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エルサレムのホロコースト博物館が新装開店:「ホロコーストを叩き込め!」(エル・ムンドより)
2005年3月15日付エル・ムンド紙(電子版)からです。重要なポイントを中心に、要約して日本語訳します。ただし記事中のホロコースト館長の語った言葉については全訳します。
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http://www.elmundo.es/elmundo/2005/03/15/internacional/1110849854.html
『エルサレムの新しいホロコースト博物館の開館式に世界の30以上の首脳が出席』
エルサレム : 本日の新しい「エルサレム・ホロコースト博物館」の開館式に世界の30カ国以上の首脳と主要な宗教の代表者が集まる。その中には国連事務総長コフィ・アナンやEU諸国の首相たちがいる。
ヤッド・ヴァシェム(Yad Vashem)として知られるこの博物館は1955年にゲットーやナチス・ドイツの収容所で死んだ6百万人を記念して作られた。ヤッド・ヴァシェムは4千万ドルと10年をかけて新館建設を計画・実行した。
ヤッド・ヴァシェムの館長Avner Shalevは次のように語る。「この外国首脳の出席は、反ユダヤ主義との戦いを援助し人権と民主主義の価値を保持しながら、過去を記憶し未来を作るための共通目標を達成させることにおけるヤッド・ヴァシェムの果たす役割としての、ホロコーストの記憶を承認することが、いかに重要であるか物語っている。」
新しい博物館は旧館の4倍の面積を持ち、ホロコーストの歴史を、実物と生き残った人々の証言や個人の持ち物を使って、犠牲者個々人の経験をユダヤ人独自の視点で提示する。
「我々のメッセージは、ホロコーストがいまだ中心的な出来事であること、そして反ユダヤ主義の現象の最も極端な表現を代表する、ということだ。現在、ユダヤ主義はコントロールされていない。」Shalevこのように言及した。「若者たちは、単に歴史上の出来事としてではなく、一つの人類の経験としてこれを記憶しなければならない。人類の歴史の標石に変えなければならないのだ。」
彼は説明する。「羞恥心の壁は崩れた。長年ホロコーストを否定することは不法なことであり、反ユダヤ主義者であることは恥であった。しかし今は急激にそうではなくなっている。新しくこの壁を、つまり反ユダヤ主義に伴う破壊的な潜在能力についての認識の活性化を、再構築しなければならない。そしてそのために、ホロコーストは、反ユダヤ主義の最大の表れとして、様々な社会の共通認識の中に叩き込まれなければならないのだ。」と。
【訳出終り】
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「様々な社会の共通認識の中に叩き込まれなければならないのだ。(原文debe ser inculcado en las conciencias de las sociedades)」ねえ。まあ、このShalevさん、ヤマザキ先生あたりの話を聞かせたら涙を流して喜びそうだ。
この館長の言葉は、現在欧州で広がりつつある反イスラエル(=反シオニズム:彼らに言わせると反ユダヤ主義)に対してずいぶんと突っ込んでいるようです。さらにこの「羞恥心の壁」の具体的なイメージが、パレスチナ住民を封じ込めているあの忌まわしい「分離壁」であることは言うまでもありません!
危機感を焚き付けるのはシオニストのいつもの手ですが、この新館建設が10年以上前から計画されたわけで、これまた例の「反テロ戦争」のプロセスと実にうまく附合しています。ホロコーストの問題が「単なる歴史上の出来事」ではなく、現在世界中で起こっていることのまさしく原点にあることを、この館長は自らの口で宣言しています。
問題は「歴史認識」ではなく、現代という我々が現実に生きている時の「現代認識」である、ということなのです。「現代認識」から「歴史認識」が出てくる、ということなのです。「正史」から出発して現代を考えるような輩は、このShalevにとっては「実に頼もしい我々の召使」ということになるでしょうね。