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4月1日付・読売社説(2)
[NHK番組問題]「まだ真相は解明されていない」
朝日新聞が、「女性国際戦犯法廷」を取り上げたNHKの特集番組が政治家の圧力で改変された、と報じてから3か月近くを経た。
今なお真相は明らかにされていない。ライブドアによるニッポン放送買収をめぐる攻防のニュースの陰に隠れてしまった観もある。
だが、メディアの信用にかかわる重大な問題である。
NHK新年度予算を審議する参院総務委員会で、NHKの担当理事が「18項目の公開質問状を出して2か月以上たったが、具体的な答えをいただいていない」「記事の誤り、取材方法の問題点について、引き続き訂正と謝罪を求めていきたい」と述べたのも、そうした判断があるからだろう。
問題の焦点は、当時の安倍官房副長官がNHK幹部を呼んだのかどうか、中川現経済産業相は放送前にNHK幹部と会っていたのかどうか、そして二人の「圧力」によって番組内容が変わったのかどうか、という点にある。
安倍、中川両氏は朝日新聞の記事の内容を全面否定した。先日の衆院総務委員会でも、NHKの担当理事は、中川議員について「放送から3日後にお会いしております」、安倍議員については「呼び出されたものではございません」と明言している。
NHKの公開質問状に対する朝日新聞社の回答は、掲載記事について「具体的な取材に基づいた根拠のあるもの」であるとし、「関係者からの取材結果などを総合して報じた」としていた。
肝心の安倍、中川両氏にかかわる事実関係の真偽については、具体的に答えていない。
朝日新聞は「問われているのは、NHKと政治家の距離の問題」としている。問題のすり替えだろう。
問題は、安倍、中川両氏が「圧力」をかけたという朝日の報道内容が事実かどうかだ。その疑問に、きちんと答えるべきである。
受信料の支払い拒否・保留は、3月末までに推定70万件に達するなど、NHKの危機的な状況に変わりはない。
安倍、中川両氏についての朝日新聞の報道内容が事実なのかどうか、不明確であることも不信の一因ではないか。
NHKの橋本会長は、「政治家への事前説明は行ってこなかったし、今後も行わない」と参院総務委員会で語った。
視聴者の信頼回復が急務だ。そのためにも、「女性国際戦犯法廷」問題をめぐる朝日新聞の報道の真偽について、早急に明らかにされなければならない。
(2005/4/1/01:52 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20050331ig91.htm