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改変前番組の放送は最高の教育番組である
放送法44条3項
協会は、国内放送の放送番組の編集に当たっては、次の各号の定めるところによらなければならない。
1.公安及び善良な風俗を害しないこと。
2.政治的に公平であること。
3.報道は事実をまげないですること。
4.意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。
憲法前文1項に謳われているとおり、日本国民は国政についての最高の意志決定権を行使出来る主権者であり、憲法制定権を有する。国会・内閣・裁判所などの権能は、何れも国民の信託に係るものである。つまり、国民は国家の統治について最高の地位にあり、国家の全ての権能の源泉となる権能を保持するものである。日本国の主権者は、総理でもない、閣僚でもない、国会議員でもない、裁判官でもない、勿論天皇でもない、我々日本国民一人一人が、主権者であることを忘れてはならない。
よって、主権者である国民は、あらゆる機会を通じて、内閣であれ、国会であれ、裁判所であれ、片時も監視の目を緩めてはいけない。少しでも憲法違反の疑いがあるような行動を採った場合には、直ちに之を止めさせなくてはならない。これは国民の権利であると同時に義務である。権利と義務とは、表裏一体をなすものであるから、権利の行使だけでは駄目である。義務の履行を怠ってはならない。
議会中心の民主政治を理想的に運用して行く根本は、国民の政治的自覚を高め、責任ある選挙によって議会の内容の向上をはかり、正しい輿論をもって議会政治を督励・鞭撻・制御して行くほかにはない。
NHKの放送番組改変問題について政治的な介入の疑惑が問題視されているが、もしも実質的な事前検閲に当たるが如き行為がなされておったとすれば、民主主義に対する重大な冒涜である。公共放送であるからには、国民の「知る権利」を恣意により抹殺するようなことは絶対に許されるべきではない。「千丈の堤も蟻の穴から崩れる」の例えのとおり、吾人は「知る権利」に対する侵害が、やがては思想・良心・信仰といった精神的自由に対する重大な侵害になる事を恐れなくてはならない。
ここに、民主主義は世論の政治であり、国民の政治参与の上に成立するものであるから、国民の政治的な判断能力を高めるためには、自由な討議が前提とされなければならない。勿論公共の福祉の制約があるが、その制約が慎重なものであるべきは当然である。
よって、国民の疑惑を払拭して公共放送としての面目を取り戻すためには、宜しく、改変の要点を注記した改変前の番組を放送して、放送法44条3項各号に規定されている法律要件に照らして、改変が、正当性・必要性・妥当性を満たしたものであったか否かについて、国の主権者であり且つ受信者である国民諸賢の審判を仰ぐことが喫緊の課題である。更に、国民の政治的な判断能力を高めるためには格好の教育番組の放送であると思料される。よって、NHKは速やかに改変の要点を注記した改変前の番組を放送して、公共放送の面目を回復する必要がある。
つぎに、NHK放送受信料徴収の公平化は喫緊の課題であることについて論述する。
NHK放送受信料徴収の不公平に対する不満は、民放開業以来燻り続けていた問題である。民放の社員で、NHK放送受信料を、商売敵のNHKに支払う者は皆無であったことは周知の事実である。今般の一連の不祥事を契機として不払い者の激増が予測されるが、このままではNHKの経営が苦しくなるのは必定である。受信料に係る潤沢な収入の上に安座して経営努力を怠り、漫然と今日まで怠惰の夢を貪ってきた当然の結果であり、国民の鉄槌が下るのも当然の事である。NHKは深く反省自戒して、職員の甘えと驕りを払拭し、今後の経営努力によってこの危機を乗り切る他はない。
よって、先ずNHK放送受信料徴収の公平化を担保することが喫緊の課題とされる。その方策としては例えば現在、株式会社WOWOWが実施しているように、「受信料を支払った者だけがデコーダ若しくはビーキャスカードを使って受信出来る」ようにするのも良策の一つではないかと思料される。民放化すべしとの提言もあるが、政府や企業の力に屈しない、視聴率に左右され難い営利を目的としない公共放送の質の良さは万人の認めるところである。更に、放送法35条に謳われている国際放送等のための国庫負担も今後継続すべき必要があるので、民放化には賛成できない。消費税で運営した場合は国営放送となり、政治的なプロパガンダ放送になる虞があるので勿論賛成できない。
つまり、「アナログ放送受信にはデコーダを使用する」、「ジタル放送受信にはビーキャスカードを使用する」、このような方策を採れば、受信料金無払いでNHK放送を受信する者を排除出来て、受信料徴収の公平化が担保出来る。このことは、国民の信頼を取り戻す第一歩となるであろう。
因みに、英国の公共放送BBC(英国放送協会)の受信料制度は、「TVライセンス制度」を設け、テレビ放送を利用する為に許可証を購入するというシステムをとっている。視聴者は郵便局で1年間有効の受信許可証を買うという仕組み。無許可受信者には最高1000ポンドの罰金が課される。受信料は物価の変動等を考慮して政府が決定する。国際放送の財源は全額が国庫からの交付金で賄われる。
憲法21条の保障は放送というメディアによる表現の自由にも及ぶ。これを受けて放送法が立法された。民放放送のコマーシャルに辟易して、NHK放送を主体に受信している国民も相当数にのぼるものと思われる。NHKはこれ等受信者の付託に応えて、放送法3条の立法趣旨である「番組編成権の独立・放送番組編集の自由」の精神を踏まえて、不偏不党公平公正な報道に努めることで、国民の信頼を取り戻す必要があることは論を俟たない。なお、不偏不党公平公正な番組・内容であるかどうかは、受信者であり且つ国の主権者でもある良識ある国民諸賢自身が判断すべきことである。これが民主主義の原点である。
因みに、NHK放送を受信できるテレビ設置者は全てNHK放送を受信する意思ありとみなして、NHKとの受信契約締結を義務付けた放送法32条のみなし規定は、「個人の契約関係は、契約当事者の自由な意思によって決定されるのであって、国家は干渉してはならない。」という近代私法の原則である「契約自由の原則」に違背するものであり、基本的には民法90条により無効とされるべき条文である。
放送法32条が現行法の文言に改正された昭和42年当時のメディア環境下においては、テレビ設置者をNHK放送受信者と民放放送受信者とに判別して受信料を徴収することは技術的に不可能であったので、放送法32条は必要悪として是認された条文である。メディア関連技術の進歩発展は日進月歩で目を瞠るものがある。情報の選択が多様化した今日のメディア環境下においては、例えば、デコーダやビーキャスカードを使って容易に両者の判別が出来るようになった。法的には民法の所謂「事情変更の原則」が適用されることになる。
NHKは受信料に係る潤沢な収入の上に安座して経営努力を怠り、徒に安眠を貪り、時代に適合しなくなり死文化して削除されるべき放送法32条を未だに墨守している。上述の理由により放送法32条に基づいてNHKが、「NHKを原告・受信料不払い者を被告」として損害賠償請求に係る民事訴訟を提起しても勝訴の見込みはない。
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