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私的整理ガイドライン 適用基準緩和を検討 産業再生委員長、民間主導で早期再生
産業再生機構の意思決定機関である産業再生委員会の高木新二郎委員長は十日、産経新聞の取材に対し、経営不振企業に対する金融支援の指針「私的整理ガイドライン」について、適用基準の緩和を検討する意向を明らかにした。裁判所も介在させた新たな私的整理の仕組みや新法制定の可能性も模索する。改定作業に向けて全国銀行協会と日本経団連が設けた研究会を近く再開し、具体化を急ぐ。再生機構が役割を終えた後の早期事業再生の指針として位置づける考えだ。
私的整理ガイドラインは、ゼネコンなどに対する大手銀行の度重なる債権放棄が「安易な借金棒引き」との批判を受けたため、弁護士の高木氏を中心にして全銀協と経団連(当時)が設けた研究会で平成十三年九月に策定。全債権者の同意が必要である点が「ハードルが高い」と指摘され、適用は約三十件にとどまっている。
産業再生機構では三月末に金融機関からの債権買い取り期限を迎え、支援案件は現在の四十一件で打ち止めとなり、四月以降は再生作業に集中する。高木氏は「不良債権処理を目的とした再生機構による事業再生はあらかた終わった。これからは民間主導で、早期事業再生の手当てを考える必要がある」として、ガイドラインを改定する意向を示した。
具体的には英国やフランスで成立した裁判所の仲介による私的整理の手法を参考にする。高木氏は改定に向けた素案として(1)「全債権者同意」の適用基準を英国の同様のガイドラインにならって70−80%に下げる(2)適用する際は、裁判所が債務者企業と金融機関側から再建計画について意見聴取する(3)裁判所が妥当性があると判断した場合、同意しなかった債権者も応じなければならない−などをあげた。
再生機構では当初、引き受け案件が伸び悩んだが、債権者間の調整役としての機能が評価され、大手銀行も活用に前向きになった。高木氏の素案は、その調整機能を裁判所に求めるもので、いわば「私的整理と法的整理の中間」と位置づけられる。高木氏は「実現には法務省や経済産業省、金融庁などと調整したうえ、新しい法律も必要になる」としている。
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《私的整理ガイドライン》経営不振に陥った企業に対する債権放棄など、金融支援の条件と再建計画の実務を示した指針。これまでに福岡市の百貨店、岩田屋や西武百貨店、ダイエー福岡事業など約30件に適用された。適用には(1)再建計画に対する全債権者の同意が必要(2)3年以内の経常黒字化と債務超過の解消(3)経営者の退任で経営責任を明確化(4)減増資による株主責任の追及−が条件となっている。
http://www.sankei.co.jp/news/morning/11kei003.htm