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リバタリアニズムについて(Re: 質問:日米両国で深刻化している貧困層の拡大に対し、リバタリア二ズムはどう対処できるのか
http://www.asyura2.com/0502/nametoroku3/msg/1195.html
投稿者 ueyama 日時 2008 年 1 月 10 日 01:27:55: ZdXDvbtWngU/o

僭越ながらロン・ポールのvideoだけではいまいちリバタリアニズムついて
知らない方には伝わらないだろうと思いますので、ちょっと長くなりますが、
コメントさせていただきます。

A1. リバタリアニズムには左派も右派もありません。あるのは、社会が、実
  際に政府機能をどの程度持つのか、あるいは、どの程度の政府機能を持
  つのが現実的か、という段階的な違いです。

  左派リバタリアニズムと一般にいわれているのは、ただの社会主義です。
  (これは福祉国家主義と言い換えてもいいでしょう。混乱を避けるため、
   以下ではこれをただ社会主義と書きます)
  左派リバタリアニズムは、社会主義者が、社会主義という言葉にひっつ
  いてくる悪評から、表現を変えることによって逃げだそうとしているに
  過ぎません。これは何も社会主義者だけのせいではなく、例えば、自由
  主義(リベラリズム)という言葉をいわゆる社会主義者が乗っ取り、そ
  の悪評から逃げるために、新自由主義(ネオリベラリズム)やリバタリ
  アニズム(自由意志論や自由意志主義と訳すのが適当でしょう)という
  言葉を本当の自由主義者(リベラリスト)が使うようになったのとあま
  り変わりはないのです。つまり、このようなラベルは全く本質的なもの
  ではありません。
  (どの時代にどの言葉がうまれ、どのように意味が遷移したか、につい
   ては、ややこしくなるので書きません。しかし、ここまでに出てくる
   皆が、社会主義(福祉国家主義)の悪評から逃げだそうとしているの
   はおもしろい点ですね)

  ロン・ポールが司法や治安維持に対してどのような考えを持っているのか
  ちょっと把握していなくて申し訳ないのですが、今まで聞いた彼の発言か
  らは彼は古典的な自由主義者ではないかと感じます。つまり、ある程度の
  (福祉や道路などへの公共財への投資といった)機能は政府(連邦政府と
  は限りません)が持つべきである、という立場です。
  
A2. 先にも述べたように、新自由主義とリバタリアニズムはラベルの違いであ
  り、本質的な違いは本来ありません(もちろん定義もされていません)。
  ただし、新自由主義に関しては、サッチャリズムに代表されるような保守
  主義や、ナショナリズムを背景とする権威主義のようなものに対しても使
  われることがあります。最近ではブッシュJnrや小泉、それからサルコジも
  近い立場でしょう。これらは少なくともリバタリアニズムと呼ばれること
  はありません。新自由主義という言葉が便利で直感的であるため、いろい
  ろな場面で使われているだけだと理解すべきです。(両立しないような主
  義主張まで包括されているということです)

A3. この設問は仮にロン・ポールがあなたのいわれるような「経済の自由放任
  主義」者であった場合にのみ有効な気がしますが(少なくとも私はそうは
  思いません)、もし仮にそうであった場合を仮定して回答させていただき
  ます。先に附言しておきますが、この部分は、確かに、現代までのどの社
  会でも行われたことがない社会形態についての「想像」でしかないわけで
  すが、新しく発生した社会形態についてはどれもそうであるため、想像で
  しかないという批判は筋違いでしょう。

  さて、仮に税金をほとんど払わなくてよくなり、政府が福祉機能をほとん
  どないし、全く持たなくなったとして、福祉がなければ生きていけないよ
  うな人は死ぬしかないのでしょうか。私はそうは思いません。なぜなら、
  今までは金持ちはたくさんの、場合によっては収入の半分以上の税金を政
  府に払い、政府はその金で福祉を行うという前提があったわけですが、そ
  れがなくなったとしても、福祉の必要性は当然ながらなくならず、それを
  金持ちが行わなければ「社会が成り立たなくなる」からです。それは、金
  持ちが金持ちであることの前提を根本から覆してしまいます。
  政府がやってくれている、というエクスキューズがなくなるにもかかわら
  ず、たくさんの労働者を使っているような種類の金持ちがその責を負わな
  いとなると、その金持ちは、人心が離れるといった、より人間的な、現実
  的な理由から、金持ちの座から転落するのではないでしょうか。
  つい最近のニュースなので個人名を出しますが、バロン・ヒルトンに代表
  されるように、現在でもそのような観点から財産を(彼の場合は相続です
  が)手放す人間がいるわけですが、このような行動がより一般的になるの
  です(ならなければ成り立たないからです)。それはもちろん、彼のよう
  に寄付であるとは限りません。
  そして、現在よりももっと、バロン・ヒルトンのような行動が、その人間
  に対する評価に直結するようになるでしょう。(もちろん、彼が善人であ
  るといっているわけではありません)

  このように、リバタリアニズムに反対する側からは、福祉や公共が成り立
  たなくなる、という主張が目立ちますが、リバタリアンからすると、むし
  ろ、政府がそれらを邪魔しているのだ、ということになります。同じ金額
  であれば、政府がやるより金持ちが直接金を使った方が効率的である、と
  いう事実には、現在でも誰も反論はできないのではないでしょうか。

  蛇足ですが、自由放任というとルール無用の混沌であるような印象を与え
  ますが、仮に殺人が一般的な意味での犯罪(牢屋に入れられたりはしない)
  ではなくなったとして、あなたは目の前にいる人にナイフを向けるのでしょ
  うか?

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