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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu90.htm
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追い詰められたわが同盟国アメリカを理解しよう
アメリカは石油戦略で基軸通貨国の地位を守るしかない
2005年3月8日 火曜日
◆追い詰められたわが同盟国アメリカを理解しよう 3月7日 増田俊男
http://www.chokugen.com/opinion/backnumber/h17/jiji050307_292.htm
ご存知の通り、アメリカは世界最大の対外債務国で、日本は逆に世界最大の対外債権国であり最大の対米債権国です。アメリカの国是は脱工業主義で消費大国、ソフト大国、軍事大国だから、アメリカの経常収支が黒字になる可能性は皆無。供給過剰時代では「消費者は王様」だから、アメリカが消費大国になって世界経済の指導権を握ろうとするのは当然のことです。
恒常的経常赤字は対外債務を限りなく増大させ続けるから、アメリカは常に赤字補填を続けなければドル崩壊、経済破綻に陥る。自分の借金が自分で払えなければ他人に払わせるしかない。自力(経常黒字)で赤字補填ができないアメリカにとって生存の道は二つ。
一つは、金融戦略で金利と為替戦略を駆使しながら黒字国の資金をアメリカへ誘導すること。もう一つが、世界のドル市場化である。つまり、ドルを世界貿易の決済通貨化すること。1971年8月15日のニクソンショック(ドルと金との交換性を廃止)以来、ドルの信認が落ち続けたところへ、2000年からアメリカより大きいヨーロッパ経済圏でユーロが基軸通貨になりつつあった。
そこへ追い討ちをかけるように同年11月、フランスのシラク大統領がサダム・フセイン前大統領と結託して、イラクの原油決済通貨を従来のドルからユーロに転換させることに成功した。これをきっかけとしてOPEC諸国にドルの危機感が広まり、中東産油国は原油決済通貨を続々とユーロに切り替え始めた。だから2000年はアメリカにとって、まさにドル崩壊の危機に瀕した年であったのです。
ドルが国際貿易や原油決済通貨ならば、世界は決済通貨としてのドルを買わざるを得なくなる。アメリカにしてみれば、世界の貿易決済のおかげで借金返済のために乱発する赤字債権(印刷の時点では無価値の紙切れ)が売れる(現金になる)ことになる。つまり、アメリカの恒常的双子の赤字補填のもう一つの方法は、ドルを国際決済通貨にして赤字米国債を世界中に買わせること。
2000年のユーロ国際化の発足と同時に、EU首脳(シラク)は頭脳を使ってユーロ市場を拡大し、ドルを危機に追い込んだと言えます。追い込まれたアメリカは頭脳で対抗できなかったから、(9.11を演出して)武力で失地(イラク)回復をせざるを得なかったのです。EUの頭脳的先制攻撃に対して、アメリカは(下手な言い訳をしながら)武力で反撃したのがアフガン、イラク戦争なのです。
今やっとイラクを奪還して原油決済通貨をドルに切り替えたばかりですが、一日わずか200万バーレル(年間1〜2兆円)しかアメリカの借金減らしに貢献していません。中東原油の約2000万バーレル(年間にして約30〜40兆円)は、まだユーロが決済通貨。アメリカの年間財政赤字分がEUの借金返済に回っていることになります。だからアメリカは存在を賭けて中東の残り90%の原油を、頭脳ではなく軍事力(第5次中東戦争を起して)で奪還せざるを得ないのです。
◆中国もドル危機
世界の工場化した中国の外貨準備は、日本(約80兆円)に次いで世界第二(約60兆円)。その中国が最近、外貨準備からドルを減らしユーロを増やし始めました。したがって、アメリカは中東の次は中国を(武力で)ドルの支配下に置かなければならなくなりました。すでに中台戦争に向けて「草木がなびいている」のはこうした状況のため。
アメリカの来年の軍事予算は60兆円足らずだから、中東原油支配を早期に断行し、中台戦争に向わなくてはならない。2010年の上海万博後のバブル崩壊を期に中国が起こす中台戦争まで、日本の郵貯・簡保の350兆円をアメリカが自由にできるような環境作りをしておこうというのが郵政民営化日米合意の真意に他ならない。
◆イラク情勢について(6) 2005年1月 渋谷 一三
http://www.bekkoame.ne.jp/tw/hibana/h282_1.html
<はじめに>
米軍は未だにイラクを撤退することは出来ないでいる。選挙後も撤退できないだろう。戦費が嵩み、05年1月25日発表の財政見通しで、米国自身が大幅な財政赤字を予測している。ドル安が進行し、ユーロが相対的に上昇し、相対的基軸通貨化が進行するであろう。円も一見円高に見えるがユーロに対しては円安が進行している。03年11月に125円だったユーロが05年12月には140円になっている。
一方、対ドルで見ると、時期を同じにして比較すると、110円が104円になっている。ドルに対しては形式的円高だが、ユーロに対しては圧倒的に円安が進行しているのである。要するに「ドル安が大幅に進行し、円安も進行しているがドルほどではない」という事態が生まれているのである。この原因の大半はアフガン・イラク侵攻による戦費にある。
本稿では、イラクでの選挙結果を分析するとともに、米帝の侵略戦争が世界経済にどのような構造的変化をもたらしているかを分析する。
◆1. ゆらぐドルへの信用
99年のユーロ発足により、基軸通貨としてのドルの地位は脅かされている。99年1月時点のユーロの対ドルレートは1.1899ドルであった。その後2年間ユーロは下がり続け、00年10月時点では、0.8230ドルにまで下落した。
下落要因はユーロを手にした加盟諸国の中で、それをさらにドルに換金すると、自国通貨から直接ドルに換金するよりも得になる国々があったからである。この結果、欧州企業・金融機関は総体としては対米投資をする結果を招き、ユーロの下落と米国でのI.T.バブルを現出させた。
こりもせぬバブルの崩壊によってドルは下落する。00年10月に底を打ったユーロは反転し、04年1月には1ユーロ1.2900ドルへと一貫して上昇していく。00年10月に比べて実に57%もの上昇であり、恣意的あるいはご祝儀相場=期待による実需から膨らんだ相場=的発足時の相場と比べても、約8.5%の切り上げである。
発足後1年間のユーロ圏へは、銀行預金や借り入れという形での短期の資金流入が
1000億ユーロ超過しており、他方、株式・直接投資という長期債券を同圏外(主として米国)に流出させている。この役割は「世界投資銀行」とでもいうべき役割であり、この限りではユーロが基軸通貨になったのである。
同じことを別の見方で見れば、欧州がバブルに沸く米国資産のリスクを下支えしたと見ることもできるし、欧州に集中した資金が米国のITバブルを生み、その崩壊に伴う損失を引き受けたと見ることも出来る。
ドル安は産油国の収入を目減りさせた。このため、中東産油国は原油輸出価格をドル建てからユーロ建てあるいはユーロとドルのバケット建てに変更する動きに出た。このことも、米帝のイラク侵略の一因となったことは確かである。
各国外貨準備高を統計すると、99年、ドル67.9%、ユーロ12.7%、円5.5%だったものが、02年には、ドル64.5%、ユーロ18.7%、円4.5%へと変化している。ドルからユーロへのシフトが始まっていることが見て取れる。こうした事情を欧州中央銀行総裁は「東アジア諸国の一部が、外貨準備を相当規模でユーロに移した可能性がある。また、特に中・東欧諸国は急速にユーロの使用を増加させている。」と報告している。
さて、基軸通貨としてのドルの地位が脅かされるに至って、基軸通貨国であってこその「特権」であった負債・損失の移転の仕組みが機能しにくくなった(詳しくは別稿の「バブル移転の仕組み」を参照してください)。
このことは重大で、今回のイラク戦争の戦費による財政の大幅赤字はドルの転落を過去に例をみない速度で進めるはずだ。かつては、財政赤字によるドル安を反面武器に転化させ対外債務を目減りさせるということをもって他国(米国に資本輸出している国、特に日本)に転嫁することが出来た。
だが基軸通貨国でなくなればドル安は対外債務を膨らませる役割を果たす。100ドルの借金は、借りた時に13000円(1ドル130円として)だったのが、円高=ドル安(1ドル110円)になれば、11000円返せばいいことになる。
ところが、ユーロ建てで100ユーロ(1ドル1ユーロとして)米国が借りたとすると返すときにドル安(1ドル1.3ユーロ)になっていれば借入時100ドル相当のユーロだったののが、返済時には130ドル相当のユーロ分を返さなければならなくなるといった具合である。
戦費はドル建てなので、膨らむ心配はないが、財政赤字はドル安を進行させる。ユーロはイラク戦争には加担していないので相対的に上昇し、安定的通貨と認識され、ユーロの基軸通貨化が進行する。
円高にされることで米国の負債をあがなってきた日本は対米投資をするどころではない。機関投資家も欧州や中国への投資をする。金融自由化によって米国資本に国内市場を奪われた形の銀行資本は、対米投資をする余裕などない。
かくして米国は歴史始まって以来経験したことのない局面に入ることになる。負債を他国に転嫁することが出来ず、留まることをしらぬように見えさえするドル安の連続という局面である。
実際、97年までは年間1000億ドルだった経常赤字が、それ以降は年間コンスタントに4000億ドル超に達している。もしこの事態を避けようとするのであれば、米帝はイラクを撤退せずにその石油利権を握り締め、石油戦略によって基軸通貨国の地位を守る以外にない。
米国はイラクから撤退できず、イラク国民の受難は続くことになる。こうした事態は長くは続けられないものである。イラク人民の反撃が組織されていくことになろう。それは、今の、旧政府軍の武器・弾薬を惜しみながら有効に使う散発的武力攻撃とは異なる本格的ゲリラ戦へと変わっていくことになる。
イスラム諸国の政治的動きも変化するであろうし、欧州はお荷物の英国を米から引き離し取り込む政治的圧力を増大させるだろう。それは英国総選挙におけるブレア政権の崩壊という形をとって進む。欧州はこの機に一挙にユーロの国際基軸通貨化を推し進めるはずである。
こうして事態の推移を見てくると、グローバル化と喧伝された事態の中身が見えてくる。(後略)
(私のコメント)
イラク戦争は時間が経つごとにアメリカに不利になってきているようだ。選挙が行われたことで復興の軌道に乗っているように見えるが、治安はますます悪くなり、米兵は異常なほどの警戒意識を持たざるを得なくなっているようだ。例えばイタリアの女性記者が救出されて帰るところを銃撃したり、ルーマニア兵を誤射したりと米兵の異常さが目につく。
ゲリラ戦では一般市民とゲリラの区別がつかないから、怪しいものは誰にでも発砲するようになる。奥、井上の両日本大使館員も猛スピードで走っていたところを米軍に誤射されたらしい。乗った車も日本に返されてきましたが、マスコミには公開されず銃弾の分析も発表されたようですが曖昧なままだ。
これではイタリアの女性記者誤射事件ではベルルスコーニ政権も危うくなってくるし、イギリスのブレア政権も選挙でどう転ぶか分からない。気がついたら日本だけがアメリカ様さまでは世界から孤立する。これは政治情勢だけではなく経済情勢も直接響いてくることであり、日本だけが必死にドルを支えて、世界はユーロへとなびいている。
イラク一国だけなら武力で何とかなるのでしょうが、アジア諸国がかなりの割合をドルからユーロへと外貨準備の割合を増やしている。世界中が一斉にドルからユーロへと外貨を移し始めたらアメリカとしても打つ手はない。このような状況では90年代の頃のようなドル安政策はとりようがなく第二のプラザ合意は実際上不可能だ。
アメリカのイラク侵攻は石油とドル防衛のためですが、現在のところ石油の確保もままならず、ドルからユーロへの流れも食い止められなかった。わたしも個人は外貨預金をユーロでするべきと書きましたが、ユーロ高円安で為替差益でかなり利回りはよかったはずだ。トヨタなどのヨーロッパへの輸出で儲かって仕方がないようだ。これからはアメリカよりヨーロッパ市場を開拓したところが勝者となる。
このようにドルからユーロへと世界がなびいているのに日本だけが必死にドルを買い支え、外貨をドルだけで運用している。このままでは円はドルに取り込まれて抜け出せなくなる一方なのですが、財務省は何を考えているのだろうか。
3月2日に黒田元財務官の著書を紹介しましたが、ユーロの関しては様子見モードであり、アメリカ以上の大きな経済圏だけに、上手く運用が軌道に乗ればドルを凌ぐ基軸通貨になる可能性がある。そうなるとアメリカ経済は基軸通貨の特権を生かした経済運用が出来なくなる。
原油も53ドル台と高い状態はアメリカ経済にとってプラスではありませんが、株価のほうが戻り高値を更新している。ドル安が景気にいい影響を及ぼしているのでしょうが、いずれ基軸通貨の信頼に影響が出てきて取り返しのつかないことになるのではないかと思う。イギリスのポンドを売り崩したジョージ・ソロスが、こんどはドルを売り崩す時代が来るのかもしれない。
◆ソロス氏が一部石油代金決済のユーロ・シフトがドル安の一因と語る
http://www.idcj.or.jp/1DS/11ee_josei050223_4.htm
ヘッジファンドのマネ−ジャーとして1992年に英国中央銀行を負かした人物として知られるジョージ・ソロス氏が、2005年2月21日、注目される発言を行った。ソロス氏の発言が注目を集めた場所は、サウジアラビアのジッダ・エコノミック・フォーラムの会場であった。
ソロス氏は「石油輸出国の中央銀行が米ドルから主にユーロに切り替えており、ロシアもまたこの点では重要な役割を果している」「自分はこれが現在のドル安の一因と考える」と語り、中東の石油輸出国とロシアによる石油受け取り代金のドルからユーロへの変更がドル安を生んだとの見方を披露した。
さらにソロス氏は「原油価格が高止まれば高止まるほどドルからユ−ロへの切り替えが行われるだろう。つまり、強い石油がドル安を加速化させるというわけである」「自分はそうした(相関)関係があると考える」と述べ、高い原油価格にも関わらずドル安で石油収入の目減りにさらされてきた中東の産油国やロシアが自衛手段としてユーロ・シフトを行い始めているとの認識を示した。
加えて、ソロス氏は崩壊前の旧ソ連や東欧諸国で行っていたように、「市民社会」「開放社会」の考えを促進するアラブの基金への支援を検討していることを明らかにしている。イラク戦争後、ブッシュ政権が中東の民主化構想を掲げたものの、多くの諸国は内政干渉として反発を強めている。旧ソ連や東欧の改革に一定の役割を果したと推察されるソロス氏のそうした情勢下での新たな構想だけに行方が注目される。
(2005年2月23日掲載)
(エネルギー・環境室長/主任研究員 畑中美樹<はたなか・よしき>)