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大阪市北区の美容・形成外科「わだ形成クリニック」で02年2月、性転換手術を受けた男性患者(当時35歳)が手術後死亡した事故で、大阪府警捜査1課などは17日までに、執刀した和田耕治院長(51)を近く業務上過失致死容疑で書類送検することを決めた。
調べなどによると、男性は「性同一性障害」の解消のため同年2月25日に手術。その後、肺浮腫を起こし、翌26日に別の病院で死亡した。
これまでの捜査で、男性は麻酔の副作用で呼吸困難になったことが判明。和田院長が容体急変後、ただちに転院などの措置を取らず、手術を続けた点に過失があると判断したとみられる。
同クリニックは17日、「捜査には協力してきたが、麻酔方法は安全性を確認し、長年にわたり行っているもので、事故の原因にはなりえない。死因はクモ膜下出血による急性呼吸窮迫症候群ととらえている」とするコメントを出した。
性転換手術に関し、学会のガイドラインや学内倫理委承認の手続きを経て実施する態勢を整えているのは、埼玉医大、岡山大、関西医大など少数。民間病院での手術の実態は不透明だ。
【石川隆宣、勝野俊一郎】
毎日新聞 2005年6月17日 18時13分
http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/kenko/news/20050618k0000m040010000c.html
性転換手術で死亡立件へ 大阪府警 業過致死容疑、搬送遅れなど複合ミス
大阪市北区の美容・形成外科「わだ形成クリニック」で平成14年2月、性転換手術を受けた東京都小金井市の会社員の男性=当時(35)=が術後に急死した問題で、大阪府警捜査一課と天満署は17日、麻酔の副作用で呼吸困難になった後も手術を続け、他病院への搬送が遅れたことなど複合的なミスが死亡につながったとして、業務上過失致死容疑で執刀した和田耕治院長(51)を近く書類送検する方針を固めた。
性転換手術の死亡事故の立件は初めて。男性は心と身体で性が一致しない性同一性障害に悩んでいたといい、同障害の治療の在り方に影響を与えそうだ。
調べでは、男性は14年2月25日、同クリニックで約5時間半にわたって受けた手術中に呼吸困難状態になって容体が急変、術後に搬送された別病院で翌26日午前6時35分ごろに死亡した。司法解剖などの結果、基準を上回る麻酔薬投与で呼吸が抑制され、肺水腫(しゅ)を起こしたことが死因とみられることが判明した。
府警は、和田院長が容体急変後も挿管などで十分な気道を確保せずに手術を続行し、態勢の整った病院にすぐに転院させるといった措置を怠っていたと断定。こうした措置があれば、男性が助かっていた可能性が高いと判断した。
調べに対し和田院長は「容体急変後も薬剤を投与するなど適正な処置をとったつもりで、放置していたわけではない」と過失を否認しているという。
同クリニックは平成8年に開業し、医師は和田院長1人。14年1月13日にも、あごの骨を削る美容整形手術を受けた大阪市平野区の飲食店経営の女性=当時(39)=が死亡。府警は鎮静剤の分量を誤って投与した疑いもあるとみて捜査しているが、女性の遺族と同クリニックの和解が成立している。
わだ形成クリニックの話 「麻酔の内容や方法については事故の原因となりうるものではなく、くも膜下出血を起因とする急性呼吸窮迫症候群の突然の発症を死亡原因ととらえている。今後も原因解明を求め、また事故とのかかわりについての当院なりの責任を明確にすべく、真摯(しんし)な姿勢で対応していく」
【2005/06/17 大阪夕刊から】
(06/17 16:24)
http://www.sankei.co.jp/news/050617/sha069.htm
性転換手術後に急死、院長を書類送検へ 大阪府警
2005年06月17日
大阪市北区の美容・形成外科「わだ形成クリニック」で02年2月、女性への性別適合(性転換)手術を受けた男性会社員(当時35)が手術後に急死した事件で、大阪府警は、執刀した和田耕治院長(51)が麻酔で呼吸困難に陥った男性に対し、適切な措置をとらずに死亡させたとして、近く業務上過失致死容疑で書類送検する方針を固めた。任意の調べに和田院長は容疑を否認しているという。
捜査1課と天満署の調べでは、男性は心と体の性が一致しない性同一性障害で、02年2月25日に同クリニックで手術を受けた。手術開始の約3時間後に低酸素状態になって意識がなくなり、不整脈や心臓発作を起こして翌日、搬送先の別の病院で死亡した。司法解剖の結果、死因は肺に水がたまる肺浮腫だった。
府警は、男性が呼吸抑制作用のある麻酔薬によって呼吸困難な状態に陥ったのに、和田院長が呼吸の確保を十分に行わず、さらに、速やかに救命設備のある別の病院に移送しなかった点に過失があると判断。また投与した麻酔の量に問題がなかったかどうかについても調べている。大阪市への届け出によると、同クリニックは当時、医師は和田院長だけで、看護師が4人、入院施設はなかった。
府警の事情聴取に対し、和田院長は「容体が変わった後も漫然と放置したわけではない。麻酔についても、ほかの患者と同様に投与し、問題はない」と主張しているという。同クリニックは17日午前、「麻酔内容、方法に関しては、安全性を確認し、長年にわたり現在も当院で行い続けているものであり、事故の原因となりうるようなものでは全くない」とするコメントを出した。
■性同一性障害(GID) 体と心の性が一致せず、社会的、精神的に困難を抱える症状。1万〜10万人に1人の割合でいると推定される。日本精神神経学会が97年、ガイドラインを定めて医療の対象と位置づけ、04年7月には、手術を受けた独身の成人で、子どもがいないなどを条件に戸籍の性を変えられる法律が施行された。現在、ガイドラインに沿って埼玉医大や岡山大などで手術が実施されているが、精神療法、ホルモン療法を経てから手術となるため、手術までに2年以上かかるケースが多いという。このため、手術を待ちきれない患者たちが「わだ形成クリニック」に集まっていたとされる。
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200506170028.html
性転換手術で死亡、大阪のクリニック院長を書類送検へ
大阪市北区の美容形成外科「わだ形成クリニック」で2002年2月に起きた性転換手術後の死亡事故は、麻酔薬の副作用を起こした患者への不十分な処置などが原因だった疑いが強いことが17日までの大阪府警捜査一課などの調べで分かった。同課と天満署は和田耕治院長(51)を近く業務上過失致死容疑で書類送検する方針を固めた。
性転換手術の死亡事故で刑事責任を問われるのは初めて。
調べによると、死亡したのは性同一性障害を抱えた東京都内の男性患者(当時35)。02年2月25日、和田院長執刀で女性への性転換手術を受けた。手術開始後約3時間で、呼吸困難になるなど容体が急変し、翌日、肺に水がたまる肺浮腫などを引き起こして死亡した。
和田院長は気道確保などの処置を十分に取らないまま手術を続行した疑いが持たれている。
クリニックには患者の容体急変に対応する救命機器や入院施設はなく、設備がある他の病院へ転院させるなどの措置も翌日まで取らなかった。投与した麻酔薬の量も過剰だった可能性もあるという。 (11:35)
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20050617AT5C1700417062005.html
性転換手術で男性死亡、形成外科院長を立件へ
大阪市北区の美容・形成外科「わだ形成クリニック」で2002年2月、東京都内の会社員男性(当時35歳)が女性への性転換手術を受けた直後に死亡した事故で、大阪府警捜査1課と天満署は16日、執刀した和田耕治院長(51)による麻酔投与ミスなどの「過失の競合」が死亡につながったとして、業務上過失致死容疑で近く書類送検する方針を固めた。性転換手術に絡む事故が、刑事事件に発展するのは初めて。
調べでは、男性は「性同一性障害」に悩み、02年2月25日、同クリニックで手術を受けた。ところが、手術開始から約3時間後に容体が急変。翌日、別の病院に搬送されたが、呼吸不全で間もなく死亡した。
府警が、遺体を司法解剖した結果、男性が麻酔薬の中毒症状で呼吸困難に陥った可能性が高いことが判明。和田院長から事情を聞いたところ、基準最高用量の約1・6倍の麻酔薬を急激に投与し、容体急変後も、救命設備を持つ他病院に転院させるなどの措置を取らず、数時間、手術を継続していたこともわかった。
このため、府警は、和田院長の過失が積み重なったことが男性の死につながった疑いが強いと判断した。
和田院長は調べに対し、「過去の経験に基づいて適切に麻酔薬を投与した。容体急変後も患者に対して、薬剤投与や呼吸管理を続けており、漫然と放置したわけではない」と過失を否定しているという。
性転換手術は、日本精神神経学会が1997年、他に治療法がないなどの場合に限って認めるとの指針を策定。現在、埼玉医大と岡山大で手術が行われているが、学内の倫理委員会で承認を経て手術までに2年以上かかることなどから、待ちきれない患者が海外で手術を受けるケースも多いという。
同クリニックは96年に開業。性同一性障害の患者らの間で「すぐに手術が受けられる」と口コミで評判を呼んでいたという。
(2005年06月17日 読売新聞)
http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20050617p101.htm