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ユネスコ:北海道・知床を世界自然遺産に決定
【ダーバン(南アフリカ)田中泰義、白戸圭一】南アフリカで開かれている国連教育科学文化機関(ユネスコ)の第29回世界遺産委員会は14日、北海道・知床の世界自然遺産への登録を決めた。日本からの登録は、昨年登録された文化遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」(和歌山、奈良、三重県)に続き13番目。自然遺産では白神山地(青森、秋田県)と屋久島(鹿児島県)に続き3番目。
知床は、日本政府が昨年1月にユネスコに登録を推薦。オホーツク海に突き出た知床半島の地上部分と沖合3キロまでの海域で構成される。登録面積は陸海合わせて約7万1000ヘクタール。冬場の流氷に付着したプランクトンが食物連鎖の始点となり、陸と海が一体となった特異な生態系が存在する。同委員会は「海陸一体となった生態系が広がり、多くの希少種が生息している」ことを評価した。
登録地域のうち、斜里町と羅臼町にまたがる陸地の9割は原生的な森林に覆われ、ヒグマが世界有数の高い密度で生息している。国際的な希少種のオオワシ、オジロワシ、シマフクロウなど264種の鳥類、817種に及ぶ種子植物とシダ植物が確認され、海上部分ではトドなど28種類の海洋ほ乳類が生息している。
一方、登録地にはサケの遡上(そじょう)を妨げる50基の河川工作物(ダム)が既に存在し、漁業と海洋生物保全の両立という課題が指摘されてきた。このため日本から登録の推薦を受けたユネスコは昨年7月、国際自然保護連合(IUCN)に現地調査を委託、IUCNのデビッド・シェパード保護地域事業部長が調査し昨年8月と今年2月、海域保護強化を求める書簡を日本政府へ送っていた。
環境省などは当初「沖合1キロまで」としていた登録海域を「沖合3キロまで」に拡大。漁業と海洋生態系保全の両立を目指す「多利用型統合的海域管理計画」の策定時期を、当初の「5〜10年後」から「3年以内」に前倒しした。既存のダムについては、魚が遡上できる魚道を設置する方針をユネスコに伝えた。
日本側が科学的なデータに基づいて対応を強化する姿勢を示していることについて、IUCNは5月末、「登録は適当」とユネスコに勧告していた。
毎日新聞 2005年7月14日 18時45分 (最終更新時間 7月14日 19時30分)
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20050715k0000m040028000c.html