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農村の近代化急務 政権基盤に影響
【北京=野口東秀】「三農(農業、農民、農村)問題が最重要問題と深く認識している」−。温家宝首相は十四日の記者会見で、都市と農村の経済格差の拡大が深刻な社会矛盾をもたらし、全人口の七割を占める農村問題が政権の基盤を揺るがしかねないほど切迫した問題となっているとの危機感をにじませた。
「農村での小康(まずまずの生活)実現がなければ、中国全土の小康も実現しない。農村の近代化がなければ、中国の近代化もない」と、温首相は農村問題解決に向けた姿勢をこう表現した。
温首相が強調したように、農村での大きな問題は都市との収入格差。一九九〇年代前半は二倍程度だったのが、二〇〇三年には三倍に拡大。医療、社会保障などの遅れや、教育費の高騰を加味すると実質的には「六、七倍以上」とされるほど格差は広がっている。
再開発に伴う半強制的な土地収用などで耕地面積は昨年だけで約八十万ヘクタールも減少。耕地を失った農民は三、四千万人を超えるといわれ、農村の余剰労働力は一億五千万−二億人にのぼるとされる。
収用の際の補償についても「当局が高額で土地を開発業者に売却し、その利益を官僚と業者が分配する構図」(不動産業者)との指摘は少なくない。昨年十月に四川省で起きた発電所建設用地の補償をめぐる数万人規模の農民の抗議は、農村問題が政権基盤を揺るがしかねない深刻な問題であることを示した事件と受け止められている。
温首相は、農民の土地への権利は「永遠に不変だ」と述べ、地方政府のむやみな土地収用を暗に批判。政府活動報告でも「民主」「法制」の言葉を多用、「人民大衆の間で苦情のある問題を合理的に解決する」と強調した。だが、地方から北京に直訴する農民を地方当局者が妨害する実態には全人代期間中も変化はなかったようにみえる。全国で一千万件(投書を含む)を超える直訴の解決率は2%に過ぎない。
http://www.sankei.co.jp/news/morning/15int002.htm