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ごまめの歯ぎしり メールマガジン版
河野太郎の国会日記
http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000006653
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NHKと朝日新聞の件でコメントを求められる。
はっきり言って、この件に興味はない。
1971年にマクナマラ元国防長官が作成したペンタゴンペーパー
がニューヨークタイムズとワシントンポストに掲載された。
アメリカ政府はこの文書を差し止めるためにいろいろとやったが、
両紙は屈することはなかった。
ウォーターゲート事件の報道でも政権からの圧力に屈せずに真実が
明らかにされた。
マスコミが第四の権力たらんとすれば、政府そのものの権力に対し
ても戦わなければならない。
いかに安倍晋三が若手の花形政治家とはいえ、その力などたかがし
れている。仮に安倍晋三が圧力をかけたとしても、その程度の政治
的圧力で転ぶマスコミなど、存在価値はない。
アメリカをはじめ、各国でマスコミが戦っていることに比べれば、
今回の事件は、ままごと遊びだ。
だいたい朝日新聞もNHKも記者クラブの常連ではないか。身内で
固まり、部外者は排除する組織の内側にいながら、報道の自由とか
独立を言うか。記者クラブの暗黙の掟をみんなで守りながら、「政
治の圧力をかけられた」とはちゃんちゃらおかしい。
宮内庁の圧力で皇太子殿下のご成婚報道をひた隠しにしたのは、い
ったい誰だ。宮内庁の「政治的圧力」には喜々として屈しておいて
安倍晋三からの政治的圧力(仮にあったとしたらだが)を特別に問
題視するのか。
8日付の新聞に、「法務省は不正流用が指摘されている検察庁の調
査活動費について適切に執行されているとの報告書を衆院予算委員
会理事会に提出した」という記事があった。「元幹部が主張する不
正流用問題は現時点で調査する必要はないとしている」と、たんた
んと事実を書いているだけだ。提出されたのは、調査をしてシロで
したというのではなく、検察庁は調査の必要がないと思ってますと
いう報告だ。
お前のお腹は黒く塗られているという指摘があれば、腹を見せなが
ら、そんなことはないといえばよいものを、服も脱がずそんなこと
はないといっているわけだ。
しかし、マスコミは、検察庁がそういう報告書を理事会に出しまし
たという記事を書いているだけ。
事実を書く、つまり検察庁が報告書を予算委員会の理事会に出した
ということを記事にするのはよろしいのだ。が、この報告書をどう
評価するのか。評価はしないのだ。おとがめがあるから。
なんだ、とっくに権力に、権力の圧力にひれ伏してしまっているで
はないか。
六ヶ所村の再処理工場の問題に関して、まともな報道をしたマスコ
ミはほとんど無い。電力会社の金の圧力に屈したのだ。
原子力発電所が事故を起こせば、電力会社の発表に基づいて、事故
があったという事実は報道する。が、原子力政策について批判的な
報道はしない。電力会社の金が逃げるからだ。
青森で六ヶ所村の取材を一生懸命やっていた新聞記者がいた。が、
彼は本社に「栄転」になった。電力会社の圧力があったからだ。当
然この圧力も記事になるのだろうね!
NHKも朝日新聞も、両者の喧嘩について論評している他のマスコ
ミも、とっくに圧力に屈しているじゃないか。
記者クラブに入っているマスコミに、今回の事件についてどう思い
ますかと聞かれても、全く興味ない。
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■編集:河野太郎
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「事実を書く、つまり検察庁が報告書を予算委員会の理事会に出したということを記事にするのはよろしいのだ。が、この報告書をどう評価するのか。評価はしないのだ」
ここが一番おさえておかなければならないところでしょう。
上の記事に近い、記者クラブ発の”官報”報道が新聞記事の80%を占めます。たしかに、その記事は嘘偽りを書いているのではない。その意味では事実なのでしょう。しかし、その事実には背景というものがあって、また時系列での動き「歴史」があって、内包する事実というものをもっています。報道とはそれを指摘し、必要であれば論評をすることなのです。でないと相手側にとって都合のいい、単なる「広報屋」になります。そういえば、数年前警察署で警察幹部が記者たちを「広報屋さん」と呼び話題になっています。
とにかく、記事は単なる「インフォメーション」ではなく、「インテリジェンス」でなければなりません。
「いかに安倍晋三が若手の花形政治家とはいえ、その力などたかがしれている。仮に安倍晋三が圧力をかけたとしても、その程度の政治的圧力で転ぶマスコミなど、存在価値はない。
アメリカをはじめ、各国でマスコミが戦っていることに比べれば、今回の事件は、ままごと遊びだ」
言っていることはよくわかりますが、これを言う相手はNHKの上層部であって、その上層部に生殺与奪権をにぎられている現場のデスクなどではないでしょう。
おかしな、ママゴトな上層部の下では、現場にできることは多くの場合、今回のような内部告発か、もしくは退職か、ではないでしょうか。
マスコミの労働組合などは既に60年代に、一般の大手企業と同じように無力化されており、会社側の立場にたつエリート社員らが組合を運営しているのだそうです。