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『洗脳選挙:選んだつもりが選ばされていた』(三浦博史著 光文社ペーパーバックス) 感想
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投稿者 プロパーな胡瓜 日時 2005 年 9 月 12 日 10:56:11: 2onsedAU2qWyM

 『洗脳選挙:選んだつもりが選ばされていた』(三浦博史著 光文社ペーパーバックス)という本を読み終わりました。

 もともと、最終章(IT選挙の時代:選挙の近未来を読む)の内容に興味を持って買った本なのですが、いやあ、実におもしろい本でありました。

 著者の三浦さんは日本初の選挙プランナーを名乗り、数々の国政・知事・市区長・地方選挙において、選挙キャンペーンマネージャーとして活躍されてきた人なのであります。

 イメージ選挙を演出して何度も勝った実績を誇る選挙プランナーによる選挙必勝のマニュアル本です。選挙の裏側って、こんなことにもお金が動くのかと思うと嫌になりますが、事実から目をそむけるわけにもいきません。

 選んだつもりが、選ばされていた。サブ・タイトルにあるとおり、徹底して候補者について虚像のイメージを有権者に売りこみ、投票に駆りたてます。

 その手の内を知れば知るほど、有権者はもっと賢くならなければいけないんだな・・・と、つくづく思います。

 人の印象は目からの情報によってほとんど決まってしまう。人の印象を決めるのは、服装や身体の動きといった目からの情報が55%、声の調子や話し方が38%、話の中身が7%である。要するに、演説内容よりも外見が大切なのだ。だから、候補者には歩き方まで直してもらう必要がある。候補者は自分の十八番の演説をすればいい。街頭演説は、とにかく十八番を絶対に歌い続けること。演説の中身は関係ない。

 三浦さんは言います。

 「私は選挙のプロ。あらゆる手段を駆使して候補者を当選させるのが使命である。即ち、プロパガンダのプロでもなければならない。」

 この「あらゆる手段」というのがすざまじいのです。候補者のイメージづくりではその歩き方まで練習させています。またポスターづくりからホームページ作成まで、あるいは対立候補者へのネガティブキャンペーンまで、実に徹底しています。

 本書の前書きで一つの本が紹介されています。そこには、コロンビア大学のミラー教授が設立した「宣伝分析研究所」が発表した内容をもとに川上和久明治学院大学教授がプロパガンダ「7つの方策」が書かれているそうです。

 プロパガンダ「7つの方策」

(1)ネーム・コーリング(悪いイメージのレッテル張り)

(2)華麗な言葉による普遍化(「自由」「博愛」「愛」「平和」といった不変的な価値との結びつけ)

(3)転移(権威ある存在を味方につけ、自らを正当化)

(4)証言利用(有名人の発言を利用)

(5)平凡化(立場を似せて、親近感を得る)

(6)カードスタッキング(都合のいいことの強調と、都合の悪いことの隠蔽)

(7)バンドワゴン(ある事柄を、世の趨勢であるかのように宣伝)

 三浦さんは選挙キャンペーンマネージャーとして、これらの方策を実践していくのです。そして、選挙はプロパガンダによる洗脳工作だと言い切っています。

 「選挙は単純なメッセージの刷り込み(洗脳工作)の積み重ねである。」

 いや、この本には政略も崇高な政治理念も一切出現しません。しかし、現在の選挙戦における戦術面が余すことなく赤裸々に語られていてとても貴重な情報を得ることができました。

 ・・・

 しかし、このプロパガンダ「7つの方策」は見事ですねえ、今回の選挙戦でもアホみたいに実践している陣営がありマスですよ。


●日本の政治家のホームページでプロパガンダ「7つの方策」を検証する

 不肖・木走も政治家のホームページも何件か作成したことがありますので、この「7つの方策」はすべて実例を挙げて検証できますですよ。

(1)ネーム・コーリング(悪いイメージのレッテル張り)

 これはいろいろなところで見受けられますよね。今回の選挙では、ネーム・コーリングの例としてはやはり落下傘候補に対する「刺客」というレッテルでしょうか。

 まあ、ホームページで対抗馬(政敵)のネーム・コーリングを全面に出しちゃうと諸刃の剣でイメージ戦略上はちょっと微妙ではあります。

(2)華麗な言葉による普遍化(「自由」「博愛」「愛」「平和」といった不変的な価値との結びつけ)

 これはもうどの政治家のHPでもすぐ散見できますので、検証は割愛しますです。

 しかし、かつて「博愛主義」を掲げている政治家が、議員会館で秘書を怒鳴りつけていてぜんぜん「博愛的」でなかったことは、不肖・木走のちょっとしたトラウマになっているのでございます。(苦笑)

(3)転移(権威ある存在を味方につけ、自らを正当化)

 これはHPの写真ですぐ検証できますね。自民党で言えば、小泉さんや阿倍さんと笑顔で候補者が握手している例のアレですね。また、学歴もしばしば利用されていますよね。 特に海外ブランドが政治家さんにはお気に入りのようでして、どこどこ大学大学院留学なんて、ときどき卒業もしてなくて問題になったりしてますが(爆

(4)証言利用(有名人の発言を利用)

 候補者のHPでよく散見できます「○○君を推薦します」などと偉い政治家や著名人がよいしょ推薦文を載せていますあのページですよね。

 これもひどいもので下手すると推薦文を政治家の秘書が書いて、あとから先方に事後承諾してもらうってなのもありましたですね。(汗

(5)平凡化(立場を似せて、親近感を得る)

 これこれ。この平凡化(立場を似せて、親近感を得る)は、特に日本では決定的に重要な要素なんです。

 多くの政治家のHPではプロフィールとして幼少期からの写真付きページがありますですよね。またたいていの政治家は子供達に囲まれた笑顔の写真を用意しております。

「庶民的」親近感を持たせるのですよね。

 写真では笑顔で子供達の頭なでたりしていて、実は夜な夜な飲み歩いて夜はクラブのオネイサンのいろいろなとこ撫でちゃってた先生もいましたなあ(苦笑

(6)カードスタッキング(都合のいいことの強調と、都合の悪いことの隠蔽)

 これも検証割愛させていただきますね。100%全ての政治家に例を見ることが出来ることでしょうが。

 これ、ある代議士にまつわるとっても笑える裏話があるのですが、その方は本当に記憶力がよろしくなくて、いわんでいいひとこと(いわゆる暴言タイプですな)を語っちゃうタイプなんですが、あるオフレコ会見で都合の悪い隠蔽していた事実を記者から指摘されたとき、思わず「ああそれは公には言わないことになっているんだ」と正直に発言したそうな(苦笑

 まあ、どの政治家も触れられたくないカードスタッキングしたい事実もあるようで。

(7)バンドワゴン(ある事柄を、世の趨勢であるかのように宣伝)

 うーん、バンドワゴン、これ強烈なんですよね。日本の政治家の場合、バンドワゴンするときのキーワードは「国際的に見て」、これですね。

 例えばある政策をとなえるときに日本の実情など無視して「アメリカではナニナニ」「ヨーロッパではコレコレ」と、さもその政策が世界の趨勢であるがごとく訴えるあの論法ですね。これも繰り返し言われると有権者は洗脳されていくのですよね。

 ・・・

 ふう。

 まさに、選挙とはプロパガンダによる洗脳工作なのであります。

 え?

 もっと具体例を教えろって?

 ・・・(汗

 今の日本のブログ上では、選挙期間中はこれ以上できません(爆笑

 ・・・

 さてさて、小泉さんや岡田さんにもそれぞれ、プロの選挙参謀がついているのでしょうねえ。

 うーん、もしかして選挙参謀の「腕の差」が現状の支持率にでてますかね?

 あるいは、役者の「技の差」か?

木走日記
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20050904/1125824376

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