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ニッポン放送、フジに『電波』移譲の可能性は (東京新聞)
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投稿者 愚民党 日時 2005 年 4 月 07 日 06:18:22: ogcGl0q1DMbpk

ニッポン放送、フジに『電波』移譲の可能性は
電波法ではOKだが…

 ホリエモンに奇襲攻撃をかけられ株の過半数を握られたニッポン放送。「白馬の騎士」北尾吉孝氏にフジテレビ株を貸し出しグループへの影響を排除したが、今やライブドアの“子会社”に陥っている。社員らが声明文で徹底抗戦を表明する中、究極の企業価値「電波」と会社の関係を検証すると。

 「ライブドアの堀江貴文社長が筆頭株主になるなど出資者の構成が変わり、将来、役員も相当数の変更が予測される。経営実態について、近くニッポン放送さんから報告を受けるが、こちらからヒアリングを行う事態もあり得る」。放送局の監督官庁、総務省の担当者は五日、二月からの買収劇をにらみながら“役所”としての取り組み姿勢を強調した。

 一九五四年に一三一〇キロヘルツ(開局当時)の周波数で産声を上げたニッポン放送だが、もともと財界のバックアップで設立された。

 この担当者は「ニッポン放送が使用する中波は海外へも届くのでITU(国際電気通信連合)との調整が必要で、簡単に割り当てできるものではない。現在は空きがなく、関東総合通信局内では八事業者のみ。新規参入が物理的にできない状況です」と説明する。

 では、電波を他社に譲渡することは可能なのか。

 「電波法は、免許人(放送局)が事業の全部を譲渡したときは、譲受人は、総務大臣の許可を受けて免許人の地位を承継することができる、と定めている。例えば、ニッポン放送からフジテレビへの移譲も法的には可能です」とこの担当者は解説する。

 放送局には、他局の株を一定以上、所有できない「メディア集中排除の原則」があるが。この点については「省令に例外規定があり、テレビと中波は同一の社の所有が認められている。かつてのTBSや地方局の例がある」と明かす。

 “親会社”ライブドアへ反発し、ホリエモンが乗り込んできた際、退社の意思を表明する社員もいるが、その場合、ニッポン放送は放送局として機能できるのか。

 総務省の担当者は「一般社員は関係ないが、放送事業にはモールス信号も打てる第一級総合無線通信士の常駐が必要。同社の場合、十数人の専任届があるが、退職で全員いなくなるとなると、これは不法無線局ということになってしまう」と危ぐする。が、一方でこうもみる。「大金のある堀江さんなら、すぐどっかから雇ってきて手当てできるのでは」

 法律上では、放送事業の移譲は可能なようだが、当のニッポン放送やフジテレビ側は、どうとらえるか。

 ニッポン放送の担当者は「経営トップが、そうしたことを考えたことがあるかどうか分からない」とした上で、「非現実的とは思うが、仮に法律上、そうしたこと(電波事業の移譲)が可能なら、究極の対抗策の要素ではあるかもしれないが」と仮定の話ながら、その可能性を全否定はしない。フジテレビ広報部は、この点については、事態が動いていることを踏まえ、「コメントできない」と話す。

 ライブドア側はどうか。広報宣伝グループの担当者は「現時点では、コメントできない」と話した。

■スタジオ建設 お台場580億円

 フジテレビから切り離され“離れ小島”のように見えるニッポン放送。実は、現在も両社は共同で、お台場に新スタジオを建設中だ。フジテレビの筆頭株主となったソフトバンク・インベストメント(SBI)の北尾吉孝・最高経営責任者と堀江氏の会談が流れた先月二十八日、起工式には、フジテレビの日枝会長、ニッポン放送の亀渕社長がそろって出席した。

 このスタジオは、フジテレビが東京都から購入した土地をニッポン放送が借り、両社で約五百八十億円を出し合って建設。ニッポン放送がフジなどから賃貸料約二十億円を得る、というややこしい仕組みだ。

 ただ、ライブドアがニッポン放送に役員を送り込むなど、経営権を行使した場合、フジ側が堀江氏側に賃料を払う事態になる。このため、フジ側は、新スタジオ建設に関し「今回の事態の推移を注意深く見守って対応していきたい」と慎重な姿勢も見せた。

■総務省ヒアリング『和解メッセージ』

 放送局による別会社への放送事業移譲の現実味を識者はどうみるか。

 東洋大の現代社会総合研究所客員研究員の清原徹二氏は「電波法上はフジへの事業移譲もできないことはないが、基本的には事業継続の流れのなかでおさめる問題だ。放送局の社会的使命は、電波はリスナー(聴取者)のものであるという大前提にたてば、リスナーにとって想定外の混乱の状況を生じさせないように総務省も行政指導をするだろう」と予測する。

 情報通信に詳しいジャーナリストの中野明氏は「堀江氏の手法に問題は多いが、技師を含め社員が会社に残る残らないの話は個々の社員のマインドの問題。会社が方針として事業移譲を考えているというのならば、それはニッポン放送の最大の企業価値を損なう自殺行為に等しい」と批判する。

 「ヒアリングもあり得る」とする総務省の姿勢には「堀江氏とニッポン放送双方に対する『和解しなさい』という無言のメッセージではないか」とみる弁護士の永沢徹氏は「フジへのニッポン放送の事業移譲は、重要な資産の営業譲渡となる。従って、株主総会で三分の二以上の株主の議決が必要な特別議決の対象となり、役員会だけで決められる問題ではないのでは」と事業移譲の実現性に疑問を投げかける。

 さらに「放送事業の継続は技師などの職員の存在が前提であり、現在の役職員がいなくなるという事態は、双方にとっても好ましくない状況だ。ニッポン放送の上場廃止が避けられない中、堀江氏にとって今後、ニッポン放送の役員にどれだけ現在の経営陣を取り込めるかが一つのポイントだ」との見方を示す。

■企業と放送の関係問い直せ

 上智大新聞学科の音好宏助教授(メディア論)は「放送事業は免許制度によって新規参入が制限されるなど、事業自体が制度的に守られてきた側面が強い。その意味では『乗っ取り』や『株価操作』も起こり得る株式市場とは対照的なところで放送事業を行ってきた」と指摘し、こう分析する。「堀江氏の主張をはじめ、こうした企業と電波の関係を根本から問い直すことが、現在の日本のメディアが抱える問題を浮き彫りにする格好の機会になっている」


http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20050406/mng_____tokuho__000.shtml

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