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どうなっているの? サマワ陸自、投票権なし
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インド洋上、海自は可能
イラク復興支援のため、サマワに派遣されている陸上自衛隊員約六百人とクウェートに派遣中の航空自衛隊員約二百人が、十一日の衆院選で投票することが不可能となった。投票ができるよう働き掛けていた防衛庁に対し、総務省が二日までに「現行制度の枠組みでは無理」との見解を伝えたためだ。「洋上投票」が可能な海上自衛隊と、同じ派遣自衛隊の中で対応が分かれる形となり、論議を呼びそうだ。
現在、イラクでは陸自第四師団(福岡県春日市)を中心に編成された第七次イラク復興支援群などがサマワで活動中。クウェートでも航空自衛隊員が輸送業務にあたっている。
公選法には、「在外投票」の規定があるが、転出届の提出や三カ月以上の海外滞在などの条件がある上、在外選挙人名簿の登録申請が必要。
イラクなどに派遣された約八百人はいずれも九月の投票日時点で三カ月に満たない。しかも、国内に住民票を残したまま現地に派遣されており、在外投票の資格がないという。
期日前投票制度についても「公選法は、期日前投票所を国外に設けることを前提にしていない」というのがこれまでの政府の見解だ。
一方、テロ対策特措法によりインド洋に派遣されている海上自衛隊の護衛艦「いかづち」(神奈川県横須賀基地)や補給艦「はまな」(長崎県佐世保基地)の隊員約三百四十人は、公選法に規定されている「船舶内の不在者投票」(洋上投票)に基づき今回の衆院選で投票が可能。
防衛庁によると、今回は衆院選公示後、各選管から投票用紙を受け取って現地の艦船に送っており、艦上で不在者投票を行った後、寄港地から係官が飛行機で持ち帰る予定という。
こうした矛盾は昨年七月の参院選でも指摘されており、防衛庁は「海の隊員ができて、陸、空の隊員ができないのは不都合だ。今回の選挙は隊員の間でも関心が高く、自分たちの声も反映させてほしいという要望が強い」として総務省に在外投票の実施を要請。同省も現行制度で投票が可能かどうか検討を進めてきたが、結局、公選法の解釈変更はできないと判断した。
遠い異国の地で復興のため国際貢献している自衛隊員が国政選挙に参加できない−。
法の欠陥があらためてクローズアップされた形だが、総務省選挙課は「自衛隊の国際任務だけではなく、海外で公務につく日本人も増えている。法令改正も含め、検討を急ぎたい」としている。
■在外投票 衆院選比例代表と参院選比例代表の2つの国政選挙について、在外邦人に対して選挙権を認める制度。選挙ができる選挙区は在外選挙人名簿に登録された市区町村の属する選挙区。投票方法は(1)在外公館投票(2)郵便投票(3)日本国内での投票−がある。期日前投票や不在者投票もできる。平成10年に法律が成立し、12年の衆院選から実施された。
洋上投票 仕事で日本国外の区域を航海中の船員のための不在者投票制度。平成11年の改正公選法の成立により、ファクスなどで衆院選と参院選について投票できるようになった。ただし、洋上投票を行う船員は、選挙人名簿の属する市町村の選挙管理委員会から、選挙人名簿登録証明書の交付を受けている必要がある。
(産経新聞) - 9月2日15時9分更新
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