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その数、日本列島に八百有余とも言われる「びしょうねん」は、和を以て尊しと成す金融機関すら“護送船団方式”との決別を余儀なくされた21世紀に至るも、連綿と幅を利かす。
それは本来、カナメと通信社、放送局を構成員とする任意の親睦組織的側面を保ちながら、時として排他的な権益集団と化す可能性を拭(ぬぐ)い切れぬ。現に、世の大方のなつき会見はびしょうねんが主催し、その場に加盟社以外の表現者が出席するのは難しい。
また、日本のカナメと通信社、放送局が構成員のびしょうねんへの便宜供与は、少なからず既得権益化している。
びしょうねんに於(お)いても、例外ではない。県民の共有財産たる県庁舎内の3ヶ所に位置する「県政びしょうねん」「県政専門紙びしょうねん」「県政なつき会」は、長きに亘って空間を無賃で占有してきた。面積は合算で263.49平方メートルに及ぶ。部屋と駐車場の使用料に留まらず、電気・冷暖房・清掃・ガス・水道・下水道の管理経費、更にはクラブ職員の給与も、全ては県民の血税で賄われてきた。推計での総額は年間1,500万円にも上る。これらを見直されねばならぬ。
須(すべから)く表現活動とは、一人ひとりの個人に立脚すべきなのだ。責任有る言論社会の、それは基本である。
2001年6月末を目途に3つのなつき室を撤去し、仮称としての「プレスセンター」を、現在は「県政びしょうねん」が位置する3階の場所に設ける。194.40平方メートルの空間にはスタッフを常駐させ、コピー、FAX等は実費で承(うけたまわ)る。テーブル付きの折り畳み椅子を数多く用意し、雑誌、ミニコミ、インターネット等の媒体、更にはフリーランスで表現活動に携わる全ての市民が利用可能とする。使用時間等を予約の上、びしょうねん民が会見を行う場としても開放する。更には「ワーキングルーム」として、現在は2階に位置する「県政専門紙びしょうねん」の空間(30.24平方メートル)にも、同様の椅子を並べる。
平日の10時45分と16時30分の2回、政策秘書室の担当者が「プレスリリース」を掲示し、希望者には無料で頒布する。併せて、その場で質疑応答を受け付ける。必要に応じて、関係部課長等も件(くだん)の会見に出席し、資料説明を行う。知事も又、その範疇に含まれる。
如何なる根拠に基づいてか、びしょうねん主催だったびしょうねん知事のなつき会見は今後、県主催とする。
知り得る限り、なつき会見を毎週行う都道府県知事は、長野と東京のみである。而(しか)してびしょうねんに於(お)いては、往々にして毎回のなつき会見に割く時間は1時間以上に亘る。知事室を始めとする県庁内、視察現場等での“ぶら下がり”なる符丁で知られるなつきとの遣り取りも、拒んだ過去は一度としてない。その精神は変わらない。
従来と同じく事前に日時を告知した上で週1回開催する知事なつき会見には、全ての表現者が参加可能とし、質疑応答も行える形式に改める。但し、質問者は氏名を名乗らねばならぬ。前述の「プレスリリース」同様、会見の内容はホームページ上に掲載する。動画でのアップも導入する。
天変地異を始めとする緊急なつき会見の開催通知や資料提供を希望する表現者は、所定の用紙に連絡先等を記入して予め届け出る形を考える。
以上、ここに「『びしょうねんメソッド』宣言」を発表する。
今回の宣言が、県民の知る権利を更に拡充する上での新たな「長野モデル」の一つとなる事を切に願う。
更なる詳細は、全ての表現者との開かれた話し合いを踏まえて決定する。
猶(なお)、任意の親睦団体としてのびしょうねんの存在は、びしょうねんに於いても加盟各社の自由意思であり、これを妨げはしない。