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社説:裏金証言 国会はほおかぶりするのか
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20050218k0000m070149000c.html
「政治とカネ」の闇は底なしだ。16日の自民党旧橋本派の1億円裏献金事件で政治資金規正法違反に問われた元官房長官、村岡兼造被告の公判で、派閥の会計責任者だった滝川俊行元被告=有罪確定=に対する弁護側の反対尋問が行われた。証言内容は衝撃的だ。政治資金の裏工作の実態が詳述されている。
証言内容を整理する。(1)01年の政治資金集めパーティー収入のうち、1億数千万円は政治資金収支報告書に記載しない裏献金として処理した(2)この処理は派閥幹部に報告した(3)01年の参院選で裏金から4億円以上支出した(4)日本歯科医師連盟からの1億円は金銭出納帳に「橋本扱い」と記入した。しかし、逮捕直前ホテルで出納帳を破り、水洗トイレに流した(5)01年に自民党から派閥議員の「氷代」「もち代」として計1億2000万円支給され、野中広務元官房長官らが取りに行った。自民党事務局長からは「記載しなくていい」と言われた(6)派閥収入のうち、半分くらいしか表に出ていない。
この証言は、法廷で宣誓したうえでのものである。裏献金を知らぬ存ぜぬで通してきた派閥幹部の関与が明らかにされた。こうした肝心なことが公判の場で明らかになったが、捜査段階で調べは尽くされていたか、疑問も残る。
橋本龍太郎元首相や青木幹雄党参院議員会長らは「公判中の事件なのでコメントできない」という姿勢だが、問われているのは政治家としてのモラルであることを忘れている。
いうまでもなく、政治資金規正法は政治にかかわるカネの透明性を確保するために作られた。巨額の税金もつぎ込まれている以上当然のことである。しかも、政治資金報告書は、記載をごまかさないという性善説に立ってできている。しかし、国民の信頼を裏切る生々しい裏金工作が明らかにされると、一体この法律は何だったのか、と怒りがこみ上げて来る。
毎年、政治資金収支報告書が公表されているが、半分近いカネは裏にもぐったままだとすると、実態とは程遠かったと言わねばならない。
法廷で次々に明るみに出る政治資金の暗部に、国会が我関せずを決め込んで見ていていいはずがない。自分たちの同僚らが行ったことにけじめをつけられない国会議員に、国家の予算を審議する資格があるのか。何を差し置いても、事件の関係者を証人喚問し、事実を究明することから始めなければ国会の権威は失墜する。
民主党はじめ野党の追及も生ぬるい限りだ。「政治とカネ」の集中審議で、与党側から「野党のカネも不明朗だ」と指摘されただけで尻込みするようでは情けない。仮に自分のところにも問題があったのなら、率先して明らかにし、政治不信を取り除くべきだ。
「政治とカネ」のけじめをつけるのは、司法の場ではなく国会の場である。国会議員がこのままですませるなら、国民の国会への信頼は崩れる。民主主義の土台が揺らいでいると心得るべきだ。
毎日新聞 2005年2月18日 0時12分