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JR福知山線・脱線事故 4月25日[月] 産経新聞記事
http://www.asyura2.com/0502/nihon16/msg/878.html
投稿者 愚民党 日時 2005 年 5 月 30 日 15:17:58: ogcGl0q1DMbpk

「非常に申し訳ない」 JR西日本社長が会見 快速脱線事故


脱線事故について記者会見で説明した後、席を立つJR西日本の垣内剛社長(右)=25日午前11時40分、大阪市北区のJR西日本本社(共同)


 「鉄道事業者として非常に申し訳ない気持ちでいっぱいです」。大阪市北区のJR西日本本社では25日、垣内剛社長が緊急記者会見。死傷者が200人を超える事故を起こしたショックを隠しきれない様子で話した。

 午前11時15分すぎ、同社4階の大会議室で始まった会見には、約150人の報道陣が詰めかけ、騒然とした様子。垣内社長は沈痛な表情で「多くのお客さまが負傷されているようで、200人以上が現場に入り、全力を挙げて救援に当たっている。亡くなられた方やご親族の心中を察するに余りある」と述べた。

 「事故当時の列車の速度は」「車と衝突したのか」。報道陣から矢継ぎ早に質問が飛ぶ。同社鉄道本部の村上恒美安全推進部長は「現場はかなりきついカーブ」「制限速度は70キロ」とうつむき加減に答えていたが、事故原因にかかわる質問には「今後調査する」と繰り返すだけだった。

 会見では、事故前に列車が伊丹駅(兵庫県伊丹市)でオーバーランして1分30秒の遅れがあり、塚口駅(同県尼崎市)を1分遅れで通過したことが判明。「遅れを取り戻そうと急がせたのでは」との質問に、村上部長は「確認できていない」と答えた。

 垣内社長は最後に「事故原因は不明だが、警察など関係機関と協議し、早急に究明に努める。何よりも被害者の方々への対応に誠意を尽くしたい」と繰り返した。



≪JR西日本会見の一問一答≫
 JR西日本社長会見の一問一答は以下の通り。

 垣内剛社長 本日午前9時18分ごろ、JR福知山線尼崎−塚口間で脱線事故が起きた。何よりもまず、負傷されたお客さまの救援に全力を尽くす。亡くなった方やご遺族の心中を察するに鉄道事業者として申し訳ない気持ちでいっぱい。お客さまへの対応と、ダイヤ復旧に全力を尽くす。

 −事故状況について。

 村上恒美・安全推進部長 先頭車両が近隣のマンションに激突した。負傷者は8カ所の病院に搬送された。現場はカーブで、70キロ以下の速度制限がある。車両は207系の7両編成。運転士は乗務歴11カ月の23歳で、車掌は経験15年の42歳。運転士は車両内に閉じ込められている。

 −乗用車は脱線してから車と衝突したのか。

 村上 判明していない。事故と車との因果関係については調査中。

 −直前の伊丹駅でオーバーランしたようだが。

 村上 停車位置を8メートル過ぎたらしい。修正を行い、1分半の遅れが出た。塚口駅を1分遅れで通過した。

 −制限速度を超えたか。

 村上 運行速度は把握できていない。ブレーキをかけたかも分からない。

 −電車の遅れについて、修正するよう指令があったか。

 村上 分かりません。

 −脱線が起きる速度は。

 村上 設計上約133キロ。これ以上になると脱線の可能性がある。運転士は2004年6月8日に片町線下狛駅で100メートルのオーバーランを起こしている。(1両目、2両目の)どちらが前後か分からないが、マンションの壁などにぶつかった。3両目の前方と4両目の間で180度折れ曲がっている。脱線車両は計4両。

 −事故の一報は。

 指令と車掌とのやりとりが残っている。車掌が伊丹駅でオーバーランの状況報告を無線と携帯電話で報告途中に発生した。

 −内容は。

 三浦英夫運輸部長 午前9時17分57秒、無線で「伊丹駅でオーバーランがありました。1分30秒遅れて走行しています」。やりとりの最中、JRの専用携帯で「今、脱線事故です」との連絡があった。

 −線路に異常は。

 担当者 事故後調査したが、当該区間はデータ上、異常はなかった。


(共同)

http://www.sankei.co.jp/news/050425/sha058.htm

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平成17(2005)年4月25日[月]

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快速脱線37人死亡 尼崎のJR福知山線
マンションに激突 重軽傷270人超す


 二十五日午前九時十八分ごろ、兵庫県尼崎市久々知のJR福知山線尼崎−塚口間で、宝塚発同志社前行き快速電車=七両編成、高見隆二郎運転士(23)=の前四両が脱線し、線路脇で乗用車と衝突、先頭と二両目の車両は線路から約六メートル離れたマンションに激突した。この事故で、少なくとも三十七人が死亡、二百七十人以上が負傷し、国内の列車事故としては平成三年、滋賀県信楽町(現甲賀市)で信楽高原鉄道とJR西日本の列車が正面衝突して四十二人が死亡して以来、最悪の惨事となった。兵庫県警は業務上過失致死傷などでの立件も視野に入れ、詳しい事故原因などを調べている。

 JR西日本や県警によると、電車の乗客は約五百八十人。電車は事故直前、手前の伊丹駅で停止位置を約八メートルオーバーランし、いったんバックしてから停車していた。このため、同駅を定刻より約一分半遅れで発車、塚口駅を約一分遅れで通過しており、複数の乗客は現場付近に差し掛かる直前、「通常よりスピードが出ており、揺れも激しくなった」と証言している。現場付近はきついカーブで、制限速度は時速七十キロだった。

 県警では、カーブで電車が単独で脱線した可能性が高いとみて、脱線当時の速度などを調べている。

 高見運転士は、運転歴約十一カ月。昨年六月八日にも、片町線下狛駅で停止位置を約百メートル行き過ぎて停車したことがあった。

 脱線した車両には同日昼現在、乗客約二十人がなお閉じ込められているとの情報もあり、救出作業は難航。大阪市など近隣自治体の消防当局も消防車、救急車や職員を派遣し、レスキュー隊員らが救出を急いでいる。

 兵庫県は、陸上自衛隊に災害出動を要請。午後には第三師団第三後方支援連隊(同県伊丹市)の隊員が現地に到着し、救出活動に加わった。

 また、総務省消防庁は同県の要請を受け、大阪府と京都府に緊急消防援助隊の出動要請を行った。緊急消防援助隊が列車事故で出動するのは初めて。

 国土交通省は、今回の事故を死者十−数十人規模で、上から二番目にあたる「レベル四」に分類。国交相を長とした対策本部を設置して、非常体制を取っている。

 現場はJR尼崎駅の北西約一キロ。近くには卸売市場や工場などが点在している。

http://www.sankei.co.jp/news/050425/evening/26iti001.htm

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平成17(2005)年4月25日[月]

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「U」字形 ひしゃげ大破 JR快速脱線、横転
乗客ごと車両一回転 マンションに2両めり込む


 朝のあわただしさから解放されかけた住宅地に悪夢のような光景が広がった。二十五日、兵庫県尼崎市のJR福知山線・尼崎−塚口駅間の踏切付近で発生した電車脱線事故。押しつぶされ、マンションにからみついたような車両が事故の衝撃を見せつける。刻々と増える血を流すけが人。現場には青いシートが敷き詰められ、さながら野戦病院と化した。「おかしいと思うほどスピードが出ていた」。「車両がつぶれて外へ押し出された」。助かった乗客は、衝撃の瞬間を次々と証言した。

 「まわりの乗客が電車ごとぐるりと一回転した」。脱線した三両目に乗っていた神戸市内の女性(28)は興奮した様子で話した。電車は衝撃音とともに急停車したが、子供の泣き声が響き渡り、けがのひどい人はぐったりとして声も出せない状態だった。

 現場はきつい右カーブ。マンションがカーブの基点の位置に建つ。脱線した前方車両のうち、一、二両目はマンションに衝突。「U」の字形にひしゃげマンションに張り付いた状態となっていた。

 電車は、尼崎駅へ間もなく差し掛かろうとしていた。ラッシュ時を過ぎた時間帯で、乗客は約五百八十人。ただ、この日は伊丹駅でオーバーランし、直前の塚口駅を一分遅れて通過していたという。

 「伊丹駅を出発してからものすごいスピードで走り始めた。『おかしい』と思ったぐらいだった。いきなりドンと音がして、次々と倒れた」と、大学非常勤講師の万浪弘和さん(30)。

 一両目に乗っていて背中を打撲した兵庫県宝塚市の私立大二年の男子学生(19)は「事故直前、電車が普段よりスピードが出ていた感じがした。次第に揺れが大きくなり転倒した」。

 乗客らによると、突然の急ブレーキとともに車体が大きく傾き、間もなく激しい衝撃に見舞われた。乗客は車内で飛ばされ、そのまま折り重なるように倒れたという。

 一両目の後部座席でけがをしたパート女性(38)は「寝ていると急ブレーキがかかって、車内がいきなり暗くなった。気づいたら運転席が崩れていて、『助けてくれ、痛い痛い』という叫び声が車内に響き渡っていた。荷物が私の上に落ちて動けなくなったので、ほかの乗客が助けてくれて外に連れ出してくれた」。

 前方の車両に乗り、左腕を骨折した兵庫県猪名川町の板前の男性(25)は「ドーンと衝撃が走り、気づくと乗客が入り組み、身動きがまったくとれない状態になった」。男性は約三十分後に救助されたが、「助けて」「落ち着け」と叫ぶ声が頭から離れないという。

 二両目の座席に座っていた西宮市の編集デザイナーの男性(35)は居眠りをしていると突然、「バキバキと牛乳パックが押しつぶされるように車両がつぶれ、席からほうり出された」。男性は車両の裂け目から自力で脱出したが、乗客からは「つぶされる」との悲鳴があがり、「子供はどこ」と叫ぶ母親の姿もあったという。

 伊丹市の女性会社員(32)は三両目のドアに寄り掛かっていた。「急ブレーキかと思い、手すりにつかまったが、たたきつけられた」。立っていた人は全員、進行方向に飛ばされ、折り重なるように倒れ、外に脱線車両が見えた。「(車両の)外に何人か投げ出されているのが見えた」。ひざを負傷した男性会社員(45)は「車両が浮いたように感じ、座っていても投げ出された」と語った。男性によると、鉄を焼いたようなにおいがし、白い煙が立ち込めたという。

 後方の車両に乗っていた女性会社員(21)は「ものすごい音がして、車両から出てみると足が裂けている重傷者を見た。現場は血だらけだった」と青ざめた様子で話した。

≪先頭車両から叫び声 救出作業難航≫

 「道をあけて、そこの道を」。救急隊員の声が響く。現場ではパトカーや救急車が行き交い、サイレンがこだました。事故を起こした電車のうち、前の車両はマンションに激突してひしゃげて大破しており、けが人の救出は難航した。

 「大丈夫か」

 事故後、間もなく駆けつけたレスキュー隊員が大声を上げて叫んだ。

 「こっちが先だ」

 血まみれの人たちが固まっていたところから声があがる。

 マンションに激突した先頭車両には何本ものはしごがかけられ、救急隊員や警察官が中を必死にのぞき込み、取り残されている乗客をさがした。電車の屋根にも救急隊員がのぼり、大声で作業の指示を飛ばした。

 ペシャンコになった先頭車両からも、事故直後には「助けて」といった声が聞こえていたという。「引きあげろ」「急げ」「早くロープを引っ張れ」。レスキュー隊員は火花を散らしながら、ひしゃげた車体の一部をエンジンカッターで切断、マンション三階ベランダに固定したウインチで、切断部分を除去した。

 横転した車体の窓のわずかなすき間から、一人ひとり乗客を助け上げ、次々と担架に乗せた。意識があった乗客が助け出されると、拍手が沸き起こる一方、毛布をかけられたまま隊員が沈痛な面持ちで運び出していく場面もあり、明と暗が交錯した。現場近くの市立大成中学校には救急車など五十台が待機。救出した乗客を次々と病院に搬送した。

 周辺では、救急隊員が簡易テントをいくつもはり、電車から外した座席を担架代わりでけが人を運び込む人も。血を流してぐったりする人、呆然(ぼうぜん)とへたり込む人たちであふれかえった。

 現場脇の建材工場では、全社員が救出作業に協力、社用車で負傷者を病院に搬送したほか、骨折した人のために建材を切り、添え木に仕立てた。別の金属加工会社の社員らも線路のフェンスを乗り越え、窓などから見えた手足を引っ張り出し、乗客を救出していった。近くの無職男性(76)は「遺体もならんでおり、野戦病院のような状態だった」と唇をかんだ。

 けがのなかった乗客やマンション住民、付近の会社などの従業員も救出に協力。タオルを氷水で冷やし、負傷者の手当てをするなど走り回った。

 後方の車両に乗っていた神戸市北区の女性会社員(27)によると、事故発生当初はけがのなかった乗客らが率先して閉じ込められた乗客の救出にあたった。折り重なった乗客を車両すき間や窓から、上から順に引っ張り出したという。女性は「すぐに救急車が来るわけでもなく、私らでできることをするしかなかった」と話していた。

≪尼崎−宝塚間の復旧めどたたず≫

 兵庫県尼崎市で起きたJR福知山線の快速電車脱線事故の影響で、同線は事故直後から尼崎−広野間で運転を見合わせた。約一時間後の午前十時二十二分、宝塚−広野間で運転を再開したが、尼崎−宝塚間の復旧のめどは立っておらず、宝塚から先で折り返し運転を行っている。

 また、福知山線経由の特急列車はすべて運休となり、JR西日本では、京都から山陰線経由の列車を利用するよう、呼びかけている。

http://www.sankei.co.jp/news/050425/evening/26nat001.htm

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平成17(2005)年4月25日[月]

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血まみれ うめく乗客 JR快速脱線、横転
「助けて」「死ぬ」 土煙と油のにおい充満


 けたたましいブレーキ音、「ドーン」というすさまじい爆音に続き、ガラガラと金属がこすれるような音が周囲に響いた。あたりを覆い尽くすほどの土煙と、油のにおいが充満し、乗客の悲痛な叫び声も聞こえる。二十五日、尼崎市のJR福知山線で起きた電車事故は、周囲の住民らをも震撼(しんかん)させた。

 「まるで大きな地震が起きたような音だった」。線路をはさんだ現場の向かいにある自動車修理工場「平尾自動車工業」の平尾脩社長(62)は、事故直後、約十五人の従業員とともに、あわてて外に飛び出した。

 脱線、転覆した電車が向かいのマンションの一階に飛び込んでいる。開いたドアから命からがら脱出した血まみれの乗客が、線路脇でうめいていた。「すぐ助けないと」。従業員はそろって車両に駆け寄った。

 「目をそむけたくなるようなひどい光景だった。救急隊がなかなか来なくて…。従業員の服は、あっという間に血で染まってしまった」

 無我夢中で乗客を助けているうち、救急隊が到着。しかし、従業員が抱きかかえた乗客の一人は、すでに意識がなかったという。「現場はカーブだが、どうして脱線したのか。前の伊丹駅でホームをオーバーランし、いったんバックしたそうだが、遅れを取り戻そうとスピードを上げ、脱線につながったのかもしれない」

 現場脇の工場敷地にいた尼崎市の自営業、灰山季久雄さん(65)も、事故当時の電車について「ジェット機が着陸したときのようなものすごいブレーキ音が聞こえた。まるで車が曲がりきれなかったような感じで、車両が外側に大きく傾いていった」と話した。

 車両の一、二両目が飛び込んだマンションは、二年前に完成した分譲で九階建て。六階に住む主婦(62)は「部屋でくつろいでいたら、ドーンと音がした。ガス爆発かと思った」。廊下に出ると土煙が上がっており、慌てて地上に下りた。「電車から次々と人が運び出され、顔や頭、足から血を流している人が横になり、救急車を待っていた。電車はぐちゃぐちゃだった」と声を震わせた。

 また、八階の主婦(50)は「つぶれた電車の中から、血を流したけが人が、たくさん出てきた。線路と電車に挟まれて、手をバタバタさせている人もいた」。二階に住む男性会社員(37)は「マンション駐車場には座席みたいなのが散乱していた。へたり込んで放心状態の人が二、三十人いた」。別の住人の主婦(48)は「油のようなすごいにおいがむせるほど充満していた」。

 近くの会社社長(62)は「乗客が『助けて』『死ぬ』と叫んでいた。慌てて従業員と救出の手伝いに行った」と話した。

 一方、現場近くに住む男性(64)は、事故直後の様子について「線路近くに何人ものけが人が寝かされていて凄惨な様子だった。近くの道路脇の歩道には、救急車を待つ負傷者が頭や手から血を流した状態でぐったりと座り込んでいた。近くの中学校のグラウンドには、けが人を運ぶためのヘリコプターが何機も昇降を繰り返し、騒然としていた」。

 また、現場から約百メートル南の尼崎中央卸売市場にある漬物店「兵漬兵庫食品」社員、宮原鈴子さん(48)は「サイレンが次々と鳴ったので、最初は火事と思ったが、近くまで行くと担架に乗せられた人が次々と運ばれていた。うちの会社からも、けが人の方に使ってもらおうとタオルを百枚運んだ」と話した。


≪「何もかも足りない」 搬送先の病院 家族捜す姿≫

 けがをした三百人近くの乗客は兵庫医大病院や尼崎中央病院、県立塚口病院など複数の病院に分かれて搬送された。

 「ストレッチャーもベッドも何もかも足りない。通りすがりのトラックや車に乗せてもらってきた負傷者も多く、患者さんの人数も把握できない」。現場近くの尼崎中央病院の看護師は悲鳴に近い声でそう話していた。

 同病院では緊急の診察室や受付が設けられ、次々と負傷者が救急車で運ばれた。一階フロアには診察を終えた負傷者のリストが掲示され、午後零時半現在で約六十人に上った。

 病院内では医師や看護師らがあわただしく駆け回っていたほか、負傷者の関係者も相次いで訪れ、不安げにリストを見詰め負傷者を捜す姿もあった。

 大阪市福島区の会社から来た女性は「同僚がまだ会社に来ない。いつも(福知山線の)一両目か二両目に乗っており、心配で搬送先の病院を回っている」と放心したような表情を見せた。

 治療を終えた兵庫県宝塚市の私立大二年の男子(19)は救急隊員の救助を手伝った後、病院で診察を受けた。男子学生は一両目に乗車し背中を打撲したにもかかわらず、痛みに耐えての作業。「僕は動けましたので」と話す。救出された乗客や閉じ込められた乗客には「救助隊員が来たから大丈夫ですよ」と励ましたという。

 一方、関西労災病院にも救急車や警察車両が次々と到着。担架から降ろされたけが人らは、車いすや担架で二階の救急外来に運ばれた。けが人の中には血まみれになったセーラー服の女子学生やワイシャツ姿のサラリーマンも。

 一報を聞きつけ駆けつけたけが人の家族らは、救急外来から出てくる医師らに容体などを心配そうに尋ねていた。

≪主な搬送先≫

 兵庫県尼崎市で二十五日、JR福知山線の快速電車が脱線、衝突し多数の死傷者が出た事故で、午後一時までに判明した乗客などの搬送先病院は次の通り。

 尼崎中央病院(同市)四十人▽近藤病院(同市)二人▽安藤病院(同市)十五人▽県立塚口病院(同市)五十人▽関西労災病院(同市)十二人▽合志病院(同市)一人▽兵庫医大病院(同県西宮市)六十九人▽県立西宮病院(同県西宮市)一人▽宝塚市立病院(同県宝塚市)一人▽神戸中央病院(神戸市)一人▽神戸大病院(神戸市)一人

http://www.sankei.co.jp/news/050425/evening/26nat002.htm

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カーブ進入速度「未確認」 JR快速脱線
社長「救援を最優先」 23歳運転士、経験11カ月


 「なにより死傷したお客さまの救援を最優先したい」。JR福知山線の脱線事故を受け、JR西日本は午前十一時十五分から大阪市北区の本社で緊急会見を開き、垣内剛社長は重い口調で話した。続けて、「被害者やご家族の心中を察するに、申し訳ない気持ちでいっぱいだ」と、沈痛な表情で深々と頭を下げた。

 その後、同席した村上恒美・安全推進部長が、事故の状況を説明。現場が半径約三百メートルの右カーブであることや、脱線した列車の運転士(23)の運転歴は約十一カ月だったことなどを明らかにした。だが、事故前に伊丹駅でオーバーランして一分三十秒の遅れがあり、「遅れを取り戻そうと急がせたのでは」との質問には「確認できていない」と答えた。

 断片的な情報しかない会見に、約百五十人の記者側からも怒号が飛び交う場面も。その間も垣内社長はうつむいたまま。最後に改めて社長としての対応を問われると、「現段階ではなんとも申し上げられないが、最大限の救命活動を行いたい。亡くなった方もおり、その方々への対応が第一。それから今後の正常復旧に努めたい」と繰り返すのが精いっぱいだった。

 電車脱線事故を受け、JR西日本は二十五日、ダイヤなどの問い合わせに対する窓口として専用電話を設置した。電話番号は06・7688・0140とフリーダイヤル0120・956・357

≪JR西日本・会見一問一答≫

 二十五日午前十一時十五分から、大阪市北区のJR西日本本社で記者会見が行われた。主な一問一答は次の通り。

 −−脱線の原因は

 JR西日本の村上恒美・安全推進部長 「まだ把握していない。これからの調査となる」

 −−前の駅で当該列車がオーバーランしたという情報がある

 「伊丹駅で約八メートルオーバーランし、後退した。その間、約一分三十秒の遅れが生じ、塚口駅は一分遅れで発車した」

 −−カーブ進入時の速度は

 「七十キロ制限区間なので、当然それ以下と考えている」

 −−正確に把握できないのか

 「現時点で未確認だ」

 −−車と衝突したという場所は

 「衝突したのかも分からない。当該列車の停止位置が、踏切よりも約百メートル手前なためだ」

 −−車と衝突と発表されているが

 「現時点では確認できていないが、現場付近で車が大破しているのは事実だ。しかし、脱線との因果関係は分からない」

 −−一般論で、個別の列車の速度が分かる記録はあるのか

 「この線区ではない」

 −−七十キロ以下でカーブに進入したと確認できるのか

 「乗務員に確認するしかない」

 −−現場のカーブで、どの程度のスピードで脱線するか推測できるのか

 「計算式はある」

 −−運転士から話は聞いたのか

 「現在、車内に閉じ込められている。車掌は警察の事情聴取を受けている」

 −−伊丹駅でのオーバーランは指令に連絡しているのか

 「車掌から連絡されている」

 −−運行の遅れを取り戻すような指示はあったのか

 「それはない。運転士と車掌の協議で運行再開する」

 −−この列車の最高速度は

 「百二十キロ」

 −−現場のカーブで速度超過した場合、ATS装置は作動するのか

 「作動しない。脱線する危険速度というものがある」

 −−車掌から指令への事故の一報内容は

 「車両が傾きけが人が出ている、という短いものだった」

≪最近の大規模列車事故≫

 JR福知山線快速電車の脱線事故は、死傷者が三百人を超え、近年では最悪の列車事故となった。脱線や衝突による列車事故は後を絶たない。JR西日本では、四十二人が死亡した信楽高原鉄道事故や、救助活動中の救急隊員が電車にはねられる事故が起きている。こうした列車事故をめぐっては鉄道会社の過失を問う刑事事件や民事訴訟に発展するケースも多い。

 滋賀県信楽町(現甲賀市)で平成三年五月、第三セクターの信楽高原鉄道(SKR)の列車が、単線上でJR西日本の列車と正面衝突し、乗客四十二人が死亡、六百人以上が重軽傷を負った。

 JR西日本では十四年十一月、大阪市淀川区のJR東海道線で、電車にはねられた男子中学生の救助をしていた淀川消防署の救急隊員二人を特急電車がはね、一人が死亡、一人が重傷を負っている。

 十二年三月には東京の営団地下鉄(現東京メトロ)日比谷線の中目黒駅近くで、下り電車の最後尾車両が脱線し、乗客ら五人が死亡、六十四人が重軽傷を負った。

 また福井県の京福電鉄越前本線では同年十二月と翌十三年六月、列車同士の正面衝突事故が相次いで起き、二つの事故を合わせて乗客一人が死亡、計五十人が重軽傷を負う事故が起きている。

 さらに十五年七月には、長崎県諫早市のJR長崎線で、特急電車が脱線横転し、乗客ら三十三人が重軽傷を負う事故があった。

http://www.sankei.co.jp/news/050425/evening/26nat003.htm

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