現在地 HOME > 日本の事件16 > 775.html ★阿修羅♪ |
|
bアの記事は、核心の名に値する。
労組の取材もしている。首都圏も危ない。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20050427/mng_____kakushin000.shtml
東京新聞【核心 】
高速化と増発が重圧 JR脱線事故
乗客争奪戦、首都圏でも
尼崎JR脱線事故が起きた路線は、阪急宝塚線と競合し、JR西日本はスピードアップと増発に力を入れてきた。JRと私鉄が激しい乗客争奪戦を繰り広げる中、事故前のオーバーランによる遅れが“焦り”となり、速度超過につながったとの見方も。だが、スピードアップと増発競争は関西地区だけでなく、首都圏も無縁ではない。少子化による人口減少で、競争は激化するとみられている。 (社会部・安藤淳、加藤文)
今回の事故について、JR西日本労働組合の幹部は「スピード化は(事故の)要因の一つ。距離的に近く、並行して走る阪急より速くすることで乗客を増やすしかない」と速度重視の現状を認めた。
首都圏では、二〇〇一年十二月にJR東日本が湘南新宿ラインを開通させた。競合する小田急電鉄と東急電鉄に対抗し、昨年十月に特別快速を新設。昼間は一時間二往復から四往復に増発し、新宿−横浜間を二分縮めて二十七分に、新宿−小田原間を十三分短縮して七十一分とした。
これに対し、渋谷−横浜間で競合する東急東横線は、昨年二月に横浜高速鉄道みなとみらい線との直通運転を開始。特急、急行は一時間あたり各四本運転するなど、利便性と運賃の安さで対抗。また新宿−藤沢・小田原間で競合する小田急も昨年十二月から、新宿−藤沢を最短五十三分、同−小田原を八十分で結びスピードアップした。
羽田空港第2旅客ターミナルの開業にあわせ、東京モノレールも昨年十二月から速度を上げ、空港と浜松町間の所要時間を一分短縮し、増発して京浜急行と張り合う。
時短をPRする動きに、私鉄関係者は「少子高齢化で限られたパイを奪い合う傾向が首都圏でも顕著になってきた」と話し、JRのある労組幹部は「時間短縮は既に限界に近い。会社がスピードアップやダイヤの正確性を売り物にするあまり、運転士などに重圧がかかっている」と訴える。
最近のスピードアップ化について、東急などの私鉄各社は「JRに対抗するために制限速度をアップすることはあり得ない」と否定するが、「制限速度を超えない範囲で遅れを回復してもいい。二分以上、ダイヤから遅れると運転士は報告書を書かなくてはいけない」としている私鉄もある。
鉄道評論家の角本良平氏は「スピードアップばかりにこだわるとおかしくなる。JAL(日本航空)の時と同じで安全を無視してまでの効率優先は許されない。JRは安全第一の中で努力してきたが、今回の事故で“脱線”してしまった。事故を機に、安全に対する投資を利便性に優先するしくみを国土交通省を中心に考えてほしい」と語る。
国交省幹部も「車体の欠陥や置き石などが原因でなければ、本格的にヒューマンエラー問題に取り組まなければならないかもしれない」と話す。
■JR福知山線も阪急と競合区間
関西では主要都市間でJRは並行して走る各私鉄とし烈な競争を繰り広げている(路線図参照)。
JRは大阪と三ノ宮(神戸市)間では、阪急、阪神(梅田−三宮)と、大阪と京都間では阪急(梅田−河原町)、京阪(淀屋橋−出町柳)と競合している。事故のあったJR福知山線も、宝塚−大阪間は、やはり阪急宝塚線と競合区間になっている。さらに大阪のベッドタウンとなっている奈良、和歌山間でも近鉄、南海と競合しているほか、大阪の空の玄関・関西空港と大阪都心の間でも、JRと南海が激しい競争を繰り広げている。
こうした競合状況を背景にJR、各私鉄は、「新快速」「特急」「快速急行」などの名称で停車駅の少ない高速電車を走らせてスピードアップを図り、所要時間を競い合うほか、シートなどをグレードアップした車両を投入し、乗客の争奪戦を展開している。