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神戸新聞
http://www.kobe-np.co.jp/news_now/ama_dassen.html
情報システムに“空白” 救急搬送や医師派遣
2005/05/04
尼崎JR脱線事故で浮き彫りになった災害医療の課題を探るため、日本集団災害医学会(理事長=山本保博・日本医科大教授)は6日、兵庫県災害医療センター(神戸市)と合同の特別調査委員会を設置する。事故では、各地から直後に医療チームが現場に駆け付けるなど、阪神・淡路大震災の教訓が生きた。一方で、一部の病院では受け入れ能力を超える患者が搬送された。特別委は評価、反省すべき点を明確にし、年内に報告をまとめる。(石崎勝伸)
尼崎市消防局によると、事故発生の四月二十五日、県内と大阪府の各消防から救急車四十六台が出動。二十八日までに延べ六十一台が活動した。
発生から約二十分後には、インターネットを使った県の医療情報システムの「緊急搬送要請モード」が稼働。神戸、阪神地域を中心に計百五十八病院でアラームが鳴り、患者の受け入れ可能人数の入力を呼び掛けた。うち約八割が応じ、集約結果が尼崎市消防局と各病院に伝えられた。
県警によると、負傷した四百六十七人(七人は搬送後に死亡)を受け入れたのは、県内と大阪府の四十九病院。比較的スムーズに分散搬送されたが、課題も残した。
現場に近い尼崎中央病院は「事故の直後に市民が患者四人を搬送してきた。入力の余裕はなかった」と説明。同病院ではさらに数十人が県警のバスで到着するなど一時的に患者が集中、二十人以上が転送された。
搬送先を救急隊に指示した同消防局は「近くの病院では刻々と変わる受け入れ可能人数が更新されず、発生後一、二時間は、電話で問い合わせて補った」と振り返る。
救急車を出した大阪市消防局は「現場周辺の病院は混乱しているだろうと判断し、あえて大阪の病院に運んだ」という。こうした機転が、医療情報システムの一部にできた“空白”を埋めた。
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一方、事故現場や近くの病院には、県内外から十五の医療チームが応援に駆け付けた。現場で患者治療の優先順位を決める「トリアージ」を行い、体の一部が長時間圧迫されて起こるクラッシュシンドローム(挫滅症候群)などで「がれきの下の治療」を施した。いずれも、震災では不十分だったと指摘された分野で、その活躍が目立った。
特別委の委員長に就任する鵜飼卓・県災害医療センター顧問は「今回の教訓を基に二重、三重の対策を考えたい。今後の災害に備えた訓練のあり方も示せれば」と話す。
・特集「尼崎JR脱線事故」 http://www.kobe-np.co.jp/news_now/ama_dassen.html