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「9・11」などの著作で知られ、米政府を鋭く批判してきたマサチューセッツ工科大のノーム・チョムスキー教授が5日までに、毎日新聞のインタビューに応じた。教授は原爆が「おぞましい犯罪」であるにもかかわらず、その歴史を直視しないまま核と決別できない世界は危機的状況だと語った。【ケンブリッジで國枝すみれ】
◆ショックだった米国民の原爆観
フィラデルフィアで林間学校に参加していた16歳の時だった。ラジオで原爆投下を知った。周囲の子どもたちは歓声を上げた。私は我慢できず、一人で森の中に入り数時間戻らなかった。もっと衝撃を受けたのは、ポルノ映画との触れ込みで50年代にボストンで上映された「ヒロシマ」という題の映画で、被爆者が沸騰した川に飛び込む映像を見ながら、観客が大笑いしていた光景だ。米国はアパッチ、ブラックホークなど、自ら虐殺した先住民の名前を兵器につける国だ。もしドイツ空軍が戦闘機を「ユダヤ人」などと名付けたら、どう思うだろうか。
◆歴史を直視しないプロパガンダの時代
原爆投下はおぞましい犯罪だ。個人的には東京大空襲はさらにひどい犯罪だと考えている。しかし、戦争犯罪を定義したのはニュルンベルク裁判だった。枢軸国の行為のみを戦争犯罪、平和に対する罪、人道に対する罪と定義し、大都市への空爆など連合国もした行為は定義から除かれた。
原爆投下を巡っては「ソ連に核の威力を見せるためだった」との意見もあるが、そうした議論が正しいとは限らない。米国も日本も消すことの出来ない忌まわしい歴史を直視しなければならない。
しかし、歴史の証人となる目撃者が少なくなり、権力者が史実を気高く偉大なイメージに作り直す作業が始まる。日本も同じ道をたどっているようだ。我々はこうしたプロパガンダと戦わなくてはいけない。人間は個人の生活でも、自分の行為を正当化しようとする。だが、国家や権力機関がそれを始めたときは非常に危険である。
◆戦後60年の米国と世界
地域勢力に過ぎなかった米国は第二次大戦を機に大きく変わった。米政府は、自国の戦略的、経済的目的に合致する場合に限り、他国にできた民主政権を支持する。合致しなければ破壊する。正確に言えば、米国と強い関係を持つ伝統的なエリートが権力を維持できるトップダウン式の民主主義の導入に限って許す。
米国の民主主義もトップダウンだ。政府の政策と国民の意思はかい離している。大多数の国民は、他国への先制攻撃に反対し、差し迫った脅威にさらされない限り武力行使を禁止することに賛成している。過半数の国民は、米国は拒否権を行使せずに国連の決定に従うべきだと考えている。
今年5月、米国は核軍縮も義務付ける核拡散防止条約(NPT)再検討会議の合意を阻んだ。政策決定者にとって人類生存の価値は非常に低い。取るべき手段を拒否することで人類は核戦争に着実に近づいている。
<ノーム・チョムスキー氏>
マサチューセッツ工科大教授。1928年12月、米フィラデルフィア生まれ。言語学者だが、ベトナム反戦運動以降、米覇権主義への批判を続け、世界で最も影響力のある知識人の一人とされる。01年の同時多発テロ以降、「米国こそテロを主導してきた」と主張し、米国では「反米的」との批判を受けた。
毎日新聞 2005年8月5日 22時11分
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/news/20050806k0000m030127000c.html
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