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技術研究本部で開発中の新型普通爆弾は91式爆弾用誘導装置(GCS-1)の後継となる航空機搭載用の新型爆弾で、海上、水際及び地上の各種目標(固定、分散、移動)に対処可能な事が要求されている。GCS-1では通常の自由落下式爆弾(MK82及びJM117)に折畳式のフィンと赤外線誘導装置を取り付けたものだが、新型普通爆弾は誘導装置だけではなく、弾体や信管、弾頭も新規に開発する全く新しいものとなっている。
新型普通爆弾の外観上の最大の特徴は電動で展開する大型の滑空翼を持つことで、飛翔安定と射程の延伸によるスタンドオフ・レンジの大幅な延長により敵の防空火器の有効範囲外からの攻撃能力の獲得を目指しており、それに伴い弾体も空力的に整形されたものになっている。
誘導装置に関して特筆すべきはGPS/INSの搭載により、地上目標への攻撃能力を持つタイプが存在することで、空自が保有する初めての国産対地精密誘導兵器(輸入品としては既にJDAMの導入を決定)になる可能性がある。(GPSは軍用モードの対日リリースの状況によっては、搭載が遅れる可能性がある。INSはリングレーザー・ジャイロになると思われる。)また対艦型の誘導装置は赤外線フォーカルプレンアレイによる画像赤外線方式である。対艦型は目標識別アルゴリズムの採用により個艦識別能力と対デコイや対フレアなどのIRCCM(赤外線妨害排除)能力を持つ予定と伝えられている。投下後のデータリンクによる手動誘導機能の搭載の有無については不明。(AGM-154Cは搭載している)
弾頭は大径のHEAT(成形炸薬弾頭)を先駆弾頭に据えるタンデム式二重弾頭で、英国のBROACHに類似のものと思われる。
信管は新規開発に拠るもので、米国でJDAM(Joint Direct Attack Munition)等に採用されているJPF(Joint Programmable Fuze)のFMU-152/B及びDSU-33B/B近接信管に類似のものと思われる。着発や近接等の各種モードを持っており、またデジタル・データバス(MIL-STD-1553B又はその上位互換の1760)を介してコクピットへ連接され、着発遅延時間や近接爆発時の爆破距離、地上攻撃時の座標等も含めて、飛行中でもパイロットにより随意に変更できるようになっている。近接爆破モードでは高シークラッター下でも目標のほんの僅か手前(数センチ程度)で爆発するような高い精度が求められている。炸薬は高威力・低感度化が要求されており、PBX系炸薬が採用されると思われる。
弾体は浅角度で着弾しても跳弾になり難い形状が採用されており、また貫徹力を向上させるため大質量及び高剛性のものとなっている。そのため搭載重量は2,000ポンド級になると言われており、重量級のため航空機に搭載する際はエジェクター・ラックを介さずにパイロンへ直付けすることが検討されているようである。搭載する航空機はF-2支援戦闘機やP-3C哨戒機(及び開発中のP-X)等が想定されている。
全体としてはJSOW(Joint Stand-Off Weapon)の単一弾頭型であるAGM-154Cに近い。そのため量産価格をAGM-154C以下に抑えることが至上目標とされている。制式化は平成20年頃が予定されており、目標量産単価は4〜5,000万円程度と言われている。主契約会社はGCS-1と同じく三菱電機になる公算が大きいと思われ、弾体は石川製作所、信管は横河電子機器が担当するようである。
新型普通爆弾は平成17年度で一旦開発を終了した。今後の予定は未定だが、今までの開発で得られた成果を生かして別計画として再開される可能性もある。