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(回答先: 処理能力オーバー、都の震度計システム機能せず 讀賣 投稿者 倉田佳典 日時 2005 年 7 月 25 日 09:18:46)
震度5強で浮き彫り 超高層マンションの弱点
エレベーター停止 どうする?
穏やかな土曜の夕方、首都圏を襲った震度5強の地震。六万台のエレベーターが停止し、高層マンションの住民の多くは、食料などを手に入れる難しさを味わった。が、実は都の直下型地震の被害想定には高層マンション対策は盛り込まれていない。都心回帰で“超高層”が続々建設される中、将来の巨大地震発生の際、被災民はどうすればいいの?
「確かにいつもと違う揺れだった。しかし一番驚いたのは、非常用含め、七台すべてのエレベーターが四時間半にわたり止まってしまったことだ」
東京都中央区佃の四十三階建てタワーマンションの三十八階に住む会社役員(40)は戸惑いを隠さない。
「絶対地震に強いからというので買ったのに、夕食の買い出しにも行けない。住民に何の案内もない。取り残されたという気持ちが強かった。まさにここは、空中の孤島だ」と怒りながら、こう今後を不安がる。
「実は、マンション周辺は中央区の防災拠点となっており、近隣の木造住宅の被災民の避難場所になっている。しかし、こんな状態じゃ、われわれも下に降りて行かなきゃ生活できない。万一のときはタイタニック号の一等乗客みたいな気分だったのに、本当に裏切られた気持ちだ」
このマンションに近接し同様にエレベーター全機が止まった、三十七階建ての十階に住む主婦(57)は「どんな地震でもこのマンションだけはエレベーターが止まらなかったのに。エレベーターが止まることを想定していた住民はいなかった」と今回の地震のショックを語る。
さらにこう続ける。
■『お年寄りはお手上げ』
「お年寄りは眺めのいい三十階以上に住みたがる傾向がある。最上階に住む六十代の男性が非常階段を下りて一階まで来たが、気の毒なほど汗をかいていた。出先から戻った九十代の女性は自宅の階まで必死で上っていた。高齢者には、階段の避難はきつすぎる」
日本エレベータ協会によると、今回の地震で「管制運転」システムが作動して緊急停止したエレベーターは、主要メーカー七社の二十五日夕方までの集計で約六万一千台。エレベーター内に閉じこめられたケースも六十二件あったという。
今回の地震では、非常用エレベーターも停止してしまったのはなぜか。
エレベーター業者は「この管制運転システムが作動した結果で、逆に言うと、システムが正常に働いていたということになる」と指摘する。
復旧にかかわる現場作業員は、都内だけで約二千六百人。周辺の応援部隊も含めると約三千五百人になるが、交通機関などの事情などで必ずしも迅速に現場に駆けつけられず、今回の地震でも、三時間以上も閉じこめられたケースもあったという。
エレベーター業者は「土曜日とあって、支店や営業所での待機人員は少なく、自宅から現場に向かったスタッフも多かった。現場への到着時間がいつもよりかかったことは否めない」と説明する。
別のエレベーター業者はこう懸念する。
「時間帯にもよるが、これ以上の地震規模ならば、復旧に要する時間は想像がつかない」
進む都心回帰。建築基準法で定める高さ六十メートル以上の「超高層」マンションは都内二十三区にどれだけあるのか。
不動産経済研究所の調べでは、超高層マンションブームが本格化した二〇〇〇年以降では、昨年までに計百十一棟が完成。今後の五年間で二百十六棟が新たにできる見通しだ。
東京都は阪神大震災を受け一九九七年、東京直下型地震の「被害想定」をまとめた。しかし「阪神大震災で問題化した木造密集地対策が中心。江東区や墨田区などの予想焼失面積が神戸市に比べて大きいからだ。高層マンション対策は入っていない」(都防災対策室担当者)と明かす。
都は現在、新しい被害想定を策定中で、担当者は「都市回帰現象で高層マンションの住民が急増しており、高層マンション対策は当然入ってくるのでは」と予想するが「できるのは早くても本年度末か来年度初頭」と見通す。
■「低層住宅より生活は難しい」
震災時の避難民について、超高層マンション四十三棟(計画中を含む)を抱える中央区の担当者は「想定しているより多く超高層マンションから避難者が出る可能性がある」と率直に認める。
同区では独自の想定として区民の20%が避難民となる可能性があるとしており、この住民の三日間分の食料などは確保している。避難所となる防災拠点は二十一カ所に上る。
「超高層マンションでは建物自体は丈夫でも中のライフラインやエレベーターが使えない場合、低層住宅より生活は難しい。20%が30%、40%に増える可能性は否定できない」
■“高層避難民”は想定外
このため同区では、高層マンションの防災対策の実態調査を今春から始めた。
「避難所でどんどん受け入れるのは無理。といって超高層マンションの住民に『降りてくるな』とは言えない。避難所の充実は進めるが、住民に家具転倒防止対策をしてもらうなど超高層マンションの住民が避難民とならないような対策も必要だ」
一方、港区の場合、都の想定では避難住民は約二万人だが、都心回帰の流れを受けて区民人口は増えており、増加分は新築の超高層マンションが大部分を占める。
「避難所の数は充足し、食料の備蓄は他区と同程度にある。ただ、避難民を増やさないために、居住者用の備蓄倉庫を棟内に備えるなど、防災に強いマンションを建てるよう事業者や住民にお願いしている」
皇居を抱える日本の心臓部・千代田区の場合、区内全域が防火地域に指定されており、一昨年二月、区全域を広域避難の必要がない「地区内残留地区」とした。つまり「避難の必要がない区」となったわけだ。
しかし、十六階以上の高層、超高層の建築物は百棟を超え、うち二十棟のマンションが秋葉原、神田、飯田橋などに点在する。担当者はこう呼び掛ける。
「つぶれない建物であればその中にいてほしい」
危機管理コンサルタントの田中辰巳氏は「私も高層マンションに住んでいるが、二十階以上に住んでいる人はお手上げ状態と覚悟した方がいい」と高層ビルのエレベーター停止の恐ろしさを指摘した上でこう強調する。
「大規模地震があった場合、エレベーターだけでなく、ストップした電気、水道などが、どれくらいの時間で復旧するのかという見通しが一番知りたい。しかし、今回は全く機能していなかった。こうした情報提供の遅れによって、備蓄している水や食料をどれくらい使ったらいいのか判断できな
い。機敏な情報提供こそが重要な震災対策につながることを行政や関係者は肝に銘じてほしい」
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20050726/mng_____tokuho__000.shtml