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【福島みずほの国会大あばれ 2005年3月22日号】
◆元チェス世界チャンピオン ボビー・フィッシャーさんのこと◆
ボビー・フィッシャーさんというチェスの元世界チャンピオンがいる。私のようにチェ
スについて詳しくない者も彼のことを知っている。東西対立の中で、アメリカ人代表と
して、ソ連のチェスの名手とアメリカ対ソ連という形で1972年にチェスをし、世界
チャンピオンになった。そんな彼が今、日本の牛久の外国人収容所にいる。去年の7月
から8ヶ月間収容されている。
なぜ彼が収容されたのか、不可解な所がある。去年の7月、日本からフィリピンに出国
しようとしたところ、彼の持っていた米国パスポートが既に無効になっていたという理
由で収容された。彼のパスポートは2007年まで有効のものであり、なぜ突然無効に
なったのかわからない。無効通知の紙も本人の手には届いていない。1992年に経済
制裁下にあった旧ユーゴスラビアにおいてチェスをしたこと、またその時得た賞金の税
金を払わなかったことが今問題になっているという報道もある。
アメリカの大陪審が4月始めに開かれることが決まったが、そこで有罪となれば、日米
両国で交わされている犯罪人引渡し条約に基づいてアメリカへの引渡しを要求されるの
ではないか、という報道もある。
ところで、全くの第三国であるアイスランドが彼に外国人パスポートを与え、そして身
柄を引き受けると言っている。アイスランドは、彼が72年に世界チャンピオンになっ
た時にチェスをした舞台となった地である。飛行機の切符も用意済という。しかし、日
本政府は彼をアイスランドへ行かせず、長期間外国人収容所に収容し続け、出国させて
いない。
「なぜ?」と思い、3月16日(水)、法務省に行って入管局長と交渉をした。入管法5
3条1項は「退去強制を受ける者は、その者の国籍又は市民権の属する国に送還される
ものとする」とし、2項は、1項ができない場合の第三国への送還を決めている。私
は、53条2項でアイスランドへ送還すべきだと考えている。しかし、入管は難色を示
す。だが、「アイスランドが市民権を与えれば、ボビー・フィッシャーさんは、アイス
ランドへ行けますね」と聞くと、「その通りです」という答え。ポイントは市民権であ
る。
そこでアイスランド大使館へ行き、アイスランド大使に話をした。大使は「本国にすぐ
連絡をする」と言ってくれた。アイスランドは年に二回、国会で市民権を与えるそう
だ。今回は、特別に彼のために、市民権を与えるかどうかにつき議論を始めてくれた。
アイスランドでは、彼は英雄なのだ。 私は、入管局とのやり取りのメモを起こして英
文で書面を作り、サインしてアイスランド国会に送った。また、アイスランド国営テレ
ビの取材を受け、出国に向け外国人用パスポートの発給のみでなく、「市民権」を与え
ることがポイントだと話をした。
私のメッセージは、アイスランド国営放送の朝のニュースでトップで放送してくれたそ
うだ。3月18日(金)にアイスランド国会の委員会で12対0の全会一致で市民権を与える
ことにつき可決され、21日(月)に本会議で可決をされた。後は、本日22日(火)に大
統領のサインをもらえば、正式に執行できる形となる。日本とは9時間の時差があるの
で、日本時間の今晩か明日朝早くにはサインは出されるはずである。
ボビー・フィッシャーさんは、アイスランドへの市民権を得る。入管法53条1項に基づ
いて、彼はアイスランドに送還されるべきだ。今回のことで、アイスランドという国が
とても身近になった。
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