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尼崎脱線事故:
処分や再教育の恐怖 運転士を襲う
JR西日本では、ミスをした運転士は処分を受け、「日勤教育」という名の再教育が待っている。オーバーランなどで運行が遅れた高見隆二郎運転士(23)が、なぜ制限速度を大幅に超えてまで遅れを回復しようとしたのか。処分や再教育を恐れる心理が働いた可能性を指摘する同僚は多い。
01年、3日間の日勤教育の終了翌日に運転士(当時44歳)が自殺した。
02年には別の運転手が折り返し駅の詰め所で同僚と雑談したり、ワンマンカー乗務中に開けてはいけない扉を開けたなどとして、戒告処分を受けた。この運転士は、就業規則の筆記4日間、花壇などの草取り5日間−−など計14日間の日勤教育も課された。人権救済の申し立てを受けた兵庫県弁護士会は「合理的教育的意義が乏しく、懲罰目的と推認でき、人権侵害にあたる」として04年、同社に改善勧告を出している。
日勤教育の内容や期間は、職場長任せだ。ホームにずっと立たせたまま、入って来る電車すべてに「私はこういうミスをしました」と言わせるものまであるという。
高見運転士は、車掌時代2回、運転士になってからも昨年6月にオーバーランで訓告処分され、この時は13日間の日勤教育を受けた。暗い表情で反省文を書かされている姿が目撃されている。
今回の事故後、JR西日本管内ではオーバーランが相次ぎ、30日までに10件に上った。同社は「過度の緊張」ともみるが、会見で「厳しい日勤教育の影響ではないか」と問われた村上恒美安全推進部長は「マイナスに働いているとすれば、よくない。今までやってきたことが本当によかったのかを把握していきたい」と答えた。垣内剛社長も「今までのままでいいのかと思う。教育内容も一定の基準を設ける必要があるかもしれない」と、見直しを示唆している。
職場環境のストレスに詳しい小杉正太郎・早稲田大教授(ストレス心理学)は「ミスをした社員に罰を与えるのは、ミスを修正させる目的では有効な面もある。しかし、罰だけ与え続けると社員の士気は低下し、抑うつ状態になって注意力が低下したあげく、単純なミスが増える。JR西日本の日勤教育は教育的要素が乏しく、単に社員をストレス状態に追い込むだけ。もっと前向きな社員教育に取り組むべきだ」と指摘する。【堀川剛護】
毎日新聞 2005年5月1日 3時00分
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20050501k0000m040098000c.html