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言語学研究室日誌
http://blog.livedoor.jp/wnmtohoku/archives/11685218.html
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アメリカの「陰謀」〜戦後日本のアンダーグラウンド
今テレ朝系でやっている「ビートたけしの陰謀のシナリオ」で戦後の数々の未解決事件の背後にアメリカの陰謀があるとあじっています。確かに帝銀事件や下山事件については明らかにアメリカ占領軍の関与が考えられますが、田中角栄失脚の背後に「陰謀」を考えるのは考えすぎではないかなあと思います。副島隆彦氏があちこちに書いていることがこの番組の中にばらまかれている印象がありますね(笑)。戦後米軍が人体実験のデータを独占的に手に入れるために取引をして、戦争裁判にかけないようにした「731部隊」を守るために、GHQが帝銀事件の捜査対象になった731部隊の関係者への捜査を禁じる命令を出したことは頷けます。これは事実ですから(ちなみに、「Xファイル」の中にも731部隊が登場していました)。また、下山事件についても、番組の中では触れていないのですが、自殺するのであれば、男性なら当然行う身辺整理(密かに所持していた春画の処分〜遺産として残して死にたいと思う男はまずいないでしょう)を行っていたでしょう。そのままになっていたということは何らかの形で不本意な死を遂げた確率が大きいと考えざるを得ません。労働組合運動の盛り上がりに水をかけるために引き起こされたと考える他ない松川事件と並んで、下山事件が米軍の秘密機関であったキャノン機関によって立案・実行されたというストーリーも実に納得できます。これも、はっきりした証拠は今に至るまでありませんが、この番組が描いているシナリオがほぼ正しいでしょう。
朝鮮戦争中の1952年の相模湾上のもく星号の墜落事故(ではなくて、米軍による撃墜事件であるというのが番組の主張ですが)については、私は初耳でした。私の知る限り、アメリカの航空会社はうまいパイロットと下手なパイロットの差が激しく、一度着陸したときに両翼がばたついたことがあり、隣席に座っていたアメリカ人も 'Oh, my goodness' と焦っていましたが、どうしようもない理由がない限り、大島の三原山にあんな風に落ちるのかなあと、今見ても不思議に思います。おまけに、墜落現場に日本のマスコミ関係者が到着する前に既に2人の米軍関係者が撃墜の証拠を探すかのようにうろうろしているのですから(カメラにはっきり映っています)。米軍パイロットはたまたま見かけた飛行機をターゲットに見立てることがよくあるというのですから、唖然とする他ありません。日本の空の多くを米軍が占領していることを指摘した人として、番組が東京都知事石原慎太郎の発言を引用していたのにも驚かされました。石原慎太郎と朝日新聞、政治的なイデオロギーに関しては水と油ですが、「反米」という点において共通するのでしょう。
大学生の反・安保闘争(60年安保)を盛り下げるためにビートルズ来日を利用したという「日本洗脳計画」(たまたま一致したということでしょうが、確かにビートルズの側からのコンタクトが来日の3ヶ月前であり、チケットの値段も格安だったという点は確かに不可解です)は少し笑いました。私の前任校におられ、『思想の科学』の編集長だった安田常雄先生も「3S政策」との関連で数秒間だけ出演していました。番組では、あのタイミングでのビートルズ来日はアメリカの陰謀かもしれないと少しトーンを弱めていました(直接証拠がない憶測ですから)が、昨年の後半にNHK番組『その時歴史が動いた』で放送されたビートルズ来日の舞台裏は、この番組で描かれたものとは明らかに違っていました。エイズウィルスのアメリカ起源説も笑ってしまいましたが、他の真実性の高い話のインパクトをやわらげるために挿入されていたような気もします。ただ、占領軍が日本人の歴史観を変えるために、新聞、雑誌等のマスメディアの事前検閲のみならず、日本人の私的な手紙まで開封した(!)情報操作「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」を遂行し、日本人に本来ありもしないアメリカへの罪悪感を強制的に植え付けていったことは紛れもない歴史的な事実であり、最近中韓がますますヒステリックに騒ぎ立てる「歴史問題」(こんな難癖は単に無視すればいいのですが、騒ぎの火付け役になった朝日新聞及び系列のメディアの責任は重大です)の根もここにあります。東京裁判のラジオ中継の開始時、バッハの「トッカータとフーガ」が仰々しく流れたそうですが、こんな猿芝居も「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」の一環だったのです。
GHQ作成の情報操作書「真相箱」の呪縛を解く―戦後日本人の歴史観はこうして歪められた
三億円事件についてのお話も、確かに、結果として70年安保闘争の担い手であった大学生の多くが住んでいた国鉄中央線沿線の三多摩地区(三億円事件は三多摩の中心にある府中市で発生)の捜査をやりやすくした面は否定できませんが、これが70年に安保条約を更新したアメリカの意を受けた日本の誰かが仕組んだ犯罪であるというストーリーには相当な飛躍があります。その後の金大中拉致事件についても、同様の感想です。海上まで運んで、海底に沈めるべく、重しを手足につけられた金大中が助かったのは、アメリカの意を受けた日本の自衛隊のヘリによる威嚇のおかげであったというのは元KCIA工作員の証言があるので事実ですし、アメリカが自分の意にそぐわない国の指導者(例:韓国の朴大統領)に対して、対抗人物(例:金大中、ミャンマーのアウンサン・スーチー、フィリピンの故ベニグノ・アキノ)を作り出すということもその通りでしょうが。話が脱線しますが、ここまできて、橋本派に代表される自民党守旧派(日本歯科医師会の献金疑惑もなぜ今出てきたのか)と誰かのポチに見える小泉首相の関係が頭に浮かびました。旧田中派の七奉行の一人で今は民主党に移った小沢一郎とその弟子筋の岡田民主党代表は、この構図の中でどこにいるのでしょう。日本人がアウンサン・スーチーにどことなく胡散臭さを感じる(私は少なくとも感じます)としたら、彼女がミャンマーの軍事政権を快く思わない英米のエージェント的な役割(トロイの木馬)を担っているという直感があるからではないでしょうか。「民主化運動/規制緩和」という建前の下に「外資による収奪・搾取」という本音が隠されているのは、バブル崩壊後の日本人には既にお馴染みの話です。
ロッキード事件による田中角栄首相(当時)失脚については、最近出版された彼の顧問弁護士木村喜助氏の手記(『田中角栄の真実』弘文堂)を読んで、彼は実は無罪だったのかと思いましたが、昨年末に出版された『角栄失脚 歪められた真実』(光文社ペーパーバックス)を読んだ今は、英米石油メジャーに対抗する独自の資源外交を展開し、日中国交正常化を成し遂げた角栄を、アメリカが<反米>政治家と見なして、陰謀ずくで退陣に追い込んだというストーリーには少々無理があるかなという気がしています(副島氏のHPで再反論が展開されています)。当時のニクソン大統領の側近は、ネルソン・ロックフェラー副大統領、キッシンジャー国務長官及び(パパ)ブッシュCIA長官とすべて石油利権絡みの面々という指摘はその通りですが。各種のユダヤ人陰謀説についても当てはまることですが、ユダヤ人内部の争いも熾烈なように、アメリカの政界でも激烈な権力闘争があるわけですから、従来は許されていた現金の授受が、アメリカ国内の権力闘争の結果として、ある時期からは許されないようになり、それに田中角栄が運悪く引っかかったというだけかもしれません。ただ、あの程度の杜撰な証拠で田中角栄がなぜ有罪になったのかについては、今でも釈然としません(私の小学生の時の記憶では、立花隆の手記から始まって、オイル・ショック直後のあの時期は日本中が集団的なヒステリー状態でした)。田中角栄が決死の覚悟で手を組もうとした中共は今や石油や天然ガスほしさに日本の領海の海底に勝手に穴を掘っていて、迅速な軍事的措置が要請される明白な侵略行為を起こしている有様です(もっとも、中国といっても東北部の旧満州国があった比較的親日的なエリアとアジア杯で民度の低さをさらけだした重慶を含む反日的エリアを「中国」という名の下に暴力的に一つにくくることは到底不可能ですが)。
新年早々は、毒にも薬にもならない娯楽番組が通り相場だと思うのですが、こんな番組を年明けのこの時期に観た覚えがないです。最初は事実性が高い事件から始めて、嘘くさいストーリーも混ぜてエンタメっぽい雰囲気も漂わせてコミカルに終わるという形にしていますが、私見では、一番コアの主張は(沖縄国際大学への米軍ヘリの墜落事件の処理に番組の中で時間を割いていることからもわかるように)日本の空はいまだに米軍占領下にあるというメッセージです。
最後に、この番組を放映したのが、朝日新聞と同じ系列のテレ朝というのが非常に興味深いです。岩波書店と並んで、「戦後民主主義」の旗振り役だった朝日新聞はいつの間にか<反米>世論の盛り上げ役に変わったということでしょうか。廃刊になった雑誌『朝日ジャーナル』にも、田中角栄金脈問題追及の特集がひっきりなしに載っていたというのに。番組の中(午後7時14分前後)に「郵政民営化」推進論への反論〜世界各地に展開するアメリカ軍の戦費として日本の郵便貯金が使われる結果になるから郵政民営化は良くない〜を、コメント無しにさりげなく盛り込んでいたのが印象に残りました。コメント無しの短い部分にむしろ番組制作者の本音が出ていたような気もします。郵政民営化に反対する議員が多い自民党守旧派とかつては日本の政治の「後進性」を指弾していた朝日新聞が手を結ぶとは私の少年時代には予想もできませんでした。
日本の幕末の様々な事件(坂本龍馬暗殺等)の舞台裏を、事実かフィクションかどちらかわからないような姑息な形態(まるでオリバー・ストーンの『JFK』のように)で、放映した番組がありましたが、薩長同盟成立の裏には、坂本龍馬ではなく、イギリスの武器商人がいると指摘する副島隆彦『属国日本史幕末編』早月堂書店の内容の再現のように見える部分が結構ありました。いずれにせよ、このたぐいの番組は、公共放送のNHKで正面切ってドキュメンタリー形式では放送できず、民放でお笑いと絡めて虚実織り交ぜるエンタメ番組の体裁で放送するのが精一杯なのでしょうね。こうした番組の作成・放映は、私が小学生の時には誰も問題にしなかった「歴史問題」(靖国神社への首相や閣僚による公式参拝は何にも問題ではなかったのですし、「従軍慰安婦」は存在しなかったですし、「南京大虐殺」なるものも偽造写真によって中共宣伝部によって捏造された可能性が非常に高い〜偽造写真であることを示す証拠やお金を払って欧米のメディアに掲載してもらうように工作した証拠も残っています)の捏造に荷担した朝日新聞系メディアなりの責任の取り方だと考えたいです(「歴史問題」の正体については、詳しくはこの本文でも数カ所にリンクを張ってある西尾幹二先生のブログまたは著書をご覧下さい)。今の時期に、ストレートに「ごめんなさい。間違っていました」とは言えないでしょうから、このような屈折した論法とビートたけしの軽妙なしゃべりを煙幕代わりに使うこともやむを得ないでしょう。同じ題材が、NHKドキュメンタリー番組『その時歴史が(実はこう)動いた』で取り上げられたら、その時こそ日本の近現代史が正しく書き換えられる瞬間です。私はその意味で修正主義者ですが、その日が遠くないことを期待してやみません。
正月に、朝日新聞/テレ朝〜石原慎太郎〜自民党守旧派3者間の同盟(又は休戦協定)の結成を、ビートたけしの紹介で見られたのは収穫でした。3つあるので「悪の枢軸(Axis of Evil)」結成となるのでしょうか(笑)。
属国日本論を超えて
私もはっきりと覚えているフィリピンのベニグノ・アキノ氏の帰国直後の暗殺も、当時の政敵マルコス大統領の指示(誰もがそう考えていました)ではなく、亡命先で客死した故マルコス大統領の回顧を、コメントを加えることなしに引用する形で「自分を失脚させるためのアメリカの陰謀だ」と言わせています。これは、引用という小ずるい形式を取っていますが、アジア全体の政治経済をアメリカがコントロールしているのだというテレ朝の政治的アジテーションです。日本の本土の航空圏の図示など、TVでは(私が知る限り)初めて見ました。石原慎太郎都知事が定例記者会見で「日本の空は未だに占領下に置かれている」とボードを指して何度か指摘していた以外、今までは何らかの配慮か圧力でメディアに出なかったのですが、何かが変わったのでしょう。こうした問題の表面化へのきっかけになったのは、私には故江藤淳氏の著した『閉ざされた言語空間−占領軍の検閲と戦後日本』文春文庫(最初は82年から月刊誌『諸君!』に連載されていたはず)ではないかなと思えてなりません(この問題意識は今は櫻井よしこ氏や加藤典洋氏に受け継がれています)。
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