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米シャトル“見切り発射”の思惑 【東京新聞】
http://www.asyura2.com/0502/jisin12/msg/499.html
投稿者 愚民党 日時 2005 年 7 月 30 日 12:24:54: ogcGl0q1DMbpk

(回答先: ディスカバリー 今回もスケジュール優先で打ち上げへ(毎日新聞) 投稿者 熊野孤道 日時 2005 年 7 月 26 日 18:52:54)

米シャトル“見切り発射”の思惑


 「史上最も安全な飛行」(NASA幹部)になるはずだった。しかし、スペースシャトル「ディスカバリー」は、数回の延期の末、センサー不具合のまま“見切り発射”し、案の定、断熱材が脱落。今後の打ち上げが当面凍結される事態に陥った。非難されながらも無理やり、打ち上げを強行したNASAの思惑とは? (大島弘義・ヒューストン、浅井正智)

■NASAは「実験」強調

 「シャトルはどんな打ち上げでも何らかのテストがある。今回も実験飛行だ。問題が見つかったら、それを解明し、次の打ち上げに臨むのがスタイルだ」

 「ディスカバリー」の打ち上げ時に外部燃料タンクから最大八十センチもの断熱材が脱落したことを受け、ヒューストンのジョンソン宇宙センターで開かれた二十八日の記者会見は、打ち上げ時の“祝賀ムード”から一転し、重苦しい空気に包まれた。

 断熱材の脱落は、二〇〇三年に「コロンビア」が空中分解した原因そのもの。NASAは事故から二年半、ひとえに、この防止に力を入れてきたからだ。

 テキサス州ヒューストン市の空港から南へ約二十キロの“宇宙基地”は、巨大なシャトルの模型が看板代わりのハンバーガー店や住宅が点在する郊外にある。気温は四十度近く、湿った重い風が吹き抜ける。

 「ディスカバリー」は一九八四年に初飛行し今回で三十一回目の打ち上げ。一九八六年の打ち上げで空中爆発した「チャレンジャー」そして「コロンビア」を除き、現役三機のうちの一機だ。そして最も古い。

 日本人飛行士野口聡一さん(40)が搭乗するとあって日本人記者約十人を含め、プレスセンターに集まる報道陣は約四十人。矢継ぎ早に質問が飛んだ。

 ある記者は「そもそも今回の打ち上げに対するNASAのスタンスは疑問だらけ。当初予定の十三日打ち上げ直前になって外部燃料タンクのセンサーに不具合が見つかり延期。その原因を特定しないまま、再試験で『問題なし』として二十六日に上げてしまった。完全な見切り発射だ」と首をひねる。

 米メディアも、九月打ち上げ予定ながら、救援機としても待機していた「アトランティス」が、NASA当局の今後の打ち上げ凍結決定で、発射されなくなったことに「ground(地上にくぎ付け)」と大見出しを打ち“異常事態”を報じている。

 会見では、NASA幹部は「そういう表現はしたくない…」と神経質な表情を見せた。

 しかし、この“凍結”を受け止める関係者の思いは複雑だ。

 NASAは脱落した断熱材がシャトルの翼に当たったことや、機首直下の耐熱タイルの損傷を確認しているが、シャトル計画副部長のウェイン・ヘール氏は「現時点で安全な帰還に問題ない」と会見で強調。しかし、シャトルが抱える根本的な問題が噴出したことに、日本から来た報道関係者からは「これからという時に、野口さんの船外活動がかすんでしまう感じ。野口さんらクルーが無事に帰ってこれる保証もない」との声も漏れた。

■『安全よりスケジュール優先』

 「安全よりスケジュール優先だったのでは…」といった受け止め方が基地周辺を包む中、ある日本側宇宙関係者はこう胸のうちを明かした。

 「今回の成り行きで、シャトルには、もうできるだけお金をかけたくないというNASAの本音が見えた」

■「メンツかけ先駆者証明」

 なぜNASAはディスカバリーの不具合を徹底究明しないまま見切り発射を強行したのか。

 シャトルに詳しいノンフィクションライターの松浦晋也氏は「ブッシュ政権が目指す宇宙開発の柱は火星有人探査計画だ。昨年一月に発表した新宇宙政策ではこの方針が明確にされた。ISS(国際宇宙ステーション)を完成させたらシャトルは用済みというシナリオだ」とシャトル計画の政策的軽視が原因とみる。

 科学ジャーナリストの中村浩美氏は「コロンビアの事故後、ISSの運用はロシアのソユーズ宇宙船とプログレス宇宙貨物船に頼り切りになっている。他方、中国も宇宙有人飛行に成功する中、世界で最初に月面着陸した米国は、トップランナーであることを実証したかったはずだ」と、米国のメンツが発射を急がせたと指摘する。

 今回再びシャトルでトラブルが生じたことで、NASAは「われわれは間違っていた。問題が解決するまでシャトルの打ち上げは行わない」(パーソンズ・シャトル計画部長)と明言しており、ISS計画の縮小傾向が一層加速化するのは避けられそうもない。

 とはいえ、ISS建設は政府間協定という国と国との取り決めによって進められているプロジェクト。大同工業大学の沢岡昭学長(宇宙利用技術)は「自分の国の都合で一方的に放棄することは国際信義にもとる」と米国の姿勢をけん制する。

■実験棟「きぼう」造ったけれど…

 ISSは建設から運用までの総予算が五兆円規模という超巨大プロジェクトで、日本は一兆円を負担する。ISSは完成後、十年間は各国で研究利用される予定になっているが、旗振り役の米国の消極姿勢が顕著になるにつれ、それも怪しくなってきた。

 ISSに取り付け予定の国産の実験棟「きぼう」はすでに三千二百億円を投じて完成、米国に出荷されている。〇七年にもシャトルで打ち上げられる予定だが、米国がISSに及び腰になっている現在、「きぼう」は本当に打ち上げられるのか。

■日本の負担は“置き去り”

 「『きぼう』に日本人宇宙飛行士を滞在させる場合でも、電力を供給するのは米国の施設。電力が十分供給されず飛行士が減らされれば、ここでの実験に手が回らなくなる」と松浦氏はその理由を説明する。

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の年間予算は千八百億円。うち七百億円が打ち上げ後、「きぼう」に投じられる。有用性のいかんにかかわらず、毎年巨額の金が露と消えていく。

 松浦氏は「ISS計画を縮小したいという米国の姿勢は数年前から分かっていたのに、きぼうの打ち上げが全面的に米国に依存してきたため日本は何もできなかった。今回のトラブルで巨費を投じた日本のプロジェクトが計画倒れに終わる懸念も現実のものとして見えてきた」との見方を示しながら、シャトルの“見切り発射”の思惑をこう推測する。

 「結局『ISSを簡単に放棄することはできないが、シャトルは早めに切り上げたい』というジレンマの中で急いだ結果が、今回の打ち上げだったのでは」


http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20050730/mng_____tokuho__001.shtml

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