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◆■■■■国際派時事コラム「商社マンに技あり!」■■■■◆
http://www.f5.dion.ne.jp/~t-izumi/
悪法「人権擁護法」の両刃(もろは)の刃(やいば)
■■■■■第128号■■平成17年6月22日発行■■■■◆
「人権擁護法」という恐ろしい法律の成立を、
公明党=創価学会が推進している。
自民党のなかでも
公明党に魂を売った連中が、
この成立に向けて血眼だ。
コラム子は大反対だ。
きょうも存分に論じさせていただく。
このコラムの切り口は、例によって鋭いぞ。
覚悟せよ。
「人権用誤法」、じゃなかった、「人権擁護法」って、何?
■ 明治以来の何もかもをご破算(わさん)にする法律 ■
基本的人権については、明治憲法にも昭和憲法にもそれぞれに
記載がある。
しかし、人権を侵害された人が その救済をうけるためには、
これまでは民法第709条「不法行為による損害賠償」条項など
を使って訴えるしかなく、何かと面倒だった。
「立証責任」が訴える側にあるから、訴訟は成立しにくい。
そこで、人権委員会という権力機関を新たに作って、とにかく
人権侵害の疑いがあると訴えがあったら、捜査令状もなしで出頭
要求や立入検査ができるようにしよう、というのがこの法律。
ようすれば、明治からこれまで日本国民が営々と築いてきた法
律・制度・判例の山を事実上ご破算にして「人権」についてイチ
から考えましょう、というわけだ。
「人権擁護法」案は、国家権力による思想統制につながると、
日本共産党が反対している。
たいへん珍しいことだが、この件についてはコラム子も「結果
的には」日本共産党と共闘することになる。
■ きょうは公明党に言いたいことがある。よォく聞け!■
何の利権がらみなのか知らないが、人権擁護法成立を今年度の
最大課題としている「公明党」に忠告したいことがある。
公明党の党員(公称40万人)は創価学会の信者がほとんどだろ
うが、信者でない者もいるだろう。
創価学会信者でないことを理由に入党を拒否したら、人権侵害
だから。
いやしくも公党であり、与党入りまでしている公明党の規約に
は、党員が創価学会信者でなければならないなどとは、もちろん
書いていない。
創価学会と公明党の関係は、公明党側の説明によれば、
宗教法人たる創価学会がいわば自主的に公明党を支持している
のであって、
公の政治団体たる公明党のほうから宗教界に干渉しているわけで
はない
から「憲法違反ではない」、ということになっている。
さて、人権擁護法が成立すると、
「信条を理由とする不当な差別的取扱い」
は人権委員会という公権力による取締りの対象となる。
すると、どうなるか。
■ 党の事務所に立入検査が入っちゃうよ ■
公明党の党員だって、いろんな人が混じっているだろう。
人権委員会へ こう訴え出る党員がいたら、どうするつもりだ。
「創価学会信者でないばっかりに、公明党の会合で侮辱、嫌が
らせその他の不当な差別的言動の被害を蒙った」と。
人権委員会へ この訴えが出ると、公明党は人権委員会から
「人権委員会への出頭」
「事情聴取」
「物件提出」
「立入検査」
などを令状もなしに要求されることになる。
もちろん、罰金さえ払えば拒否は可能であるが、新聞・テレビ
をにぎわす格好のネタになるのは間違いないだろう。
公明党・創価学会がウラから手を回して人権委員会を抑え込も
うとして、それがもしバレたら、党の役員の首が飛ぶ。
人権擁護法に基づいて、公明党は党員資料や党の議事録など、
公権力側が望むありとあらゆる資料を提出するよう命じられるだ
ろう。
自分が推進した法律で自爆するとは、これ以上コミカルなこと
はないから、さぞやマスコミは盛り上がるだろう。
言っておくが、公明党が連立を組んでいる自民党は、本音では
公明党を潰したがっているのだ。
分かってんのかね、公明党は。
票がほしいから、あんたと組んでいるだけだよ。
公明党が救われるためには、人権擁護法を過去に遡及して廃止
する法案でも、次の国会で提出するしかなかろう。
■ 公党における信者と非信者のあいだの差別は? ■
公明党の人たちは、
「信者でない人のことを差別したりはしませんよ」
と自信をお持ちかもしれない。
では聞く。
党に非信者の人がいれば、「信者になればこんな優遇があるよ
(つまり非信者への差別待遇があるのよ)」と思わず創価学会へ
勧誘することもあろうし、非信者を入れずに信者の党員だけで集
まることもあろう、と思うが……。
そういうことって、絶対ありえませんか?
それらすべてを「不当な差別的言動」と言いつのることは、十
分可能なのですがねェ。
これまでは、そういうことは社会常識・社会通念によって許容
されてきた。
建前はどうあれ、公明党のことを創価学会政治部だと、みんな
思ってきたからだ。
「不法行為による損害賠償」を定めた民法の第709条で訴えよう
とすると、立証責任は訴える側にあり、ハードルが高かった。
ところが、人権擁護法というまことにあつかましい「第4の国
家権力」が成立すると、事情は変わってくる。
非信者の公明党党員の人権擁護のために、法律は文字通り「一
人歩き」を始めるのだ。
騒ぎを起こす非信者の党員を除名しようとすれば、
「信者でないから安易に除名しようとした。人権侵害だ」
とますます騒ぎを大きくすることができる。
コラム子など、これを書きながらさっそく公明党党員になって
やろうかとまで思った。
2名の党員の推薦があればなれるのだ。
コラム子だって、数名の公明党党員と面識があるから、頼めば
推薦してくれるだろう。
♪ 腕が鳴る、鳴る…… ♪
と鼻歌が飛び出してしまった。
■「普通の人の萎縮」をバネにした、とんだ革命 ■
人権擁護法案には「〜的」とか「〜等」というような、解釈を
いくらでも広げられるような表現が目立つ。
たとえば「人種等を理由としてする不当な差別的取扱い」。
(「理由としてする」という表現もひどいが!)
これまで弱い立場にいた者が、国家機構を巧妙に利用して「革
命」を起こせるように、というのが法案の発想だ。
だから「言いがかり」でもって人権委員会を動かし、判例も十
分に確立していない新分野の「人権」議論を振りかざして、反対
派を萎縮させることができる。
ヒマをもてあます反社会勢力には、こたえられない武器だろう。
もちろん、訴えられた側も最高裁まで頑張る覚悟で闘争すれば
いい。
しかし、普通の個人・法人は(マスコミや言論人の大多数も含
めて)そこまでヒマではないから、簡単に白旗を上げて、あとは
萎縮モードに入るしかない。
世の中の圧倒的多数の国民は、争いごとを避けて安穏(あんの
ん)に生きていこうとする人たちだ。
世の中は「萎縮」だらけになる。
■ 世の中の風景が変わる ■
そんななかで、失うものの少ない「弱者さま」だけが、三権分
立の枠を微妙にはみ出した第4の権力たる人権委員会を盾に、社
会にのさばることになる。
これに対抗するために、訴訟も激増するだろう。
社会常識・社会通念が総見直しを迫られる、殺伐(さつばつ)
とした世の中になるだろう。
まさに、「こんなはずでは……」の世界。
ここまで読んでもまだ人権擁護法案を本気で支持する公明党の
人間がいたら、まず知能検査をやったほうがいい。
バカは、まず選挙で落とすことだ。
たしか、都議会議員選挙も近かったな。
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== =
▲ 後記 ▼
人権擁護法案は、「社会的身分、門地(もんち)」を理由とす
る「不当な差別的取扱い」も公権力による取締りの対象です。
「差別的取扱い」というじつに曖昧な用語。
言いがかりは簡単にできます。
私立の学校の入試合格者を決めるときには、有名人の子弟に優
先枠を適用したり、ボーダーライン上の受験者を選抜するにあた
ってその出身を考慮したりしているはずです。
今までは社会常識の範囲内では暗黙のうちに許容されてきまし
たが、人権擁護法が成立すると人権委員会による取締りの対象と
なります。
受験失敗者が、「差別的取扱いを受けた」と人権委員会に訴え
出れば、それがたとえ単なる言いがかりであっても、人権委員会
という公権力は学校長の出頭要求、事情聴取、受験資料提出や立
入検査の要求を行うことができます。
そんな常識外れのことが頻々(ひんぴん)と起こりうるわけで
す。
何しろ、常識を覆すことによって人権意識を革新しようという
のが、法律の趣旨ですから。
◎ 学習院も、お笑いも、辛口コラムも… ◎
実質的に皇室・旧華族優先の学習院など、反皇室勢力により真
っ先に槍玉に上がるでしょう。
歴史ある学校法人として存続しえなくなるのではないでしょう
か。
自民党よ、それでもいいのか!?
慶応幼稚舎のような名門私立小学校も危ないでしょうね。
これまでは学校側が建前を述べていればすんでいましたが、人
権擁護法が成立すると、言いがかりをつけて人権委員会を動かし
学校を大混乱に陥れてやろうという愉快犯的な受験が出てくるで
しょう。
「お受験」の世界など、序の口です。
「お笑い」も「辛口コラム」も公権力による言論封殺を覚悟せ
ねば。まあ、コラム子は辛口の方針を変えませんがね。
人権委員会は、世の人々からは特高なみに恐れられるでしょう。
「人権委に訴えてやる」が流行語になるでしょう。
世の中に、信じられないような殺伐とした「意識革命」が次々
と起こります。
挙句の果て、「人権」ということばは、蛇蝎(だかつ)のごと
く忌み嫌われるでしょう。
◎ 健全な保守主義に戻れ ◎
人権問題に取り組むには、まず既存の法律や制度が明治時代か
ら1世紀以上もかけて築いてきた常識に基づくべきなのです。
社会常識の力を信じ、これをさらに健全化することに努めてい
く。
そういう迂遠(うえん)な道を行くべきなのです。
公権力による即効性を求めて、健全な保守主義を逸脱するとき、
それは必ず塩酸のような劇薬となってあなたの顔や子どもたちの
心に降りかかってくるでしょう。
(すみません。後記が本篇なみに長くなりました。)
===
■執筆・発行 泉 幸男(いずみ・ゆきお)
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