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★2005年2月24日に「ババア」発言訴訟の判決が出たようです。果たして石原都知事にとってこの判決は勝訴なのか敗訴なのか？そもそも何をもって勝敗を判断すべきなのか？またそうした観点から見たメディアの報道姿勢が気になったので、以下に二つの記事を掲載し比較してみます。
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■都知事「ババア」発言訴訟で女性団体の訴え退ける ［テレビ朝日ウェブ］
2005/02/24 14:58
「ババア」などの言葉で女性に差別的な発言をしたとして、女性団体が東京都の石原知事に損害賠償を求めた裁判で、女性の訴えを退ける判決が言い渡されました。
石原知事は2001年、週刊誌のインタビューで、学者の言葉を引用しながら「文明がもたらした最もあしき有害なものはババアなんだそうだ」、「女性が生殖能力を失っても生きているというのは無駄で罪ですって」などと話しました。これについて、都内の主婦ら131人が精神的な苦痛を受けたとして、1400万円あまりの損害賠償と謝罪広告を求めていました。
判決で、東京地裁は「知事としてではなく、個人の見解を述べたにすぎない」と指摘しました。そのうえで、「不適切な表現はあったが、深刻な苦痛を与えるものではない」などとして、女性らの訴えを退けました。
http://www.tv-asahi.co.jp/ann/news/web/soci_news18.html?now=20050225152231
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★上記のテレビ朝日ウェブ版（ANNニュース）の短い記事では、損害賠償が棄却されたことをもって、石原知事が全面勝訴したのような論調となっていますが、判決文のうち最も重要な部分をバッサリ切り捨てて無視しています。今回に限らず判決文で原告側の「主張」が大筋で認められても「損害賠償」は無し、というケースはよくあることです。ですから訴訟の判決を報道で伝えるにあたり、判決文の主旨を掲載することは欠かせません。争点の核心である重要な部分を省略して伝えると、誤解を生んだり、ときにはまるで逆の印象を与えます。いくら紙面が限られている場合でも端折れない部分は端折れません。それをすれば意図的な偏向報道と言われても仕方がないでしょう。
次の朝日新聞ウェブ版（Asahi.com）の記事では判決の主旨がもう少し詳しく書かれており、こちらを読むと、判決文の内容はほぼ原告側の主張にそったもので、石原氏側の実質敗訴であるというように受けとれます。
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■石原知事ババア発言、「憲法理念と相入れず」 東京地裁 ［Asahi.com］
2005/02/24 20:13
石原慎太郎・東京都知事が雑誌のインタビューなどで女性に差別的な発言をしたことで名誉を傷つけられたとして、首都圏の女性１３１人が都知事を相手に慰謝料計約１４００万円の支払いなどを求めた訴訟の判決が２４日、東京地裁であった。河村吉晃裁判長は都知事の発言を「個人の尊重を定めた憲法の理念と相いれない」と批判する一方、「原告個々人の名誉が傷つけられたとは言えない」として請求を退けた。
判決によると、石原都知事は「週刊女性」０１年１１月６日号のインタビューで「これは僕がいってるんじゃなくて、松井孝典（東大大学院教授）がいってるんだけど、文明がもたらしたもっともあしき有害なものはババアなんだそうだ。女性が生殖能力を失っても生きてるってのは、無駄で罪ですって」などと述べた。
河村裁判長は「松井教授の説には、都知事の説明とは異なり、おばあさんに対する否定的な言及はみられない」と指摘。発言について「教授の話を紹介するような形をとっているが、個人の見解の表明」としたうえで、「女性の存在価値を生殖能力の面のみに着目して評価した」「多くの女性が不愉快になったことは容易に推測される」と述べた。
慰謝料については「原告個々人に対する発言ではなく、原告らの社会的評価が低下するわけでもない。金銭をもって償う必要がある精神的苦痛が生じたと認めることはできない」として請求を退けた。
http://www.asahi.com/national/update/0224/025.html
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★判決の内容については気になる点をひとつ挙げておきます。それは「個人の見解」という部分です。
後の記事では「教授の話を紹介するような形をとっているが、個人の見解の表明」と書いているのに対し、前の記事では「知事としてではなく、個人の見解を述べたにすぎない」と書いています。どちらも「個人の見解」としていますが、後の記事では［松井教授の言説を曲解した石原氏独自の解釈］という意味をもつのに対し、前の記事では［公人としてではなく私人としての発言］という意味になります。何らかの理由で食い違いが生じたのか、それとも判決には両方の文言が盛り込まれているのか、まぎらわしい部分ですが、こればかりは判決文の全文を読んでみないことには判りません（今のところネット上では見当たりませんでした）。
たとえ判決が「知事としてではなく、個人の見解を述べたにすぎない」と評したとしても、彼自身は靖国参拝で記者の質問に対し、「私人も公人もないだろう。そういう下らない仕分けをしないほうがいいよ。」「都知事でもある石原が、ということ。」などと発言しているわけですから、常にそうした自覚をしっかりとお持ちのようです。そのような方にとって「知事としてではなく」とは余計なフォローというものでしょう。「ババア」発言は都政の場での公式会見で述べたものではありませんが、私的な日常会話で話した言葉でもありません。雑誌「週刊女性」のインタビューにおける発言であり、タイトルは「独占激白“石原慎太郎都知事吠える！”」となっています。私人としてというよりは、少なくとも彼自身が自覚するとおり「都知事でもある石原が、ということ。」となるはずです。
つまり都知事でもある石原氏が、今回の判決では、彼個人の見解（教授ではなく彼独自の見解）で「女性の存在価値を生殖能力の面のみに着目して評価した」、そして「多くの女性が不愉快になったことは容易に推測される」と批判されたわけです。結論として特定の個々人に償う問題ではないが、不特定多数の高齢女性に対する差別発言ではあると認定されたといえます。石原氏はこの判決に不服はないのでしょうか？それとも不服や反論はあるが、それを表明しないままともかく勝訴したと見做し、肝心な部分をうやむやにして幕引きを図るのでしょうか？
関連
石原都知事の「ババァ発言」に怒り、謝罪を求める会
http://homepage3.nifty.com/hanishihara/
発言に関する資料(1)〜(3)
http://homepage3.nifty.com/hanishihara/shiryo1.htm
石原都知事への公開質問状
http://homepage3.nifty.com/hanishihara/koukaishitumon.htm
「石原ババア発言」と松井孝典氏の思想について
http://hp1.cyberstation.ne.jp/negi/DEMO/topic/t063.htm
ババア発言の都知事に女性２０人が批判チョコプレゼント ［朝日］
http://www.asyura.com/2003/ishihara2/msg/126.html
投稿者 ファントムランチ 日時 2003 年 2 月 18 日 19:06:02:
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。