現在地 HOME > 地震・天文12 > 285.html ★阿修羅♪ |
|
スマトラ沖でM8.7
地震誘発 日本でも同じ
昨年末に続いて二十九日未明(日本時間)、インドネシア・スマトラ島沖でまた、巨大地震が発生した。インド洋周辺国にまで津波被害が広がることはなかったが、多くの犠牲者が出ている。実は専門家の間では、昨年の震源域の南東で大地震が起きる可能性が指摘されていた。しかも、日本で心配されている東海地震などと同じメカニズムという。繰り返し起きる巨大地震の謎や、津波被害に差が出た理由をさぐった。
今回のような地震発生の危険性を指摘していた研究者は、国内外にいた。
英アルスター大の研究者らは、昨年十二月二十六日に起きたマグニチュード(M)9のスマトラ沖地震津波が周囲の断層に及ぼす力を計算。「震源の南側で最高五バール(一バールは約一気圧)の力が地震を促す方向に働く」と、地震が誘発される可能性を今月発行された英科学誌「ネイチャー」に発表した論文で指摘していた。
同じように誘発地震への注意を呼びかけていた産業技術総合研究所の遠田晋次主任研究員は「一バール以下で微小地震が増える。五バールは(大地震の)引き金になりうる大きさ」とする。
東大地震研究所の解析では今回の地震の震源域は、十二月二十六日に起きた地震の震源域のすぐ南に隣り合っている。遠田さんは「今回の震源域は一八六一年の地震と三分の二ほどが重なる」と指摘。この部分が百数十年ぶりに地震を起こしたのではないかとみる。
スマトラ島の西側の海底に延びるスンダ海溝では、東南海地震や南海地震を起こす南海トラフと同程度の年間六センチ程度の速度でプレートが沈んでひずみがたまるとされる。「仕組みは東南海・南海地震と同じ。もし東海地震が単独で起きたら東南海・南海地震が誘発される危険を考えないといけない」とする。
「今回、なぜ三カ月後に起きたかはまったく分からない。発生の危険が高まったという情報をどう防災に生かすか難しいところ」という。
今回の地震の南には、一八三三年のM8−9クラスを最後に大地震のない地震の空白域があり、さらに大地震が誘発される危険性もあるという。
海溝型地震に詳しい名古屋大学の安藤雅孝教授も「東南海地震と南海地震が連動するのと同様な仕組み」と話す。
安藤教授は「十二月二十六日の地震も複数の地震が同時に起きた。同時発生の効果で巨大な地震になったのではないか」として「東海、東南海、南海各地震が同時発生したときは、個々の地震の単純な足し算ではなく、相乗効果を考えて注意すべきだ」と語った。 (科学部・永井理)
■震源の位置 津波に影響
今回の地震では昨年十二月の地震に比べ、津波の規模は小さかった。地震の規模が小さかったことに加え、震源断層の深さや向きが影響したとみられている。
今回の地震後、スリランカでは約二五センチ、モルディブでは約二〇センチの津波を記録。震源に近いシムル島で三メートルとの報告がある。ただ昨年のような三〇メートルを超える巨大津波は観測されていない。
前回は約千六百キロ離れたスリランカにも大津波が到達した。産業技術総合研究所活断層研究センターの佐竹健治副センター長は「地震の規模が小さかったことに加え、断層の方向も影響したのではないか」と指摘する。
地震の規模は昨年がM9・0。今回はM8・7(米地質調査所)かM8・5(気象庁)で、エネルギーを比べると三分の一か、六分の一となる。
山中佳子東京大地震研究所助手は「断層の中で大きく滑った場所が海底下の比較的深い場所にあり、海水を動かして津波を引き起こす海底の変動が小さかったため」とみる。前回の震源の深さ約一〇キロに比べ、今回は約三〇キロと深かった。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20050330/mng_____kakushin000.shtml