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02/12 16:34 注目集める奥尻の津波対策 海外メディアも取材に
一九九三年の北海道南西沖地震と津波のため百九十八人が犠牲に
なった奥尻島の防災体制が注目を集めている。スマトラ沖地震で津
波の恐ろしさに世界中の人々が気付いたためで、四百四十人が一度
に避難できる人工の〓(始めダブルミニュート)空中広場〓(終わ
りダブルミニュート)など島独自の施設を海外のメディアも取材に
訪れている。
▽要塞(ようさい)の島
島の周囲約八十四キロ。うち約十四キロを防潮堤が囲む。高台へ
続く避難路と誘導灯は、奥尻町が設置したものだけで四十二カ所。
民間のものも入れると数え切れない。
島の最南端に位置する青苗(あおなえ)漁港には、高さ約六・六
メートルに浮かぶ「人工地盤」と呼ばれる広場がある。地上から五
つの階段で上ることができ、このうち三つは広場上の防風雪シェル
ターにつながる。広場を支えるのは、柱から何本もの梁(はり)が
広がる複合アーチ構造。広場からはさらに高架道路で高台まで避難
できる。
青苗川など島内の四つの川には、遠隔操作できる水門が設置され
た。震度4以上を観測すると、約一分間の非常放送後、自動的にゲ
ートが降下する。
▽防災意識
「『地震がきたら津波がくる。一分一秒でも早く高台へ逃げろ』
。島民のほとんどがこのことを経験的に知っている」と奥尻町企画
観光課の大須田直哉(おおすだ・なおや)さん。「どれだけハード
面を整備しても、絶対ではない。大事なのは個人の危機管理」
九五年に新築した際、津波対策として一階をピロティ(空間部)
構造にした青苗小学校。ここでは、災害時にすぐにかぶって逃げら
れるようにと、ヘルメットは常にロッカーの上に置いてある。年に
三回の避難訓練のほか、各学級で家族との約束事を確認している。
家庭の対策も万全だ。防災無線、防災ハンドブックのほか、人数
分のヘルメット、非常食や救急用具の入った避難袋を全世帯が常備
している。
▽事業費9百億円
海外メディアの関心も高い。一月から二月にかけ、米紙ニューヨ
ーク・タイムズやフランス紙ルモンド、ドイツの経済紙が相次いで
取材に訪れた。ほかにも、役場には内外の研究機関や自治体からの
取材申し込みや問い合わせが相次いでいる。
町によると、ハード面の整備にかかった事業費の総額は国、道、
町で計約九百二十六億七千万円に上る。東北大災害制御研究センタ
ーの今村文彦(いまむら・ふみひこ)教授(津波工学)は「奥尻島
の津波対策には莫大(ばくだい)な時間と費用がかかっている。す
べての地域で一律に取り入れるのは不可能だが、人工地盤などの技
術は参考になるだろう」としている。
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[2005-02-12-16:34]