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グローバル資本主義の物語 その発展と矛盾
著/倉田稔
国際金融資本
ホブソンは、イギリスを中心にして帝国主義を論じた。一九世紀の世界経済は、イギリスが支配していたから、当時彼がイギリスを論じていたのは当然である。だが、現在ではアメリカが世界経済を支配している。二〇世紀、特に第一次大戦(注1)以後はそうである。
アメリカ経済は、一九世紀末にすでに国民総生産で世界第一位となった。一九世紀までは、主に国内的な発展をしてきたアメリカは、二〇世紀には南米大陸を金融的に、経済的に従属させた。第一次大戦では、アメリカはヨーロッパに武器を売り、大儲けをした。ヨーロッパは、戦争で疲弊し、破壊され、それをアメリカが経済的に援助した。これで、アメリカは世界の大国になった。
第一次大戦後も、ヨーロッパはアメリカの資本・資金で助けられた。さらに、第二次大戦でもそうであった。二つの大戦でヨーロッパが戦場になっているときに、アメリカは戦場にはならず、破壊されなかった。第二次大戦後、アメリカは決定的に世界の超大国になった。
現在、世界を経済的に支配しているのは、アメリカの投資・金融業者である。実際は財閥である。これを、国際金融資本と名づけておこう。以下、本書で国際金融資本と言うとき、主にアメリカのそれを指す。
金融寡頭制(financial oligarchy)という概念がある。金融寡頭制とは、少数の金融資本が国内の経済を支配している体制である。二〇世紀になって、競争的資本主義ではなく、独占(=寡占)的資本主義の時代になり、カルテル、トラスト、コンツェルンなどができる。この独占諸企業が大銀行群と結びつき、この双方の資本の癒着したものを金融資本という。
金融資本は、少数の資本(大企業)の結合体であり、その力が強大なので、国内の経済全体を支配することができる。こうして金融寡頭制が成立する。この金融寡頭制は、しかし、経済だけでなく、政治・社会の分野でも国を支配するようになる。また、対外政策でも強力な力を及ぼし、帝国主義政策の担い手になる。
これは、レーニンの『帝国主義論』(一九一七年)の第二章で定式化された。これらの有様は、ヒルファディングの『金融資本論』(一九一〇年)でも描写された。しかし、P・M・スウィージーたちは、銀行資本の力はそれほど強くないという反論をしている(注2)。ここで言う金融資本や金融寡頭制は、日本やドイツで、かなりの長い間存在していた。アメリカやイギリスでは、それほどではなかった。
さて、繰り返しになるが、本書で国際金融資本と言う場合、ここで述べたような複雑な内容を意味しないで使う。投資、投機、金融、株式会社支配などをする資本という、単純なことを意味する。国際的に活躍する、主にアメリカの金融資本という意味である。そのような意味で、今日の世界経済は国際金融資本が支配しているといえる。
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