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http://www.sankei.co.jp/news/050607/evening/08nat001.htm
和歌山の毒物カレー事件で、殺人などの罪に問われ一審・和歌山地裁で死刑判決を受けた林真須美被告(43)の夫の健治受刑者(60)=詐欺罪で服役=が七日、刑期を終えて滋賀刑務所(大津市)を出所した。取材に応じた健治元受刑者は二十八日に高裁判決を控えたカレー事件について、「(真須美被告の)無実を信じている。最後まであきらめずに闘ってほしい」と、ときおり唇を震わせ、言葉を選ぶように丁寧に話した。
健治元受刑者はこの日午前六時二十分ごろ、真須美被告の弁護人に伴われて出所し、大阪市北区の大阪司法記者クラブで取材に応じた。十年十月四日に逮捕されて以来、法廷を除けば公の場に出るのは六年八カ月ぶり。つえをつき少しやせたものの、健康そうな様子で、逮捕前とは一転、穏やかな表情で質問に答えた。
二十八日の判決については「傍聴に行きたいのはやまやまだが、これだけマスコミの方がいると、自分がもみくちゃにされるのでは…」と戸惑いの表情。真須美被告との面会についても「今すぐにでも行きたい気持ち。体に気をつけてほしい、一日も早く裁判に勝って子供のところに帰ってほしい、と言いたい」。
一方で、法廷で幾度か“再会”した真須美被告の印象を「高価な服を着て、落ち着いていた。それに比べて私はみじめだった」と述べた。
一審の死刑判決を知った瞬間を、「刑務所の食堂で職員が偶然テレビをつけたら、生中継をやっていた。五十人の受刑者といっしょに見ていて、情けなくて恥ずかしかった」と振り返った。
真須美被告の控訴審公判で「保険金を詐取するため自分でヒ素を飲んだ」と一審での証言を翻したことについて、「このまま(真須美被告が)死刑になるのは具合が悪いと思い、記憶に基づいて証言した」と説明。
さらに、「ヒ素を何回も飲んでいると慣れてきて、死ぬという恐怖感はなかった。自分で飲んだからこそ手加減が可能で、今も生きている」と強調した。
一方、出所後の生活については「まだ具体的に考えていないが、何とかして食べていく。和歌山にはいずれ帰るつもり」。和歌山市園部の自宅が十二年二月に放火で全焼したことに対しては、「家族や友達など失ったものがあまりに多すぎて、家がどうしたというような次元ではなかった。ただ、恐怖感はあった」と淡々と話した。
健治元受刑者は真須美被告と共謀した三件の詐欺罪で起訴。十二年十月二十日、和歌山地裁で懲役六年の実刑判決を受け、滋賀刑務所に服役していた。