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(回答先: 武道哲学の中身を紹介していただけませんか? 投稿者 たけ(tk) 日時 2005 年 1 月 30 日 01:25:33)
著者の南郷継正氏は空手家でありながら日本論理学研究会なる学者の卵を養成する会を作られており、すでに三一書房から武道や弁証法についての著書を10冊以上出しておられます。が、出版社にごたごたがあり続刊が止まっていたのですが、最近新しく出版社を見つけ、既刊、刊行予定分を再度書き直し、追加、再構成して著作・講義全集(全13巻)としてを出版することにしたようです。
基本的にエンゲルス−三浦つとむの流れの唯物論系の方であり、唯物論の立場でヘーゲルに匹敵する学を構築するのが人生の目標と著作のあちらこちらに書かれていたのですが、ゴールが見えてきたのでしょうか。
この第2巻 武道哲学入門Tは以前、三一書房から「武道講義入門 弁証法・認識論への道 」として出版されていたものを一部書き直し、追加したものです。
「武道哲学入門」の題の通り「武道哲学」を理解するために必要な哲学、弁証法に関する内容なのですが、武道に限らず弁証法を駆使して学問的成果を挙げたい人のために、ギリシャ以降の学問の発展と弁証法の歴史、なぜ弁証法が必要か、弁証法の学び方とそれにかかわる認識(論)の問題を扱っています。また、過去一部の例外を除いて弁証法の学びに失敗していることについて、その原因を簡単に説かれております。
弁証法を駆使できるようなるには、まず脳細胞自体を弁証法を認識可能な構造にしないといけないとのことです(弁証法とは「「世界全体」の運動性・変化性を捉え返したもの(認識)」ですので、いわば運動性を認識可能なものにするということらしい)。著者によれば本来脳は複雑な運動機能を統括するために生物進化上現れたものなのですが、現代のあまり体を動かさない生活や子供から大人へ境目の成長上重要なはずの思春期の受験勉強によりその本来の認識能力が大きく減退しており(いわゆる一流大学出身者ほどひどいとのこと)、感覚器官からの刺激を与えて(運動をして)叩き直す必要があるとのことです。
そのうえで弁証法の初学者のための基本書は三浦つとむ著「弁証法はどういう科学か」以外に良い本はないとのことで、それ以外の弁証法の権威書は、マルクス、エンゲルス、ディーツゲンの原典を除いて、インチキ同然のだ本と切り捨てておられます。(その例として、本来別の概念であるはずの「唯物論的弁証法」と「弁証法的唯物論」の区別がこれらの本では単なる知識上の区別さえされていない)このような本の読者は全員失敗しているということです。かといってマルクス、エンゲルス、ディーツゲンの原典は、さすがにインチキではないが初心者の学習用には難し過ぎ不向きとのことです。
で、準備は整ったとして次は、いよいよ自分の専門分野(個別科学)の学究と同時並行的にアリストテレス−カント−ヘーゲルという哲学の歴史を学びながら、単に知識的にではなくそれ(哲学・個別学の歴史)を自分の認識の中で再生する必要があるとのことです(ここでの基本書は、「哲学史」「エンサイクロペディア」)。これらにはおよそ10〜20年の年月がかかり、30過ぎると脳細胞が急激な変化に耐えられなくなるため、遅くとも20代半ばまでにはじめる必要があるとのことで、私はすでにアウトです。
今回追加された部分は、第2部2章以降の古代ギリシャの弁証の方法がどのようにエンゲルス以降の弁証法に変化していったのかとフロイトやデカルトの話、ソクラテスは過大評価されているとの部分です。
という感じの内容で、関連する話題がいろいろ。といっても焦点がぼけてるというわけではなく、初心者向けに視点、表現を微妙に変えながら繰り返し説明されているというものです。普通哲学書というと(私はあまり読まないのですが)何か意味不明のオンパレードが多いのですが、その点この本は大変明快です。やさしく書いてあるということではありますが、やはり内容は難ですね。
全集第3巻 武道哲学入門Uは、続編(哲学・論理学への道)なので、出たら御味読ください。
ということなんですが、武道哲学そのものは全集の続刊で徐々にその姿をあらわしてくると思います。今までの著者の流れでは、基本的に弱い人たちほど武道が必要との原点があり、そのための技術論、教育論、上達論などが説かれるのではないかと思います。