 拷問を受けた被告の自白が犯罪の証拠になりえないのは当たり前である。治安維持法が敗戦後に効力を失っていると考えるのは当然だ。そのような法律論以前の問題として戦前の日本ではかくも非人道的なことが国家権力の手で行われていた事に思いをはせるべきだ。官民を問わず我々今日の日本人は、戦後の日本がそのような暗黒の時代を持っていたことを恥じるべきだ。そして二度とそのような時代に戻らないことを固く決意すべきなのだ。

地下に眠る犠牲者のために一刻も早く再審を開始し無罪を確定すべきことは当たり前のことなのだ。有罪確定から60年も経て未だに国の誤りを認めようとしない検察や最高裁判事は不用だ。いや我々の生活にとってむしろ有害な存在なのかもしれない。


◇◆ 日本に収監され続ける元世界チェス王フィッシャー氏 ◆◇

3月11日の毎日新聞「記者の目」に、チェスの元世界王者のボビー・フィッシャーさんが東京入国管理センターに8ヶ月も収監されている異常さを指摘する記事が載っていた。チェスの世界チャンピオンなんて日本では関心がないかもしれない。しかし欧米では知らない人がいないほど有名だという。その有名人が、昨年の7月に、成田空港から出国しようとしたところ、米国の旅券が無効として収容され、面会も満足に出来ないまま収監され続けているのだ。

無効の旅券を持っていただけで何故8ヶ月も収監され続けているのか。それは米国が返還を求めているのに対しフィッシャー氏がアイスランド行きを求めて日本政府に訴訟を提起しているからだ。

フィッシャーさんは1972年9月、アイスランドで行われたチェスの世界タイトル戦でロシアの世界王ボリス・スパスキーさんを破って米国人初の世界王者になった。それが契機で友人ができたアイスランドにフィッシャーさんは出国を希望した。アイスランド政府はパスポートを出した。支援者は航空券も手配した。将棋の羽生善治氏も小泉首相に釈放の要請書簡を出している。しかし本来なら喜んで出国させ、無駄な税金は使わない法務省が、なぜか「行き先は米国だけ」と言い張って、出国許可を出さない。これは米国が日本政府に対して米国に送還せよと要請しているためだ。米国はアイスランド政府にも圧力をかけたが、アイスランド政府は拒否した。

何故米国はフィッシャーさんの送還を強く求めるのだろうか。フィッシャー氏は92年、経済制裁下のユーゴスラビアでチェスの対局を行い、賞金365万ドルを手にした。経済活動をしてはいけないという米政府の大統領令違反容疑で起訴されている。帰国して有罪となれば最高10年の懲役、25万ドルの罰金となる。しかしそのような脱税容疑だけで米国がフィッシャー氏の送還に固執するのであろうか。

昨年11月3日の読売新聞にこういう記事が出ていた。「・・・フィッシャー氏は2001年の同時を素晴らしいと称賛したり、ユダヤ人に対する差別発言や米国批判を繰り返したりしてきた。こうした言動と関係があるのではないか・・・」

おなじく昨年9月9日の毎日新聞の「記者の目」でも要旨次のような記事がある。
「・・・フィッシャー氏は米国の経済制裁下にあったユーゴスラビアで対局し米国の大陪審から起訴された以来米国にもどったことはなく各国を転々としブッシュ大統領を『モンスター』と呼ぶなど反米的な態度を繰り返してきた。米政府はそれを黙認してきた。旅券も昨年4月に日本に入国した時も米国大使館は問題としなかった。しかし7月になって出国しようとした際、いきなり『パスポートが無効』と言われ拘束された・・・米国のAP通信は治療の為に来日するジェンキンス氏を見逃してくれることと引き換えにフィッシャー氏を拘束し米国に協力する事としたのではないかと書いている・・・」

真偽の程はわからない。3月11日の毎日新聞「記者の目」はこう締めくくっている。
「・・・法的にはフィッシャーさんの出国を妨げるものは何もない。つまり日本政府は政治的判断で62歳の男を収容し続けていることになる。これは許されない」


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