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▲スマトラ島沖地震は「M9.0を3倍上回るM9.3」
観測史上2番目の規模と米地震学者が発表
【東京9日=ベリタ通信】「スマトラ島北西部沖地震の規模は実際にはマグニチュード(M)9.3で、当初の観測に比べ3倍の規模を持っていた」―。米国の地震学者2人がこのほど、同地震(2004年12月26日発生)の揺れを示した地震計記録などを詳しく分析、このような結果を得て発表した。M9.3は1960年のチリ地震のM9.5に次ぐ、観測史上2番目の大規模で、これが想像を絶する破壊力を持った巨大津波を引き起こし、スリランカ、インドそしてアフリカ東海岸にまで被害をもたらしたという。米国のイノベーションズ・リポート(電子版)が8日報じた。
それによると、2人の地震学者は米イリノイ州にあるノースウェスタン大学ワインバーグ校のセス・シュタイン教授とエミル・オカル教授。
両教授は、今回の巨大津波がスマトラ島北西部沖の震源地に近いアチェ州、タイ・プーケット島、マレーシア・ペナン島などにとどまらず、ものすごい規模と速度でインド洋の西方へ拡大、約3000キロにあるスリランカとインド、さらには約6500キロも離れたアフリカ大陸東海岸にまで到達、未曾有の被害をもたらしたことに注目。
両教授は、スマトラ島北西部沖地震をとらえた地震計の記録を独自の方法で精査・分析し、それにより1)同地震の破壊域は当初観測より大きかった 2)規模は当初のM9.0を3倍も上回るM9.3に達していた 3)余震により断層にゆっくりとした横滑りが起き、巨大エネルギーが蓄積、放出された―などの結果を得た。
両教授が特に注目しているのが「スロー・スリップ」と呼ぶ3)で、この「ゆっくりとした横滑り」が1200キロに及ぶ断層で発生して巨大なエネルギーを続けて生み出し、それが放出されて今回の破壊的な「巨大津波」を発生させ、震源地からインド洋を西方に3000−6500キロも離れた諸国の沿岸にも大きな被害をもたらしたとみている。
両教授はまた、スリランカとインドを襲ったこの巨大津波が断層の北部域での破壊により生じたと結論付けるとともに、北部域ではこの巨大エネルギーが放出されたため、同規模の破壊力を有する巨大津波は当面再発生しないとも推測している。しかし、断層の南部域では規模の大きい余震やそれに伴う大きな津波の発生の可能性は依然残っている、と警告している。
スマトラ島北西部沖大地震・津波では被害がインド洋沿岸の10数カ国に及び、2月8日現在、死者・行方不明者数は約30万人に達している。中でも震源地に最も近いアチェ州を中心とするインドネシアでの被害が甚大で、同国の死者・行方不明者数は同月6日現在、24万774人となっている。
(編集部注)巨大地震の規模を表す場合、震源となった断層のずれの量、断層の面積、岩盤の性質などの断層運動から算出する「モーメント・マグニチュード」がある。算出には地震波を長時間観測する必要などがあるため「速報」には用いないが、今回のスマトラ島北西部沖地震といった巨大地震の規模を示す際にはこの「モーメント・マグニチュード」が使われることが多い。観測史上最大の地震となったチリ地震の「モーメント・マグニチュード」は「9.5」だった。
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=200502091659503