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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050618-00000047-jij-soci
現場カーブに多量オイル=外側レールの摩耗防止用−JR福知山線・事故調など
JR福知山線脱線事故で、快速電車が脱線した現場カーブの外側レールで、多量の摩耗防止用オイルが使用されていた疑いのあることが18日、分かった。国土交通省航空・鉄道事故調査委員会などは「通常は脱線防止にプラスに作用するが、『転覆脱線』の場合は悪影響を及ぼす可能性を否定できない」としている。
(時事通信) - 6月18日16時0分更新
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電車の車輪の側面にはフランジという部分があり、車体に遠心力が働いても車輪がレ−ルから外れないようしている。このフランジとレールとの間の摩擦係数が上がると脱線しやすくなるという。
「通常は脱線防止にプラスに作用する」はこのことを言っているのだが、一方、制動(ブレーキ)という面からみると、摩擦係数が低くなるということは大きな問題にならないだろうか。
鉄道の車輪とレールとの接地面積は円に近い楕円のような形で直径10ミリほどしかない。摩擦係数は低く、とても滑りやすい。
電車の車輪とレールの間の摩擦係数は、晴天時0.25〜0.30、雨天時0.2とされているが、JRでは摩擦係数を通常、電車=0.245としているようだ。
自動車の場合、タイヤとアスファルトの間の摩擦係数は、晴天時0.5〜0.7、雨天時0.4〜0.6。
タイヤと雪の間の摩擦係数は、0.1〜0.5。
タイヤと縞鋼板の間の摩擦係数は、晴天時0.6、雨天時0.3。
タイヤと平鋼板の間の摩擦係数は、晴天時0.4、雨天時0.2。
ちなみに、スキー板と雪の間の摩擦係数は0.051〜0.1。
在来線の鉄道運転規則は、電車はどんな場合でも600メートル以内に停止できなければならないと定めている。どんな場合にもというのは、最高速度で走行していてもというのも当然含まれるので、最高速度から急ブレーキをかけて停止するまでの距離が600メートル以内でなければならないということにもなる。
上に書いたように電車の車輪とレールとの間の摩擦係数は低くとても滑りやすいので、単に強力なブレーキシステムを備えればそのぶん停止距離が短くなるということにはならない。車輪がロックしてしまえば、逆に停止距離は伸びてしまうのは自動車と同じだ(ただし、自動車の場合、砂利道などはタイヤをロックさせたほうが停止距離は短くなる)。強力なブレーキとともに、車輪のアンチ・ロック・システムなどをつけることが必要だ。
電車のこの「滑りやすい」という特徴は、加速時にも自動車でいう「トラクション・コントロール」(タイヤの空転を検知してタイヤに伝わる駆動力を調整するシステム)を必要とするようにもなっている。
一方で、「摩擦係数は低い」は「走行抵抗が低い」ので、加速したあとの一定の速度での走行では、自動車でいうアクセルをOFFにしても電車はほとんどそのままの速度でしばらく走る続けるというエネルギー効率上での長所がある。
一時、自動車会社が車種の燃費の数字を上げるために、装着タイヤを細くするというようなことも一部でおこなっていた。タイヤを細くすればそのぶん走行抵抗は低くなり、燃費は上がる計算だ。しかし、走行抵抗が低くなるということは、摩擦係数が低くなるということであり、必然的にブレーキ時の制動距離がのびることを意味する。また雨の日などの路面が濡れた状態や、カーブなどで横Gが発生するときなども滑りやすくなる。ちなみに、磨り減りが少ない経済的なタイヤというのも一般的には摩擦係数の低いタイヤだ。F1の予選などでは、本選で有利なスタートポジションを得るために摩擦係数の高い一本数百万円もするというタイヤを使用する。このグリップのよいタイヤは、サーキットを数周走ると磨り減ってもう使えなくなる代物だ。一般的に摩擦係数の高いグリップのよいタイヤというのは磨り減りやすいタイヤなのである。
ともあれ、電車は鉄道運転規則をクリアするため、その電車の制動の能力が実際には最高速度の上限をも決めている。
事故を起こしたJR西日本の207系電車は最高速度が120キロとされているが、これは電車の駆動モーター出力の限界で決められたのではなく、207系電車の制動能力で決められたものだ。
207系電車にはブレーキのアンチ・ロック・システムは備わっていない。