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2月11日付・読売社説(2)
[NHK番組問題]「今度は朝日が答える番だ」
「女性国際戦犯法廷」を取り上げたNHKの特集番組が政治家の圧力で改変された、と朝日新聞が報じてから、ほぼひと月になる。
NHKは「圧力はなかった」と全面否定だ。どちらかが、ウソをついていることになる。メディア全体の信用にもかかわる問題だ。圧力による改変はあったのか、なかったのか。きちんと究明し、決着をつけてほしい。
朝日の報道の骨格は、放送前日に中川昭一・現経産相と、当時の安倍晋三官房副長官がNHK幹部を呼び出し、「偏った内容だ」などと圧力をかけた結果、番組が改変された――というものだ。
事前に朝日の取材を受けたNHKの松尾武・元放送総局長が記者会見し、「圧力を感じたなどとは言っていない」と、報道内容を否定した。
中川氏も「(NHK幹部と)会ったのは放送後で、圧力のかけようがない」と反論し、安倍氏も「呼び出した事実はない」として「圧力」を否定した。関係者の多くが、記事の枢要部分は「誤報」であるとしている。
すると朝日は、「ことの本質を見失うな」と題した社説(一月二十二日付)を掲げ、「問われているのは、NHKと政治家の距離の問題」と主張した。
これは論点のすり替えだろう。「ことの本質」は、言うまでもなく朝日報道が事実かどうか、である。まずそれを立証してから、“政治家との距離”についてキャンペーンを展開すればよい。
松尾氏の会見に対し朝日は、「取材時に松尾氏は『圧力とは感じますよ』と明言した」などと、細かなやりとりを挙げて反論した。NHKは、朝日記者が取材の際、松尾氏に無断で録音したとみて、先月二十一日、テープの有無などを尋ねる十八項目の質問状を朝日に送った。
この質問状では、朝日記者が報道後、松尾氏に「証言の内容について腹を割って調整しませんか」「すり合わせができるでしょうから」などと持ちかけていたことも、明らかにされた。
報道に自信があるなら、「すり合わせ」など必要ないはずだ。同じ報道機関として、録音テープの有無とともに、なぜそうした持ちかけをしたのか、理由を知りたいところだ。
朝日は、この質問状に「虚偽の記載」があるとして、謝罪と訂正のほか「誠意ある回答」をNHKに求めた。
NHKは今月一日、その回答書を朝日に送った。改めて「圧力」を否定し、先の質問状への回答を迫っている。
以後、両社とも沈黙したままだ。次は朝日が回答する番だろう。
(2005/2/11/01:42 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20050210ig91.htm