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ライブドア仮処分申請 ニッポン放送側はなぜ緒戦で敗れたのか?[司法ジャーナル]
http://www.asyura2.com/0502/hasan39/msg/542.html
投稿者 feel 日時 2005 年 3 月 16 日 02:04:32: /berAdga6DXu.

2005年03月14日号 司法ジャーナル

http://www.shihoujournal.co.jp/

ニュース特報 その3
【ライブドア仮処分申請】
東京地裁はニッポン放送の言い分を認めなかったが、1皮むくと久保利英明・中村直人弁護士が三井拓秀・新保克久弁護士らに敗れたということ

●ライブドア側に軍杯

東京地裁民事8部(鹿子木康裁判長)は11日、フジテレビを割当先とするニッポン放送の新株予約権発行計画で、ライブドアが発行差し止めを求めていた仮処分申請について、ライブドアの申し立てを認める決定をした。
ニッポン放送が予定していた新株予約権の発行による増資は、現経営陣の支配権維持を主な目的としている、と判断したほか、ライブドアがニッポン放送の支配権を取得しても、ニッポン放送の価値が著しく毀損(きそん)するとは言い切れないと判断した。
また、ライブドアが時間外取引を利用してニッポン放送の株式公開買い付け(TOB)を行ったのは証券取引法に違反するとの主張に対しても、東京地裁は「(ライブドアが)証取法に違反していると認めることもできない」と判断した。第1幕はライブ側の完全勝利といえる。

●ライブドア側の代理人

だが、双方の代理人と裁いた民事8部、別称「商事部」の裁判官の顔ぶれを知り「なるほど、さもありなん」との感想を抱いた。
ニッポン放送のフジテレビジョンに対する新株予約権の発行による増資差し止めを求めた仮処分申請をした代理人は三井法律事務所の三井拓秀(56)=29期=を主任に同事務所の清水俊彦、猪木俊宏(途中辞任)、高浜裕子、松島基之、根井真、木ノ山了子、廣田聰、清水政彦、三部裕幸、西岡祐介弁護士、スキャデン・アープス・東京共同事務所の神谷光弘、同木ノ内さつき弁護士、フレッシュフイルズ法律事務所の熊木明弁護士、新保克久法律事務所の新保克久弁護士(49)=36期、元木・上野法律会計事務所の上野保弁護士の16人。
この顔ぶれからみると、三井弁護士が主導権を持ち新保弁護士が参謀格というふうにみえる。

●ニッポン放送側の代理人

受けて立つニッポン放送側は中村・角田法律事務所の中村直人弁護士(45)=37期、日比谷パーク法律事務所の松山遥、川井信之、西本強、山下丈の4弁護士、日比谷パーク法律事務所といえばボス弁は久保利英明弁護士(60)=23期、同弁護士はニッポン放送の社外取締役でもある。中村弁護士も日比谷パーク法律事務所の出、ニッポン放送側の事実上の主任代理人は久保利弁護士とみられる。

裁いたのは商事部の別称を持つ東京地裁民事8部の鹿子木康裁判長(43)、真鍋美穂子裁判官(47)、大寄久裁判官(37)の3人。鹿子木裁判長は昨年7月、ベルシステム24の新株発行を巡る仮処分申請で「支配権維持の意図は否定できないものの(新株発行後の)事業計画に合理性がある」として、差し止めを認めなかった。ベルシステム側の主任代理人がライブドア側の新保弁護士だった。

●代理人の総合力はライブドア側優位

 大騒ぎとなったライブドアの仮処分申請は双方の代理人の力量を記者(鷲見一雄)の眼で比較すると、知名度では久保利、中村弁護士に劣るが、総合的にはライブドア側が優位、が、実質的には三井、新保弁護士対久保利、中村弁護士の法律戦争。その戦争に鹿子木裁判長らが力量的にも勝った三井・新保側に軍杯を上げたということだ。

2005年03月14日号
司法の裏表 鷲見一雄が斬る
【ここが問題】ニッポン放送側は(久保利、中村弁護士)はなぜ、ライブドア(三井・新保弁護士ら16人の代理人団)に緒戦で敗れたのか?
●裁判官研究が勝った!

 結論を先に言えば裁判官研究が三井・新保組が久保利・中村組に勝ったといえる。久保利氏らは名声に奢っていたのではないか。ここが問題と指摘しないわけにはいかない。
 東京地裁民事8部の鹿子木康裁判長(43)、真鍋美穂子裁判官(47)、大寄久裁判官(37)の3人は基本に極めて忠実と定評がある。
 だから、三井弁護士側は細心の注意を払って16人の代理人団を編成、初めは当て馬的な猪木弁護士を審尋の席に出し役割を果たしたと判断すると辞任させ、次に裁判長とは面ぐれの新保弁護士出す。一方、久保利、中村弁護士側は代理人団編成も三井弁護士側に比較すると、安直すぎた。これも基本に忠実な裁判官たちの眼にはマイナスに写ったのではないか。

●猪木弁護士の辞任も戦略

また、猪木弁護士の辞任も三井氏側の戦略と思われるのに、1部のマスコミは騒ぎ、軍師の久保利氏は週刊新潮で「通常、こんなに急に辞任するのであれば、裁判所や相手の代理人に対しては、例えば”突然で申し訳ありませんが”などとなどと伝えてくるものですが、今もって私のところにはそういう話はきていません」などと暢気なコメントをしていた。
筆者は「仮処分申請は一種の奇襲ということを忘れている」かのように感じた。果然、鹿子木裁判長らは猪木弁護士の辞任など歯牙にもかけなかった。ここも久保利、中村弁護士側の読み違い。

●新株発行は資金調達が目的

 基本に忠実な鹿子木裁判長らは「企業価値の維持は関係ない。新株発行はあくまで資金調達が目的」という解釈だ。それをニッポン放送の社員217人が3日、「社員一同」との署名で、「ライブドアの経営参画に反対する」との異例の声明を発表した。2日夜に約9割の社員(役員を除く)が参加して緊急社員総会を開き、全員一致で決議した。
 声明は「ライブドアの堀江社長の発言にはリスナー(聴取者)に対する愛情が全く感じられない。(同放送がフジテレビの株を持つ)資本構造を利用したいだけ、としか私たちの目には映らない」などとライブドアの行動を痛烈に批判している内容。事実はその通りであろう。しかし、法律の世界に通用するか、というと筆者なら止めさせている。マイナスにしかならないからだ。
 声明は「私たちの考えに沿った決定」を司法に望むとも強調。声明文は中村弁護士らによって4日午前に東京地裁で開かれた審尋に提出され、同弁護士らは「従業員の意向を無視すれば企業価値を著しく損なう恐れがある」と主張したものとみられる。これもマイナスだった。裁判官研究ができていないのだ。

●裁判官研究の差が明暗を分ける

 それに引き換え三井弁護士側は、商法に詳しい複数の大学教授の意見書を提出し(1)ニッポン放送による新株予約権の発行は、経営権の維持が目的で「不公正発行」に当たる(2)ライブドアの2月8日の立会外取引は適法――などと主張したという。
三井弁護士側は鹿子木裁判長らが頷けるような周到な準備をしたのに中村弁護士の側は感情を逆撫でするようなことばかりやっていたように感じる。
 これでは鹿子木裁判長らが三井弁護士側に軍杯を上げて当然、裁判官研究の差がライブドア、ニッポン放送の明暗を分けたのである。


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