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衆参両院の憲法調査会は4月中の最終報告書の取りまとめを目指し、今国会の論戦に入った。自民党は、衆院憲法調査会が3日に決めた報告書の「編集方針」を受け、「数の論理」によって憲法9条を中心に改正の方向性を明記して改憲ムードを高める狙いだ。しかし政権交代を念頭に置く民主党は自民主導の取りまとめを警戒、安易な方向付けをけん制する。報告書の中身次第で4月以降の改憲論議の主導権も左右しかねず、水面下で綱引きを展開している。
9条改正をめぐっては「軍隊の保持」「集団的自衛権行使」「国際貢献に伴う海外での武力行使」――の3点を容認するかが焦点。自民、公明、民主3党とも現行憲法の改正、加憲の必要性は唱えているものの、9条に関しては自民党が3点とも積極容認派なのに対し、民主党は集団的自衛権行使を基本的には容認するとしているが、個別的自衛権を含めて「行使は限定的にすべきだ」との立場。海外での武力行使も「強い抑制的姿勢の下で」と昨年6月の中間報告にうたうなど「限定的容認」だ。
さらに公明党の場合、自衛隊明記を加憲の対象として検討中。集団的自衛権行使は否定的な意見が「大勢」としながら議論を先送りし、海外での武力行使には「あくまで人道復興支援を主体に」と強調しつつも含みを残す「慎重姿勢」だ。
こうした中、衆院憲法調査会は3日、最終報告書の編集方針として、過去5年間の調査会で出された意見について(1)様々な意見を記載(2)テーマごとに賛成、反対意見などを分類(3)多数意見はその旨を記載――との3原則を決めた。これを受け、自民党は「限定的としながら民主党も9条改正に賛成だ」(幹部)ととらえ、報告書に「9条改正の意見が多数だ」などと明記し、改正の方向性を打ち出す狙い。11月に党の新憲法草案を公表することもあり、自民党ペースで一気に改憲への流れを作ろうというわけだ。
衆院憲法調査会は自民26▽民主18▽公明4▽共産1▽社民1――で構成。中山太郎調査会長は「民主主義の原則に基づいて決める」と語り「数の論理」をにじませる。
これに対し、民主党には自民党に主導権を握られると埋没しかねないとの危機感もあり、衆院憲法調査会長代理を務める枝野幸男氏は「(報告書は意見が)多い少ないを示すのが目的ではない。単純に『改正意見が多い』とはならない」とけん制する。
一方、公明党は現行9条を堅持したうえで、国際貢献など新たな条文を書き加えるか検討する方針。また、護憲派の共産、社民両党は「報告書は両論併記にとどめるべきだ」と主張している。
【宮下正己、松尾良】
◆憲法9条をめぐる各党の主な主張◆
自民 自衛のための戦力保持を明記
集団的自衛権行使の容認
国際貢献の明記
海外での武力行使の容認
民主 「制約された自衛権」を明記
国連の集団安全保障への関与を明確化
海外での武力行使は最大限抑制的であることを宣言
公明 戦争放棄、戦力不保持を堅持
自衛隊の明記、国際貢献の明確化を加憲対象として検討
集団的自衛権行使は慎重
国連の集団安全保障では民生中心の人道復興支援が主体
共産 憲法改正に反対
日米安保を廃棄し、平等な立場で友好条約を結ぶ
自衛隊は国民の合意で解消に向けて前進
社民 憲法改正に反対
自衛隊は専守防衛で、必要最小限まで縮小
PKO参加は人道的な国際救援などに徹する
(毎日新聞) - 2月5日23時14分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050205-00000104-mai-pol