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<わいせつ傷害>発達障害少年「無罪」 自白の信用性に疑問
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050125-00000066-mai-soci
強制わいせつ傷害の非行事実に問われた奈良県内の高校1年少年(16)が奈良家裁で「非行事実なし」の不処分決定を受け、大阪高裁(瀧川義道裁判長)も検察官抗告を棄却する決定を出し、「無罪」が確定したことが分かった。少年は、他人とほとんど会話のできない「広範性発達障害の疑い」と診断され、高裁決定は「少年の特異な供述態度は軽視できない。捜査段階の自白の信用性に疑問の余地がある」と指摘し、発達障害のある少年の捜査のあり方に一石を投じた。
高裁決定は今月12日付。事件は昨年5月20日夕方に発生。下校中の女子中学生が後ろから両手で口をふさがれ「殺されたいんか」と脅され、逃げようとした際に顔を殴られ、軽傷を負った。
決定によると、被害者や目撃者の証言から6日後に少年が逮捕され、当初は否認したが、知らない人と話ができない資質から調べにほとんど無言だった。しかし、その後、自筆で「下校途中にやった」とメモを書き、供述調書に署名。家裁送致後は一貫して否認した。
審判では目撃証言と自白の信用性が争われ、家裁はいずれもあいまいとして信用性を否定。検察官が抗告した後、少年は病院で「広範性発達障害の疑い」と診断を受け、少年の付添人弁護士は医師の意見書を提出した。
高裁は意見書に触れたうえで、(1)自白メモと供述調書の犯行態様の食い違い(2)事件10分前に少年は在宅していたとの知人の証言――などから「自白の信用性に疑問の余地がある」と判断した。目撃証言も「思い込みが働いた可能性を否定できない」と指摘した。
決定は、被害者に少年一人だけを面通しさせた捜査手法についても「被害者への暗示性が強いためできるだけ避けるべきで容易に看過できない」と批判した。
付添人弁護士は「少年の特異な資質を考慮せず、早期に自供したことで安心し捜査がずさんになったとしか思えない」と話している。【堀川剛護】
▽発達障害に詳しい竹田契一・大阪教育大名誉教授(発達障害学)の話 広範性発達障害の子どもは大人の質問に、結果を考えず『はい』と答えるケースがある。捜査機関は『自供して調書にサインしたから』と安易に捜査せず、発達障害をよく理解したうえで慎重に供述を聞くべきだ。
■ことば=発達障害
身近な人ともうまくコミュニケーションできず、興味や関心が非常に偏っているなどの特徴があり、先天性の脳障害とも言われる。(1)「自閉症」(2)他人の表情を読み取るのが苦手なアスペルガー症候群などの「広範性発達障害」(3)算数や漢字など特定の分野だけできない「学習障害」(LD)(4)相手の反応を確かめずに行動してトラブルを生じやすい「注意欠陥多動性障害」(ADHD)――などがある。文部科学省の02年調査では、全国の小中学生のうち6.3%が発達障害の可能性があると指摘。外見から障害の存在は分かりにくく、孤立している人が多い。
知的障害を伴わない場合が多く、障害者福祉サービスを受けられないなど対策の遅れが問題化し、早期発見と支援体制の整備を定めた発達障害者支援法が昨年12月の臨時国会で成立した。
(毎日新聞) - 1月25日15時3分更新