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(回答先: 都の管理職試験、外国籍受験制限は合憲 二審破棄、最高裁が初判断 (産経新聞) 投稿者 愚民党 日時 2005 年 1 月 27 日 08:15:51)
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■外国籍管理職――時代が分からぬ最高裁
東京都内の保健所で働く在日韓国人の女性が「課長になりたい」と思い立つ。都は昇進試験を受けさせない。管理職は日本人に限る、というのだ。そんな都の冷淡な措置を全面的に追認する判決が最高裁で言い渡された。
「管理職は公権力の行使に加わる。日本の法体系は、外国人が公権力を行使する公務員に就くことを想定していない」。都の要職はそもそも日本人限定のポストだというのが多数意見だった。
企業や自治体が採用や昇進で国籍による差別を減らそうと知恵を寄せ合う時代に、なんとも後ろ向きな判決である。
訴えていた鄭香均(チョン・ヒャンギュン)さんは、韓国人を父に、日本人を母に持つ。88年、都に保健師として採用された。
94年春、自分なりの地域の保健プランを作りたい、と管理職試験の願書を出したが、都に拒絶される。半年悩んだ末に提訴した。一審は全面敗訴、二審で逆転勝訴した。最高裁で管理職への道を閉ざされた以上、この先はずっと係長のままでいなくてはならない。
国籍による就職差別をなくせという声は主に関西の在日韓国・朝鮮人から起こった。企業が門戸を広げるなか、川崎市が消防職員を除いて採用時の国籍制限を撤廃した。札幌、名古屋、京都、福岡などの大都市がこれに続いた。東京を含め10以上の都府県も部分的に採用時の国籍条項をなくしている。
この流れに弾みをつけたのが鄭さんの訴訟だった。とりわけ「管理職への受験拒否は違憲」と言い切った97年の二審判決が行政に与えた影響は大きかった。
最高裁がその二審判決をくつがえしたことで地方自治体が萎縮(いしゅく)し、門戸開放の流れが滞ることが心配だ。
そもそも「日本国籍を持たない公務員は管理職になれない」と定めた法律はない。重大な施策に携わる公務員に国籍が必要なのは「当然の法理」とした半世紀前の政府見解だけだ。それと大差のない最高裁の判決はいかにも古めかしい。
そんなに働きたいのなら日本の国籍を取ればいいじゃないか。そう思う人もいるだろう。しかし、過去の日本とのかかわり、先祖や親兄弟、故国に寄せる思いから、日本国籍を取る気になれないという人も少なくない。
救いは、2人の裁判官が書いた反対意見だ。直接住民に強制する職種や、統治の核心にある職種でないのなら、外国籍の職員を管理職に登用してもよい、と述べた。こちらの方が多数意見よりはるかに柔軟だろう。
津々浦々に外国人が暮らす時代だ。鄭さんは日本語を母語とし、知識も経験もある。地域社会で住民サービスに打ち込む意欲も強い。そんな人材を活用しないのは社会全体の損失ではないか。
最高裁の判決は、自治体が各地で積み上げてきた門戸開放の努力を違憲といったわけでは決してない。
外国人が公務員として働ける場を広げる。その流れを変えてはいけない。
http://www.asahi.com/paper/editorial.html